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旦那の愛が重すぎて世界が壊れそうです
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「アシュリー! 本邸の掃除が終わったよ。」
ニコニコと笑う彼にため息をついた。
掃除とは聞こえがいいかも知れないが、きっと昨日までの屋敷は建っていないだろう。
(屋敷を立て直すと言った時は耳を疑ったわよ)
人間が長い時間をかけてやる事をあっという間にやってのけてしまうのがジャック・ハーネストという男なのだ。やる気を出せば世界征服なんてこともやってのけてしまうかもしれない。
(小説のリリアナもヒロインを害するときにチート級の事をやってた時は作者の余りのご都合主義に驚いたけどジャックはその上をいってるわ)
魔法という言葉は実に便利で、訳の分からない展開になっていたとしても『それは魔法の力だ』と言われてしまえばこちらが納得するしかない。
「……10年前のあの事件も魔法が使われていた? 」
考えてみればその可能性もない訳じゃない。ルーマン侯爵家は一族に魔法使いが居ない為その考えに至るときには手遅れの場合が多い。
「その前に魔法使い自体が少ないから考えられる優先順位が下がってしまうのよね……。」
「魔法使いがどうしたって? 」
私の独り言が聞こえていたらしくジャックが訊ねてきたのでこれ幸いと思って10年前の憶測を言ってみた。すると珍しく考え込む仕草を見せてあり得ない話ではないけどと話し出した。
「それをした魔法使いは相当な実力者だ。だって俺に気づかれずに何十人と魔法をかけたんだから身体の負担だって相当の筈だよ。」
「マリアベルはデビュタントの時に体調を崩していたわ。貴方みたいに魔法を使ってそうなったのかも知れない。」
「でも、その日の夜には回復していたんだろう? 俺がこの前やった魔法は規模が大きいとは言ってもやった事は記憶の造り替えであって洗脳ではないからあの程度で済んだけど大人数の洗脳なんて体の負担が大きすぎる。」
どんな手を使ったとしても半日ではまず回復しないと言い切るジャックに何で洗脳だと言い切れるのか疑問に思ったけどその言葉に一番納得しているのは私自身だった。
(マリアベルが洗脳をしているとしたら疑問点が解消されるわ )
私の知っているジェレミー様は女の趣味は分からないけど決して国を傾かせるような人ではなかったし、仮にそうであったとしても皇后の権限で国庫を使えるとして後ろ盾がないマリアベルの我儘を国民の反感を買ってまで王室がするとは思えなかった。
「マリアベルが魔法で洗脳しているとしたら辻褄が合うわ。考えてみれば私はあの日マリアベルに直接会ってはいないから。……でも、マリアベルが魔法を使っているところなんて見た事が無いの。」
「隠していただけかもよ。そう言う魔法具だってない訳じゃないし。」
「彼女とは4歳の時からの付き合いだけど魔力暴走を起こしているなんて聞いたことがないわ。貴方やリリアナだって起こした事をしないなんてあり得るの? 」
そう尋ねると暫く考えた後にとんでもないことを言い放った。
「よし、面倒くさいから皇后陛下に直接聞きに行こう。」
そう言って魔法陣を展開させていたので慌てて止めた。何をしようかなんて聞き返さなくても分かる。
「正気ですか!? 何もなしに乗り込んだら不敬罪ですよ!? 」
そう言うとジャックはアシュリーは優しいねと私に向かって微笑んでいた。---微笑んでいたけど彼の目は全く笑っていなかった。
「だからこそ皇后陛下のしたことは許せないな。……君を傷つけた奴は全員消せば問題ないよね? 」
(この人、本気で言ってるわ……っ! )
冗談で考えていた事が現実で起きるのは何としても避けたい。理由は分からないけどそんな事になったら私が外の景色を拝めなくなりそうな気がしたからだ。
「これから私が彼女を追い詰めていくのよ!! ジャックは余計な事をしないで私に協力しなさい!! 」
我ながら随分な物言いだと十分分かっていたけど、これが私の本音だ。引導を渡すのは彼ではなく私じゃないといけない。そう思っていると彼が震えだしたのでやっぱり怒ってしまったかと考えていると突然私を抱きしめた。
「伯爵様じゃなくてジャックって呼んでくれた……。嬉しい……。」
顔を赤く染めながらうっとりしているが私はそれどころじゃない。
(王室の破壊よりも私に呼ばれるのが嬉しいって事……? いや、それで喜んじゃダメでしょう私!? )
軽くパニックを起こしているとお母様から離れてとリリアナが叫びながら駆けつけた。
「こんな事だろうって思ったわ!! お父様の行いはお母様が許したって私が許さないんだから!!」
するとジャックはキョトンとしてから笑顔でリリアナと呼んだ。
「その俺の行いで君は生まれることが出来たんだけど、それって君の許しが必要なのかな? 」
その言葉にとうとう耐えれなくなってリリアナは魔法をジャックに向かって打ち出した。そんな自分の娘の行動に彼は猫と戯れるかのように軽々と避けていた。
(……好きにさせよう)
