その日、猫は希望と願いを天秤にかける

留菜マナ

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第一章 迷い猫に誘われて

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にゃー……、にゃー……。
諸々の事後処理の途中で、女の子を見失ってしまった吾輩。
さすが、通勤ラッシュの時間帯。
先程の出来事の影響で電車が止まった瞬間、バスやタクシー待ちの長蛇の列に巻き込まれてしまったにゃ。
ようやく女の子が通う学校の前に辿り着いたものの、吾輩、既に息も絶え絶えにゃ。

「神様。今回、我輩たちが救う女の子の名前は平中ハルカちゃん。南木曽中高一貫校に通う、中学一年生でいいのかにゃ?」

そっかにゃ。
ハルカちゃんは、この学校のどこかにいるはず。
吾輩、使命感に駆られて、校門にやって来たにゃ。
人間は校門をくぐらないと入れない学校。
にゃが、吾輩たち猫は建物を回り込んで植え込みを抜ければ、簡単に潜入できてしまうにゃ。
チョロいにゃ!

「……猫?」

ハルカちゃんの行方を探そうと教室の近くを歩いていた時。
吾輩は、生真面目そうな先生に出くわしたにゃ。

「やれやれ、全く。どこから紛れ込んだのやら……」
「にゃにゃー!」

先生に首根っこ掴まれて、ぽいっと追い出されてしまったにゃ!
お、おっそろしい先生にゃ~~。
しかも、追い出された先は校門の外。
我輩ががっくりと肩を落として歩いていると。

『あの……』

声とともに、すーっと真っ白い人影が二つ現れたにゃ。

『ハルカのことで、あなたにお願いしたいことが……』
「おおお、おばけにゃーーーーーっ!」

吾輩、幽霊は超苦手。
当然、脱兎のごとく、その場から逃げ出したにゃ。

「にゃ……、にゃ……」

荒々しい呼吸で、たどり着いた先は学校の裏側。
ここまで来れば、安心にゃ。
ふにゃ~、こ、怖かったにゃ~~。

えっ?
神の使いだから、幽霊が見えるのは当たり前。
それにハルカちゃんのことで、重大なことを告げようとしていなかったかって?

確かに、先程の我輩のつぶやきを聞いていた可能性は高いけれど。
神様……きっと、ききききき……気のせいにゃ。

では、吾輩の恐怖体験をお届けしたところで、いざ目的地の学校へ。
だけど、その後も、校舎に入って追い出されるという、いたちごっこが続いて。
途方に暮れること数時間。
万事休す、と思ったら、ようやく下校時間になったみたいにゃ。
校舎を出て、校門までの道を多くの人たちが歩いている。
よーし、早速、ハルカちゃんを探すにゃ!

にゃにゃ?
神の使いなのに、いたちごっこってどういうこと、とおっしゃるにゃ?

えっへん!
我輩、こう見えても、地球暮らしが長いにゃ。
だから、普段は普通の猫のふりをしているにゃ。
決して、神の使いだと名乗った途端、捕獲されそうになったことが原因じゃないにゃ。
やや、それより、ハルカちゃんを探さないと。
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