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#012 理論と感覚のベクトル
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『双極』を受け取ってから数日経った放課後、僕と杏那さん、そして鍔井くんの三人は、美王先生の研究棟にある専用訓練室に来ていた。ガラス張りの壁に囲まれた広大な空間。内部には様々な計測機器が設置されており、ここが単なる運動施設ではないことを示している。
「よし……やってみるよ!」
僕は意を決して、メタモフォシス・ギアを起動させる。光に包まれ、身体にフィットするのは、もはや見慣れた黒と白を基調とした可憐なメイド服だ。手には、赤い柄と青い柄に塗り分けられた二本のナイフ。そして腰のホルダーには、それらと対になるように赤と青のナイフ――『双極』が収まっている。
「理論は簡単です。七座さんが右手に持った赤いナイフを振れば、『双極』の赤いナイフが同じ動きをトレースする。左手の青も同様。いわば、超高性能なラジコンのようなものです」
コントロールルームから、マイク越しに鍔井くんの冷静な声が響く。
「ラジコン、か……」
それなら、なんとかなるかもしれない。僕は右手の赤いナイフを、ゆっくりと水平に振ってみた。すると、ふわりと宙に浮いた『双極』の赤いナイフが、僕の手の動きを追って、同じように水平に滑る。
「お、おお……!」
感動したのも束の間、ナイフはふらふらと軌道を逸れ、錐揉み回転しながら床にガシャンと落下した。
「……あれ?」
「晴人さん、動きが硬すぎますわ。もっと滑らかに、力の流れを意識なさい」
訓練室の隅で見守っていた杏那さんから、的確な指摘が飛ぶ。僕は気を取り直し、今度は両手のナイフを同時に動かしてみる。右は薙ぎ払い、左は突き。二本の『双極』が宙を舞う。しかし、その動きはぎこちなく、まるで生まれたての子鹿のようだ。数秒後、二本のナイフは互いに引き寄せられるようにして激突し、けたたましい金属音を立てて床を転がった。
「うぅ……全然ダメだ……」
その後も、何度繰り返しても結果は同じだった。ナイフは壁に突き刺さったり、天井の照明に吸い寄せられたり、僕自身の身体に迫ってきて慌てて避けたりと、惨憺たる有様だ。ラジコンどころか、ただの暴走した鉄クズにしか見えない。
「……やはり、基礎が足りていませんね」
訓練を中断し、コントロールルームに戻ると、鍔井くんがモニターに表示されたデータを見ながら、静かにそう告げた。
「基礎、っていうと?」
「物理学の、特に電磁気学の知識です。七座さんは、磁力という現象をイメージだけで捉えようとしている。それでは精密な操作は不可能です」
彼の言葉は、僕の胸に鋭く突き刺さった。
翌日から、僕の特訓メニューに「電磁気学の基礎学習」が追加された。場所は、美王先生の研究室の一角を借りた即席の勉強スペース。先生役はもちろん、鍔井くんだ。
「まず、磁力とは何か。それは荷電粒子が運動することによって生じる場、つまり磁場の性質に起因します。そして、その磁場と電流、そして力の関係性を示すのが、有名なフレミングの左手の法則で――」
「え、えっと……荷電粒子が、運動……?」
「電子や陽子などが持つ電荷を帯びた粒子のことです。それが動くと、周囲に磁場が発生する。これは電磁誘導の基本原則ですが……」
「で、でんじゆーどう……」
目の前のホワイトボードは、僕の知らない数式と記号で埋め尽くされていく。鍔井くんの説明はどこまでも正確で論理的なのだろう。だが、物理アレルギーの僕の頭には、それがまるで古代の呪文のようにしか聞こえなかった。
「……この程度の原理を理解できないようでは、『双極』のポテンシャルを最大限に引き出すことは不可能です。あなたの成長は、僕の研究データにも直結します」
感情の読めない瞳でそう告げる鍔井くんの言葉には、責めているような響きはない。ただ、純粋な事実として、彼は僕の理解度の低さを指摘しているだけだ。だからこそ、余計に自分の不甲斐なさが身に染みた。
「ご、ごめん……僕、やっぱり……」
弱音を吐きかけた、その時だった。ポン、と軽く頭に手を置かれる。
「諦めるのはまだ早いですわ」
顔を上げると、いつの間にか隣に立っていた杏那さんが、呆れたような、それでいて優しい眼差しで僕を見下ろしていた。
