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そこまでする理由は本人だって分からない
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「伯爵様はお休みになられております。」
ジャックが認識阻害の魔法をかけてから数日が経っていたけど私は未だに彼に会えない状況にいた。目の前の執事からの答えは数日前から何も変わらない。
「伯爵様は数日前より見かけておりませんが、お顔を拝見することも難しいでしょうか? 」
執事が面倒くさいとでもいうように顔をしかめた。確かに言いたいことは分からないでもないけど。
この執事の認識では仲の良くない政略結婚の相手が急に会いたいと言っているのだから後処理が面倒な用件でジャックに会いに来ていると思われているんだろう。
面倒だから会わせたくないだけなら別に構わないけど、彼の表情から見てそれだけが理由じゃないはず。
(今夜こっそりジャックの部屋行ってみよう)
そう決意して踵を返して私達の住む離れに向かうのだった。
---------------------
そして夜になり、ただでさえ静かな本邸は人が居らず少し不気味さが感じられた。
(リリアナが持たせてくれたこれはお化けとかに効くのかしら……)
お守りとして持たせてくれたのは蝶々がモチーフのカフスボタン型の魔法具だった。
リリアナが渡してくれた魔法具については言っていた半分も理解できなかったけど如何やら防犯ブザーの様なものらしい。果たしてこれがお化けに効くのかは分からないけど危険を知らせてくれるなら誰かしら来てくれるだろう。
かつんかつんとヒールの鳴る音だけが響くこの屋敷はやはり人の気配が感じられない。友人すら来ていないだろうこの空間の違和感に気が付いた。
「静かすぎると言うより生活感すら感じないわ。……一体どうなっているというの? 」
そんな事を考えていたらあっという間にジャックの部屋までたどり着いた。
夜分に男性の部屋に入るなんてと思ったが、彼とは一応夫婦だし普通に心配でここに来ているだけで何もやましい事なんて感じていないのだから何の問題もない筈だ。
「いや、別に言い訳を並べなくたっていいじゃない……。」
そんな事を思いながらノックをするけど反応が無い。もう一度ノックをしてみるけど声すら聞こえないので眠っているのだろう。
(せめて顔だけでも見て帰ろう)
そっとドアを開けて---驚愕した。
「何よ、これ……。」
部屋に入ると真っ先に感じたのが息のが詰まる感覚だった。その答えは部屋を見れば明確であった。この部屋は使用人の誰もが出入りがされていないと分かるくらいに埃が家具や窓に被っていたからだ。息を吸うと咳が出てしまうので慌てて窓を開けて換気をするとベッドから声がした。
「誰……。」
かすれた声に振り向くとそこに居たのはこの部屋の主であるジャックだった。この惨状の説明をしてもらおうと思ったけど彼の様子は明らかに可笑しかった。近づいて手のひらを額に当てると体を焼いているように彼の体は熱かった。
「ひどい熱……。何で使用人を呼ばないんですか!? 」
思ったよりも大きな声が出てしまい頭に響くのか更に辛そうな顔をしていた。もう受け答えをするのもしんどそうだった。
(使用人を呼んで看病してもらう? 此処で? )
今いる使用人はこの部屋に入りたがらないだろう。そんな人たちが果たして主人の看病を行うのだろうか。
(リリアナに来てもらおう)
そう思いながら貰った魔法具を握りしめると突然光りだして、なんと目の前にリリアナが現れた。
「お母様、こんなに早く呼ぶなんて一体何が---って、凄い埃ですね!? 」
ゴホゴホと咳き込むリリアナをなるべく埃を吸わないだろう窓の近くまで連れていって状況を説明してからとあるお願いをした。
「お願いリリアナ。この人を私達が住んでいる屋敷まで貴方の魔法で連れて行って欲しい。」
出来るかしらと訊ねると出来るけどと言って少し困惑していた。
「何故お母様がこの人を助けるの? 借りがあるから? 」
「……どうしてかしらね。」
借りがある? 情が沸いて見捨てられない? どの言葉も私の中にストンと落ちてはくれなかった。
