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第五章 虹の光を追いかけて
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「だけど、どうしたらいいんだろう……。お母さんは猫が嫌いだし……」
「焦らないで、今から少しずつ、今までできなかったことをやっていけばいいんじゃないか」
固まっているわたしに、渚くんは導くように言った。
「冬華が進みたい方向に行くのが一番だと思う」
「渚くん、ありがとう。わたしはもう逃げない。自分の気持ちに素直でいたい」
渚くんのアドバイスに、わたしは不思議な感覚に包まれる。
わたしはいつも、居場所をくれた渚くんをつなぎとめたくて、そのためなら何でもしたくて必死だった。
あの感情は、いまだにわたしの中でくすぶっている。
渚くんが好き。
だから、渚くんを守れるくらい、もっともっと強くなりたいと思う。
「冬華なら、どんなことでもできるよ」
渚くんの言葉は、まるで魔法だ。
心に伝わる熱が焦がれるようで、胸が高鳴ってしまう。
その時、ふと誰かの視線を感じた。
「…………」
振り向くと、鹿下くんと目が合ったけど、すぐにそっぽを向く。
不服そうなその態度に、思わずカチンときてしまった。
「言いたいことがあるなら、言えば?」
「なんのことだよ?」
わたしが訊くと、鹿下くんはふてぶてしく返した。
「わたしが、渚くんの未練を晴らさせないことに不満があるんだよね」
鹿下くんは不快そうに眉根を寄せてるけれど、不快度数なら、こちらの方が上だと思う。
「なんかあるでしょう。言いたいこと」
「ねぇよ」
わたしの言い分に、鹿下くんはさっと目を逸らした。
「渚くん。わたしに鹿下くん、いい人だって言ったの。大切な親友だって」
鹿下くんは意外なことを聞いたように目を見開いた。
意表をつくような反応に、わたしの心臓が音を立てる。
「わたしは全然、そうは思わないけど」
「そうかよ」
わたしの切り返しに、鹿下くんは不本意そうに言う。
その瞬間、わたしたちの間にバチッと火花が散った。
「わたしの知らない渚くんの親友。なんかムカつく!」
「俺の知らない麻人の幼なじみ。それがムカつくんだよ!」
同じことを言い返されて、わたしはぽかんとしてしまう。
「……もしかして、鹿下くん。今井くんが、渚くんのクロム憑きになったことで、今までと変わってしまったことが気にくわないの?」
「なっ……」
鹿下くんはどこか焦ったように口ごもった。
その様子で、わたしは直感する。
「やっぱり、そうなんだ」
「そそっ、そういうわけじゃない……」
鹿下くんは慌てて否定していたけど、それは裏返しの肯定に聞こえた。
「そもそも、おまえだって、今のあいつに違和感を覚えているだろ?」
「そうだよ。だけど、隣で一緒に笑ってくれるのは、今も昔も変わらないから」
泡を食って反論した鹿下くんに、わたしにぽつりと素直な声音をこぼす。
「焦らないで、今から少しずつ、今までできなかったことをやっていけばいいんじゃないか」
固まっているわたしに、渚くんは導くように言った。
「冬華が進みたい方向に行くのが一番だと思う」
「渚くん、ありがとう。わたしはもう逃げない。自分の気持ちに素直でいたい」
渚くんのアドバイスに、わたしは不思議な感覚に包まれる。
わたしはいつも、居場所をくれた渚くんをつなぎとめたくて、そのためなら何でもしたくて必死だった。
あの感情は、いまだにわたしの中でくすぶっている。
渚くんが好き。
だから、渚くんを守れるくらい、もっともっと強くなりたいと思う。
「冬華なら、どんなことでもできるよ」
渚くんの言葉は、まるで魔法だ。
心に伝わる熱が焦がれるようで、胸が高鳴ってしまう。
その時、ふと誰かの視線を感じた。
「…………」
振り向くと、鹿下くんと目が合ったけど、すぐにそっぽを向く。
不服そうなその態度に、思わずカチンときてしまった。
「言いたいことがあるなら、言えば?」
「なんのことだよ?」
わたしが訊くと、鹿下くんはふてぶてしく返した。
「わたしが、渚くんの未練を晴らさせないことに不満があるんだよね」
鹿下くんは不快そうに眉根を寄せてるけれど、不快度数なら、こちらの方が上だと思う。
「なんかあるでしょう。言いたいこと」
「ねぇよ」
わたしの言い分に、鹿下くんはさっと目を逸らした。
「渚くん。わたしに鹿下くん、いい人だって言ったの。大切な親友だって」
鹿下くんは意外なことを聞いたように目を見開いた。
意表をつくような反応に、わたしの心臓が音を立てる。
「わたしは全然、そうは思わないけど」
「そうかよ」
わたしの切り返しに、鹿下くんは不本意そうに言う。
その瞬間、わたしたちの間にバチッと火花が散った。
「わたしの知らない渚くんの親友。なんかムカつく!」
「俺の知らない麻人の幼なじみ。それがムカつくんだよ!」
同じことを言い返されて、わたしはぽかんとしてしまう。
「……もしかして、鹿下くん。今井くんが、渚くんのクロム憑きになったことで、今までと変わってしまったことが気にくわないの?」
「なっ……」
鹿下くんはどこか焦ったように口ごもった。
その様子で、わたしは直感する。
「やっぱり、そうなんだ」
「そそっ、そういうわけじゃない……」
鹿下くんは慌てて否定していたけど、それは裏返しの肯定に聞こえた。
「そもそも、おまえだって、今のあいつに違和感を覚えているだろ?」
「そうだよ。だけど、隣で一緒に笑ってくれるのは、今も昔も変わらないから」
泡を食って反論した鹿下くんに、わたしにぽつりと素直な声音をこぼす。
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