「OT転生!異世界でも作業療法は無敵です」

OT.deguchi

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第29話:“支援って誰のため?” Reforgeに届いた、ある親からの苦情

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「……この手紙、読んでくれる?」

フィリアが差し出してきたのは、やや乱暴に折り畳まれた封書。
送り主は、つばさルームに通っている子の保護者だった。

> “うちの子は、もっと厳しくしないとダメなんです。
甘やかすから、いつまで経っても“普通”になれないんです。

Reforgeのやり方は、ただの逃げ場じゃないですか?”



読んだ瞬間、室内の空気が一瞬止まった。
特に、かつて“支援される側”だったジークの眉がピクリと動いた。

「……こういうのが一番効くな」

俺は、手紙をそっとテーブルに置いて言った。

「でも、大事な視点だ。
親だって、“何を信じていいかわからない不安”の中にいるんだよ」

***

後日、俺はその保護者――**エリナさん(母親)**と、面談の場を設けた。

「うちの子……昔はもう少し話せてたんです。
でも最近は、“自分の気持ちを優先していい”なんて教えられてから、
ますますワガママになったように感じて……」

「……怖いんですね、“子どもがこのままだったら”って」

俺は正面から言葉を返した。

「“支援”って、何のためにするものだと思いますか?」

彼女は、うつむいたまま答えなかった。

だから俺が、答えた。

「“誰かの人生が、自分で選べるようになるため”にあります。
そのために、“安心”と“自分で決める練習”を用意してるんです」

「でも……“普通”になれないままじゃ、この子……」

「“普通”の定義、誰が決めたんですか?」

言葉に詰まるエリナさんに、
俺はゆっくり、自分の支援記録の一部を差し出した。

子どもが「自分の好きな時間を伝えられたこと」
「初めて怒らずに座っていられたこと」
「“ありがとう”を自分から言えたこと」

それは、**点数では測れない“生きる力”**だった。

「成績でも“見た目の普通さ”でもなく、
この子が、“自分を好きでいられる力”を育てたいんです。
それが、“生きていくための支援”ですから」

***

面談の帰り際、エリナさんがぽつりとつぶやいた。

「……私は、“変わってほしい”って願うことで、
この子を“否定”してたのかもしれませんね」

俺:「“変わってほしい”って願うのは、
この子を“信じてる”からですよ。
だったら、“変わるまでの時間を信じて待つ”のも、
同じぐらい愛なんじゃないですか?」

エリナさんは、小さく微笑んでうなずいた。

「……もう一度、ちゃんと向き合ってみます」

***

支援ってのは、“変わらせる”ためにあるんじゃない。
“変わる選択肢”をその人の手に戻すためにある。

俺たちは誰よりも、その人の“時間”を信じられる支援者でありたい。

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