(助ける理由ですって? )
そんな事、私が一番知りたいことだ。
ジャックが認識阻害の魔法をかけてから数日が経っていたけど私は未だに彼に会えない状況にいた。目の前の執事からの答えは数日前から何も変わらない。
「伯爵様は数日前より見かけておりませんが、お顔を拝見することも難しいでしょうか? 」
執事が面倒くさいとでもいうように顔をしかめた。確かに言いたいことは分からないでもないけど。
この執事の認識では仲の良くない政略結婚の相手が急に会いたいと言っているのだから後処理が面倒な用件でジャックに会いに来ていると思われているんだろう。
面倒だから会わせたくないだけなら別に構わないけど、彼の表情から見てそれだけが理由じゃないはず。
(今夜こっそりジャックの部屋行ってみよう)
そう決意して踵を返して私達の住む離れに向かうのだった。
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そして夜になり、ただでさえ静かな本邸は人が居らず少し不気味さが感じられた。
(リリアナが持たせてくれたこれはお化けとかに効くのかしら……)
お守りとして持たせてくれたのは蝶々がモチーフのカフスボタン型の魔法具だった。
リリアナが渡してくれた魔法具については言っていた半分も理解できなかったけど如何やら防犯ブザーの様なものらしい。果たしてこれがお化けに効くのかは分からないけど危険を知らせてくれるなら誰かしら来てくれるだろう。
かつんかつんとヒールの鳴る音だけが響くこの屋敷はやはり人の気配が感じられない。友人すら来ていないだろうこの空間の違和感に気が付いた。
「静かすぎると言うより生活感すら感じないわ。……一体どうなっているというの? 」
そんな事を考えていたらあっという間にジャックの部屋までたどり着いた。
夜分に男性の部屋に入るなんてと思ったが、彼とは一応夫婦だし普通に心配でここに来ているだけで何もやましい事なんて感じていないのだから何の問題もない筈だ。
「いや、別に言い訳を並べなくたっていいじゃない……。」
そんな事を思いながらノックをするけど反応が無い。もう一度ノックをしてみるけど声すら聞こえないので眠っているのだろう。
(せめて顔だけでも見て帰ろう)
そっとドアを開けて---驚愕した。
「何よ、これ……。」
部屋に入ると真っ先に感じたのが息のが詰まる感覚だった。その答えは部屋を見れば明確であった。この部屋は使用人の誰もが出入りがされていないと分かるくらいに埃が家具や窓に被っていたからだ。息を吸うと咳が出てしまうので慌てて窓を開けて換気をするとベッドから声がした。
「誰……。」
かすれた声に振り向くとそこに居たのはこの部屋の主であるジャックだった。この惨状の説明をしてもらおうと思ったけど彼の様子は明らかに可笑しかった。近づいて手のひらを額に当てると体を焼いているように彼の体は熱かった。
「ひどい熱……。何で使用人を呼ばないんですか!? 」
思ったよりも大きな声が出てしまい頭に響くのか更に辛そうな顔をしていた。もう受け答えをするのもしんどそうだった。
(使用人を呼んで看病してもらう? 此処で? )
今いる使用人はこの部屋に入りたがらないだろう。そんな人たちが果たして主人の看病を行うのだろうか。
(リリアナに来てもらおう)
そう思いながら貰った魔法具を握りしめると突然光りだして、なんと目の前にリリアナが現れた。
「お母様、こんなに早く呼ぶなんて一体何が---って、凄い埃ですね!? 」
ゴホゴホと咳き込むリリアナをなるべく埃を吸わないだろう窓の近くまで連れていって状況を説明してからとあるお願いをした。
「お願いリリアナ。この人を私達が住んでいる屋敷まで貴方の魔法で連れて行って欲しい。」
出来るかしらと訊ねると出来るけどと言って少し困惑していた。
「何故お母様がこの人を助けるの? 借りがあるから? 」
「……どうしてかしらね。」
借りがある? 情が沸いて見捨てられない? どの言葉も私の中にストンと落ちてはくれなかった。
(助ける理由ですって? )
そんな事、私が一番知りたいことだ。
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