「OT転生!異世界でも作業療法は無敵です」

OT.deguchi

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第16話:“できること”が生きる力になる。初の小児リハ、OT室にやってきた発達支援の依頼

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「先生、依頼来てます!」

フィリアが駆け込んできた。手にしていたのは、王都南部の教会からの紹介状だった。

> 対象:少年ウィル(8歳)
状態:落ち着きがなく、手先が不器用。魔法訓練も集団学習も困難。
“呪われている”との噂あり。親族からの支援はなし。



「……うわ、これめっちゃ重要案件じゃん」

俺の中のOT魂が即反応した。
発達に特性がある子どもは、この世界だと“呪い”“悪魔の子”扱いされやすい。
けどそれ、ただの脳の特性じゃん。支援入れたらめっちゃ伸びるのに。

***

数日後、教会の一室。
俺たちはウィルと初対面した。

小柄な体、常にそわそわ動く視線。
質問しても答えず、部屋の隅に置かれた木のブロックをいじってばかり。

「……この子、しゃべれないの?」

「違う。“しゃべっても怒られる”って学習しちゃっただけだ」

俺はゆっくり、ウィルの近くにしゃがみこんだ。
無理に目を合わせない。無理に話しかけない。まずは環境を整える。

小さな机と、彼専用の椅子。足が床にちゃんとつくように高さを調整。
過敏反応があると見て、音と光を抑えた部屋に移動。
そして、ブロックとスライム粘土で“手先の遊び”を用意。

30分後――ウィルは笑っていた。

「……おっ。今、笑ったな?」

「ん……、これ、楽しい」

初めて聞いた声。
教会スタッフが思わず目を潤ませてた。

「この子、“できない子”じゃない。“合わなかった環境”にずっといたんだよ」

俺はスタッフに資料を渡す。

作業療法評価シート(発達段階別)+支援ツール一覧+家庭対応のコツ。

「次回から、OT室で週2回。あと、家庭訪問もこっちで段取りつける。
“呪われてる”んじゃなくて、**“ちょっと世界とズレてるだけ”**って、周りにわからせる支援、こっちでやる」

***

その帰り道。

「先生……俺、ウィルの気持ちちょっとわかるかも」

ジークがぽつりと漏らした。

「“できない”って思われて、何も言わなくなるの、俺もあったから」

「……な? お前、絶対いい支援者になるよ」

作業療法室。
それは“できないを責める場所”じゃない。
“できることを見つける場所”だ。

そしてウィルは、ここで「自分だけの“できる”」を探していく。

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