「OT転生!異世界でも作業療法は無敵です」

OT.deguchi

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第17話:魔法が暴走する少女。支援と危険の境界線、OT室に問われる“責任”

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「……で、彼女の件、正式に依頼が来た」

カリスが俺に渡してきた報告書は、薄いのにやたらと内容が重い。

> 対象:セリア・ルノア(9歳)
状態:感情の起伏が激しく、強いストレス下で魔力が暴走。
通常学級では対応困難。2回の“魔力過剰放出”で被害あり。



「なるほど……これは完全に、感情調整系の発達支援ケースだな」

俺は資料を読みながら思う。
この世界では「魔力=命」みたいなとこあるから、魔力暴走は“個性”じゃなく“災厄”とみなされることが多い。
でもそれって、“感情に引き金を引かれるシステム”を理解してないだけなんだよな。

***

セリアに初めて会ったのは、王都北部の“保護学寮”。
魔法制御ができない子たちを一時的に隔離・教育する施設。雰囲気は……まあ、軽く“収容所”だった。

セリアは部屋の隅に蹲っていた。髪はバサバサ、視線は鋭い。
でも――その目は、“助けてほしい”と叫んでる。

「お前も、私を止めに来たの?」

「いや、“一緒に止め方を考えに来た”だけだよ」

俺はそう言って、彼女の隣に座った。
目線を合わせず、ただ距離を詰めないように静かに話す。

「セリア。君の暴走は“君のせい”じゃない。
でも、“君の感情が爆発したときどうすればいいか”は、君が知る必要がある」

彼女はうつむいたまま、震える声で答えた。

「怒ったとき、泣きそうなとき、胸が痛くなって、そしたら……全部、出ちゃうの。
魔法が、止まらないの」

「わかった。じゃあ、まずは――“自分の心がどうなってるかを知る”訓練から始めよう」

俺は“感情温度計”と呼ばれる道具を取り出した。
表情カード・カラースケール・簡易な呼吸法の指導。OT現場でよく使うあれ。

「今の君は、どの色?」

「……赤。すごく、赤」

「いいね、じゃあ“赤のときの過ごし方”を、一緒に考えていこう」

***

その日の夜。
ジークがポツリと言った。

「お前……この子に関わって、もしまた暴走したら、
誰かがケガするかもしれねぇ。それでも、続けるのか?」

「……うん。支援者ってのは、“何か起きる可能性があるからこそ、関わる勇気が要る”職業だろ?
俺たちOTは、“完璧”じゃなくて、“一緒に転ばない方法”を考えるプロなんだよ」

俺はそう言って、セリアの明日の支援計画を描き続けた。

彼女の魔法が“暴走”じゃなく、
“表現”になる日を信じて。

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