「貴方はもう、『周りとは違う自分になる』という、次の目標を見つけたではありませんか。そのための試練ですわ。乗り越えられなくてどうしますの?」
先日交わしたばかりの、僕自身の決意。それを引き合いに出され、僕はハッとする。そうだ、僕はもう、ただ流されるだけの自分ではいたくないんだった。
「あらあら~、可愛いハルくんが眉間にシワを寄せちゃって。そんな顔も可愛いけどねぇ♡」
不意に、背後から甘い香りと共に柔らかな感触が僕を包み込む。振り返るまでもない、美王先生だ。
「先生……!」
「物理が苦手なら、無理に数式から入る必要はないわよ。まずは、もっと単純なイメージから掴んでみたら? 例えば、晴人くん自身が大きな磁石になるの。そして、ナイフは身体の一部。そう考えれば、少しは動かしやすくなるんじゃないかしら?」
「僕が、磁石に……?」
それは、鍔井くんの論理的なアプローチとは全く違う、感覚的なアドバイス。でも、不思議とすんなり頭に入ってくる気がした。
美王先生は僕の頭を優しく撫でると、悪戯っぽく笑う。
「ま、その不器用で粗削りなところが、データとしては最高に面白いんだけどね。君のその無意識の内に秘めた適合性が、理論をどう凌駕していくのか……先生、楽しみで仕方ないわ」
研究者としての鋭い光を宿した瞳。からかっているようでいて、その実、僕の可能性を誰よりも信じてくれているのが伝わってくる。
天才的な知識で僕を導こうとしてくれる、鍔井くん。
僕の決意を支え、隣で励ましてくれる、杏那さん。
そして、常識外れな方法で僕の視野を広げ、期待をかけてくれる、美王先生。
――僕は、なんて恵まれているんだろう。
以前の僕なら、きっとこの困難を前に一人で悩み、立ち止まってしまっていたはずだ。でも、今は違う。僕には、こんなにも心強い仲間たちがいる。
「……うん」
僕は顔を上げ、三人それぞれの顔をまっすぐに見つめた。
「僕、頑張るよ。物理の勉強も、ナイフの練習も、絶対に乗り越えてみせる。みんながいてくれるんだから、きっとできるはずだ!」
まだ、『双極』は上手く扱えない。電磁気学の教科書は、まるで暗号のようだ。
だけど、僕の胸の中には、確かな熱が灯っていた。この仲間たちと共に、僕は必ず強くなれる。新しい僕だけの居場所で、「特別な自分」になるために。
僕の新たな挑戦は、まだ始まったばかりだ。
「よし……やってみるよ!」
僕は意を決して、メタモフォシス・ギアを起動させる。光に包まれ、身体にフィットするのは、もはや見慣れた黒と白を基調とした可憐なメイド服だ。手には、赤い柄と青い柄に塗り分けられた二本のナイフ。そして腰のホルダーには、それらと対になるように赤と青のナイフ――『双極』が収まっている。
「理論は簡単です。七座さんが右手に持った赤いナイフを振れば、『双極』の赤いナイフが同じ動きをトレースする。左手の青も同様。いわば、超高性能なラジコンのようなものです」
コントロールルームから、マイク越しに鍔井くんの冷静な声が響く。
「ラジコン、か……」
それなら、なんとかなるかもしれない。僕は右手の赤いナイフを、ゆっくりと水平に振ってみた。すると、ふわりと宙に浮いた『双極』の赤いナイフが、僕の手の動きを追って、同じように水平に滑る。
「お、おお……!」
感動したのも束の間、ナイフはふらふらと軌道を逸れ、錐揉み回転しながら床にガシャンと落下した。
「……あれ?」
「晴人さん、動きが硬すぎますわ。もっと滑らかに、力の流れを意識なさい」
訓練室の隅で見守っていた杏那さんから、的確な指摘が飛ぶ。僕は気を取り直し、今度は両手のナイフを同時に動かしてみる。右は薙ぎ払い、左は突き。二本の『双極』が宙を舞う。しかし、その動きはぎこちなく、まるで生まれたての子鹿のようだ。数秒後、二本のナイフは互いに引き寄せられるようにして激突し、けたたましい金属音を立てて床を転がった。
「うぅ……全然ダメだ……」
その後も、何度繰り返しても結果は同じだった。ナイフは壁に突き刺さったり、天井の照明に吸い寄せられたり、僕自身の身体に迫ってきて慌てて避けたりと、惨憺たる有様だ。ラジコンどころか、ただの暴走した鉄クズにしか見えない。
「……やはり、基礎が足りていませんね」
訓練を中断し、コントロールルームに戻ると、鍔井くんがモニターに表示されたデータを見ながら、静かにそう告げた。
