「OT転生!異世界でも作業療法は無敵です」

OT.deguchi

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第56話:帰ってきた声

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雨が降りそうな午後。
Reforgeの工房に、一人の影が立っていた。

黒いフード、濡れた靴。
ノアが気づいたときには、もうその人物は扉の前に立っていた。

「……久しぶり、です」

その声に、ノアの目が見開かれる。

「……レミル……くん?」

言葉は少なかった。
けれど、その足取りには迷いがなかった。

彼は、自分の意志でReforgeに戻ってきた。

***

レミルは以前、支援中の事故がきっかけで通所をやめた。
ノアに対する恐怖も、支援に対する不信も、確かにあった。

けれど、ノアはそのあとも、
定期的に短い手紙を届けていた。

> 「今日は、静かな木の音を聞きました」
「誰もいない時間に、部屋を片づけてくれてありがとう」
「“また来てもいい”と思える日があれば、待ってます」



返信は一通もなかった。
でも今日、レミルは戻ってきた。

それは、**支援の「継続」ではなく、「関係の再選択」**だった。

***

作業室の隅で、レミルは木片を並べていた。
音も言葉もない。
けれど、明らかに“ここにいる”ことを彼自身が選んでいた。

ノアは、隣の席にそっと腰を下ろした。

言葉はかけなかった。
代わりに、一枚の紙をそっと置いた。

> 「今日も、“話さない日”にしよう。
並べたいものがあったら、それを見せてくれたらうれしいです」



レミルは、少しだけ目を細めて――
そのまま、紙に小さな丸をひとつ描いた。

***

夕方。
レミルが帰る直前、ノアに一枚のメモを渡した。

> 「“また来てもいい”って言葉が、ほんとだった。

それが、なんか安心した。」



ノアは、その文字を見て、少しだけ笑った。
震える手で書かれた文字は、
支援を拒んだ子が、“自分で戻ってきた”という証だった。

***

スタッフルームに戻ったノアは、
壁の支援記録表に、今日のことを丁寧に記した。

> 【通所者:レミル】
状態:自発的来所。非言語対応による安心形成あり
備考:“支援継続”ではなく、“支援再選択”による関係再構築



ジークが後ろから覗き込み、ぽつりと言った。

「……お前、ちゃんと“支援者”になってきたな」

ノアは小さく笑った。
でもその笑顔には、確かな重みと覚悟が宿っていた。

Reforgeは、誰かにとって“ずっといる場所”じゃなくていい。
でも――「また帰ってきてもいい」と思える場所ではありたい。

それが、“支援が終わっても終わらない”ということ。

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