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一章 〜冒険者編〜
魔法
しおりを挟む朝の弱いミズキだが、今朝は早くに起きていた。日本時間で言えば朝の5時くらいだろう。この世界の時間の進みは日本とかわりがなく、1日が24時間となっているのだ。
ミズキは昨日教えてもらった魔法の練習をするため、早速外に出た。
朝の街は人が少なく、煉瓦造りの道を朝日が照らし反射してくる光がとても眩しく感じる。そんな心地良い朝の道を、ミズキはどこで練習しようかと考えながら歩いていた。——しばらく歩いていると街の端っこまで来ていたらしく、街の入り口の門まできていた。
(街の外か……まぁ、しょうがないか)
それにしてもすごいなこの人……立ったまま寝てるよ。起こすのも可哀想だしこのまま通るか
朝早いせいか警備をしている門番は立ったまま寝ていた。朝の弱いミズキだからこそ分かる。朝に起こされるのがどんだけ辛いかを、仕事の途中に寝れる喜びを。そんなことを思いながら門をくぐっていった。
外に出たミズキが向かった先は街の目の前に見える大きな森だった。遠くから見たときはそうでもなかったが、近くまで来てみると思った以上に迫力があり、気圧されてしまうほどだった。
大森林なんてテレビとかでしかみたことがないミズキにとっては初めての体験で、全身に電気が駆け巡ったかのようにぶるっと震える
これが本物の森か……
少しの時間圧倒されていたミズキは「よしっ」と気合を入れ、ようやく森の中へと足を踏み入れた。
森の中を進んで行くうちに、木々によって光が遮られているのか想像以上に暗くなっていく。それでもミズキは足を止めることなく進んでいると、光が射し込んでいる少し開けた場所を見つけた。
おっ、明るい場所発見! あそこが良さそうだな
ミズキはその場所に向かって足を早めた。
ゆういつ光が差し込んでいる場所に着くとそこは、まるで管理されているかのように草花が綺麗に咲いていた。
ミズキはここを練習場所に決めると腰を下ろし少し休憩する
(そういえば普通に森の中に入ってきたけど、この世界って魔獣とかいるんだったか)
軽率な行動は控えないとな……それにしても……
空を眺め、ぼーっとする時間がしばらく続いた。
少し休んだミズキは立ち上がると、顎に手をつけどんな魔法を練習するか考え始める。とは言ってもミズキ自身どんな魔法があるのか知らないため、必然的に見たことのある魔法を練習するほかなかった。
現状、ミズキが目にした魔法は2種類あり、1つ目がエスティの使用した雷の槍を放つ魔法、2つ目はアティの使った土の枷で拘束する魔法だった。
雷の魔法を使えるようになれば攻撃魔法としては最適だが、アティの話だとこの世界で雷魔法を扱える者が2人しかいない。雷魔法を人前で使えばねずみ算式で噂が広がっていくだろうから優先度を下げ、何かと利便性の高そうな土の拘束魔法を練習することにした。
先ずは土属性の魔法で練習だ! あの時アティが使った魔法は確か……石錠だったか
早速ミズキは目を閉じ魔法のイメージをする
イメージ……イメージ……
(綱引きで使うような太さの綱。そして巻きつける)
——石錠!!
すると、イメージした通りの形をした土塊が木に巻きつくように出現した。
よしっ! できたぞ!
しかし、放った魔法は制御できていないのか巻きつく力が強く、「メキメキッ」と木が悲鳴をあげていた。
次の瞬間——拘束する力に耐えられず、音を立てながら木が倒れたのだ。
(なるほど、イメージの仕方と魔力操作か……)
目をつむって先ほどの魔法のイメージを保ったまま身体の内側に意識をやると、なにかが流れるのを感じる。
(……これが魔力?)
意識しなければわからないが、意識するとハッキリとわかる。血管に何か別のものが流れてる感じがしたのだ。この感覚を例えるなら点滴とでも言うべきであろう。
ミズキは目をあけると、詠唱もしていないのに拘束魔法が発動していることに気付いた。
むむっ……これはまさか、無詠唱というやつか? 詠唱はあくまでイメージをしやすくするためのもの……? あとで試してみるか
とりあえず今はと、体を巡る魔力の量を意識しつつ別の木に向かって再び詠唱した。
——石錠!!
すると、シュルシュルと木に巻きついた土の枷は、木を締め上げすぎることなく丁度いい状態を保っていた。「なるほど」とミズキは成功したことに喜ぶことはせずに、先ほどの無詠唱を試してみる。
(まずは槍をイメージ、魔力量を調節。そんで標的に向けて飛ばす!)
——どうだ!?
目の前に土の槍が出現し、投擲される。土の槍は木に向かって真っ直ぐにとんでゆき見事に貫いたのだ。
ミズキは本当にイメージだけで魔法が使えることがわかると、もう少し練習してから帰ることにした。
ミズキの魔法の練習はしばらく続き、3時間ほどが経った。
ふぅ……柄にもなく頑張りすぎたか……イメージの仕方は慣れるしかないとしても、魔法を使うとこんなに疲れるのか
(まるで残業したときみたいだな……)
普段ならこんな頑張らないミズキだが、流石に自分の命がかかってることからついつい頑張ってしまったのだ。
町に戻るために森の出口に向かって歩きだすと、そう遠くない場所から轟音が聞こえてきた。
凄い音だな……あっちに誰かいるのか?
なにか危険な匂いがするが「まぁ、大丈夫だろう」と好奇心に負けたミズキは音のする場所へと向かった。
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