「基礎、っていうと?」
「物理学の、特に電磁気学の知識です。七座さんは、磁力という現象をイメージだけで捉えようとしている。それでは精密な操作は不可能です」
彼の言葉は、僕の胸に鋭く突き刺さった。
翌日から、僕の特訓メニューに「電磁気学の基礎学習」が追加された。場所は、美王先生の研究室の一角を借りた即席の勉強スペース。先生役はもちろん、鍔井くんだ。
「まず、磁力とは何か。それは荷電粒子が運動することによって生じる場、つまり磁場の性質に起因します。そして、その磁場と電流、そして力の関係性を示すのが、有名なフレミングの左手の法則で――」
「え、えっと……荷電粒子が、運動……?」
「電子や陽子などが持つ電荷を帯びた粒子のことです。それが動くと、周囲に磁場が発生する。これは電磁誘導の基本原則ですが……」
「で、でんじゆーどう……」
目の前のホワイトボードは、僕の知らない数式と記号で埋め尽くされていく。鍔井くんの説明はどこまでも正確で論理的なのだろう。だが、物理アレルギーの僕の頭には、それがまるで古代の呪文のようにしか聞こえなかった。
「……この程度の原理を理解できないようでは、『双極』のポテンシャルを最大限に引き出すことは不可能です。あなたの成長は、僕の研究データにも直結します」
感情の読めない瞳でそう告げる鍔井くんの言葉には、責めているような響きはない。ただ、純粋な事実として、彼は僕の理解度の低さを指摘しているだけだ。だからこそ、余計に自分の不甲斐なさが身に染みた。
「ご、ごめん……僕、やっぱり……」
弱音を吐きかけた、その時だった。ポン、と軽く頭に手を置かれる。
「諦めるのはまだ早いですわ」
顔を上げると、いつの間にか隣に立っていた杏那さんが、呆れたような、それでいて優しい眼差しで僕を見下ろしていた。
「貴方はもう、『周りとは違う自分になる』という、次の目標を見つけたではありませんか。そのための試練ですわ。乗り越えられなくてどうしますの?」
先日交わしたばかりの、僕自身の決意。それを引き合いに出され、僕はハッとする。そうだ、僕はもう、ただ流されるだけの自分ではいたくないんだった。
「あらあら~、可愛いハルくんが眉間にシワを寄せちゃって。そんな顔も可愛いけどねぇ♡」
不意に、背後から甘い香りと共に柔らかな感触が僕を包み込む。振り返るまでもない、美王先生だ。
「先生……!」
「物理が苦手なら、無理に数式から入る必要はないわよ。まずは、もっと単純なイメージから掴んでみたら? 例えば、晴人くん自身が大きな磁石になるの。そして、ナイフは身体の一部。そう考えれば、少しは動かしやすくなるんじゃないかしら?」
「僕が、磁石に……?」
それは、鍔井くんの論理的なアプローチとは全く違う、感覚的なアドバイス。でも、不思議とすんなり頭に入ってくる気がした。
美王先生は僕の頭を優しく撫でると、悪戯っぽく笑う。
「ま、その不器用で粗削りなところが、データとしては最高に面白いんだけどね。君のその無意識の内に秘めた適合性が、理論をどう凌駕していくのか……先生、楽しみで仕方ないわ」
研究者としての鋭い光を宿した瞳。からかっているようでいて、その実、僕の可能性を誰よりも信じてくれているのが伝わってくる。
天才的な知識で僕を導こうとしてくれる、鍔井くん。
僕の決意を支え、隣で励ましてくれる、杏那さん。
そして、常識外れな方法で僕の視野を広げ、期待をかけてくれる、美王先生。
――僕は、なんて恵まれているんだろう。
以前の僕なら、きっとこの困難を前に一人で悩み、立ち止まってしまっていたはずだ。でも、今は違う。僕には、こんなにも心強い仲間たちがいる。
「……うん」
僕は顔を上げ、三人それぞれの顔をまっすぐに見つめた。
「僕、頑張るよ。物理の勉強も、ナイフの練習も、絶対に乗り越えてみせる。みんながいてくれるんだから、きっとできるはずだ!」
まだ、『双極』は上手く扱えない。電磁気学の教科書は、まるで暗号のようだ。
だけど、僕の胸の中には、確かな熱が灯っていた。この仲間たちと共に、僕は必ず強くなれる。新しい僕だけの居場所で、「特別な自分」になるために。
僕の新たな挑戦は、まだ始まったばかりだ。
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