これからこの生活が日常と化すことに頭を抱えたけど、お昼ご飯が出来るころには何もなかったかのように来ると何となく予感がして私はお昼ご飯を作るべく部屋を後にするのだった。
ニコニコと笑う彼にため息をついた。
掃除とは聞こえがいいかも知れないが、きっと昨日までの屋敷は建っていないだろう。
(屋敷を立て直すと言った時は耳を疑ったわよ)
人間が長い時間をかけてやる事をあっという間にやってのけてしまうのがジャック・ハーネストという男なのだ。やる気を出せば世界征服なんてこともやってのけてしまうかもしれない。
(小説のリリアナもヒロインを害するときにチート級の事をやってた時は作者の余りのご都合主義に驚いたけどジャックはその上をいってるわ)
魔法という言葉は実に便利で、訳の分からない展開になっていたとしても『それは魔法の力だ』と言われてしまえばこちらが納得するしかない。
「……10年前のあの事件も魔法が使われていた? 」
考えてみればその可能性もない訳じゃない。ルーマン侯爵家は一族に魔法使いが居ない為その考えに至るときには手遅れの場合が多い。
「その前に魔法使い自体が少ないから考えられる優先順位が下がってしまうのよね……。」
「魔法使いがどうしたって? 」
私の独り言が聞こえていたらしくジャックが訊ねてきたのでこれ幸いと思って10年前の憶測を言ってみた。すると珍しく考え込む仕草を見せてあり得ない話ではないけどと話し出した。
「それをした魔法使いは相当な実力者だ。だって俺に気づかれずに何十人と魔法をかけたんだから身体の負担だって相当の筈だよ。」
「マリアベルはデビュタントの時に体調を崩していたわ。貴方みたいに魔法を使ってそうなったのかも知れない。」
「でも、その日の夜には回復していたんだろう? 俺がこの前やった魔法は規模が大きいとは言ってもやった事は記憶の造り替えであって洗脳ではないからあの程度で済んだけど大人数の洗脳なんて体の負担が大きすぎる。」
どんな手を使ったとしても半日ではまず回復しないと言い切るジャックに何で洗脳だと言い切れるのか疑問に思ったけどその言葉に一番納得しているのは私自身だった。
(マリアベルが洗脳をしているとしたら疑問点が解消されるわ )
私の知っているジェレミー様は女の趣味は分からないけど決して国を傾かせるような人ではなかったし、仮にそうであったとしても皇后の権限で国庫を使えるとして後ろ盾がないマリアベルの我儘を国民の反感を買ってまで王室がするとは思えなかった。
「マリアベルが魔法で洗脳しているとしたら辻褄が合うわ。考えてみれば私はあの日マリアベルに直接会ってはいないから。……でも、マリアベルが魔法を使っているところなんて見た事が無いの。」
「隠していただけかもよ。そう言う魔法具だってない訳じゃないし。」
「彼女とは4歳の時からの付き合いだけど魔力暴走を起こしているなんて聞いたことがないわ。貴方やリリアナだって起こした事をしないなんてあり得るの? 」
そう尋ねると暫く考えた後にとんでもないことを言い放った。
「よし、面倒くさいから皇后陛下に直接聞きに行こう。」
そう言って魔法陣を展開させていたので慌てて止めた。何をしようかなんて聞き返さなくても分かる。
「正気ですか!? 何もなしに乗り込んだら不敬罪ですよ!? 」
そう言うとジャックはアシュリーは優しいねと私に向かって微笑んでいた。---微笑んでいたけど彼の目は全く笑っていなかった。
「だからこそ皇后陛下のしたことは許せないな。……君を傷つけた奴は全員消せば問題ないよね? 」
(この人、本気で言ってるわ……っ! )
冗談で考えていた事が現実で起きるのは何としても避けたい。理由は分からないけどそんな事になったら私が外の景色を拝めなくなりそうな気がしたからだ。
「これから私が彼女を追い詰めていくのよ!! ジャックは余計な事をしないで私に協力しなさい!! 」
我ながら随分な物言いだと十分分かっていたけど、これが私の本音だ。引導を渡すのは彼ではなく私じゃないといけない。そう思っていると彼が震えだしたのでやっぱり怒ってしまったかと考えていると突然私を抱きしめた。
「伯爵様じゃなくてジャックって呼んでくれた……。嬉しい……。」
顔を赤く染めながらうっとりしているが私はそれどころじゃない。
(王室の破壊よりも私に呼ばれるのが嬉しいって事……? いや、それで喜んじゃダメでしょう私!? )
軽くパニックを起こしているとお母様から離れてとリリアナが叫びながら駆けつけた。
「こんな事だろうって思ったわ!! お父様の行いはお母様が許したって私が許さないんだから!!」
するとジャックはキョトンとしてから笑顔でリリアナと呼んだ。
「その俺の行いで君は生まれることが出来たんだけど、それって君の許しが必要なのかな? 」
その言葉にとうとう耐えれなくなってリリアナは魔法をジャックに向かって打ち出した。そんな自分の娘の行動に彼は猫と戯れるかのように軽々と避けていた。
(……好きにさせよう)
これからこの生活が日常と化すことに頭を抱えたけど、お昼ご飯が出来るころには何もなかったかのように来ると何となく予感がして私はお昼ご飯を作るべく部屋を後にするのだった。
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