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#028 シンクロニシティ
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長野県、北アルプスの懐に抱かれた山間の町。その上空を、輸送ユニット『シュライク』が、音もなく滑るように飛行していた。眼下に広がるのは、晩秋の深い森と、その中に孤立したように佇む、白亜の療養施設。普段であれば、穏やかな時間が流れているはずのその場所は今、異様な静寂に包まれていた。
アンファングのコックピットで、美生奈さんはメインモニターに映し出される町の映像を見つめていた。管制室から送られてくるデータによれば、町の中心部――療養施設の周囲に、一体のロスト・エヴォルヴが出現しているという。
「タイプB、ロスト・エヴォルヴ。識別名『ガーディアン』……ですか。ずいぶんと物騒な名前とは裏腹に、ずいぶん大人しい個体のようですね」
「これまでのデータを基にAI『オーディン』が暫定的に付けた識別名です。対象は出現以来、療養施設から半径三百メートルの範囲を徘徊するのみ。汚染胞子の散布も限定的で、威嚇行動以上の攻撃性は確認されていない。だからこそ、僕らの出番が来た、という訳です」
と、冷静な声で返す。僕の指は、コンソールの上を滑るように動き、シュライクからの最終エネルギー充填とシステムチェックを完了させていく。
今回の作戦は、異例ずくめだった。敵性存在の対応はアンファングが単独で行い、シークェルチーム及び国防軍の部隊は、後方での民間人救助と避難誘導に専念する。敵の攻撃性が低いと判断されたからこその、役割分担だった。
「折角つけていただいた装備ですが、今回は出番がなさそうですね」
美生奈さんは、肩越しに自機のシルエットを確認する。先日取り付けられたばかりの、無骨な追加兵装パッケージ『アームド・ファランクス』。シークェルチームの合理主義が生んだ、継戦能力向上のための贈り物。だが、今日の任務は陽動。敵の注意を引きつけ、その隙に救助を完了させるという、繊細なコントロールが要求される。ミサイルやガトリング砲は、明らかに不釣り合いな代物だった。
「……どうですかね。実際の戦場では何が起きるかわかりませんから」
その短い返答と同時に、シュライクのクランプアームが解放される。電磁カタパルトによる射出の軽い衝撃と共に、純白の巨体は、静寂に包まれた町へと舞い降りた。
『こちら軍場。救助部隊、これより施設への進入を開始する。アンファング、陽動を頼む』
『……せいぜい、お遊びで終わらせないことね』
通信機から、軍場宗十郎の淡々とした声と、篝伊佐那の棘のある声が響く。
「了解。これより陽動を開始します」
そう言って操縦桿を握る。アンファングは、巨大な機体とは思えぬしなやかな動きで、療養施設へと向かって歩を進めた。
森を抜けると、視界が開ける。施設の正面玄関前のロータリーに、それはいた。
全長約三十メートル。植物の蔦と、甲殻類の外骨格が歪に融合したような姿。これまでのロスト・エヴォルヴのデータにはない、全くの新型個体だ。その個体――『ガーディアン』は、アンファングの接近に気づくと、威嚇するように身体中の棘を逆立てたが、それ以上の行動は見せない。ただ、その場を動かず、アンファングをじっと観察しているかのようだった。
「……何なのでしょう。殺意も、縄張りを主張するような敵意も感じられません。なんだか……怯えている、みたい……?」
美生奈さんが、人工筋肉から伝わる微細な大気の振動を読み取りながら、直感的な感想を漏らす。
「まずはこの状況を打破します」
そう言って僕は、アンファングの右腕をゆっくりと上げた。だが、その手には何の武装も握られていない。そのまま、地面の土をひとすくい掴むと、ガーディアンから大きく逸れた方向へと、それを投げつけた。
パラパラと乾いた土が地面に落ちる音。その、あまりに些細な物音に、ガーディアンは過剰なまでに反応し、そちらへ向かって威嚇の唸り声を上げた。
「やはり、聴覚が極端に鋭敏で、警戒心が強い。これなら、派手な動きは必要ありません」
狙いは正しかった。この個体は、大きな動きや音に極めて敏感に反応する。アンファングは、それから数十分にわたり、まるで巨大な猫じゃらしで気まぐれな獣の気を引くかのように、巧みにガーディアンを翻弄し続けた。地面を爪先で軽く引っ掻いてみたり、わざとらしく小石を蹴り飛ばしてみたり。僕の天才的な状況分析と、美生奈さんの生物の動きをトレースするかのような繊細な機体制御が、完璧な陽動を成立させていた。
その間、施設の内部では、軍場たちが指揮する救助チームが、プロフェッショナルな手際で、逃げ遅れた患者や職員たちを次々と救出していく。作戦は、あまりに順調に進んでいるように思われた。
――その均衡が、唐突に破られたのは、作戦開始から三十分が経過した頃だった。
『こちら救助第三班! 西棟三階、最後の要救助者を発見! ストレッチャーを要請する!』
その報告が司令部に入った、まさにその瞬間だった。
それまでアンファングの陽動に律儀に反応していたガーディアンが、全ての動きをピタリと止めた。そして、まるで天啓を得たかのように、勢いよく顔を上げ、一直線に療養施設の西棟を見据えた。
「……! 様子がおかしい!」
美生奈さんが叫ぶ。ガーディアンの身体から、これまでとは比較にならないほどの敵意と、そして焦りのような生体エネルギーが放出されるのを、彼女は肌で感じ取っていた。
次の瞬間、ガーディアンはアンファングの存在など完全に無視し、救助チームがいる西棟へ向かって、大地を揺るがすほどの勢いで突進を開始した。
「くっ……! 思考パターンが変化した!? なぜだ!」
今から回り込んで進路を塞いでも間に合わない。この場で、あの巨体を確実に止められる手段は、一つしかない。
「美生奈さん、衝撃に備えて! アームド・ファランクス、腕部ガトリング、起動!」
躊躇している時間はない。彼女は即座にエネルギー系統を調整し、追加兵装へとパワーを供給する。
アンファングの前腕部を覆っていた装甲がスライドし、三つの銃口が束ねられた砲身が姿を現す。システムが自動でガーディアンの脚部をロックオンした。
「目標、脚部! 攻撃目的は破壊ではなく、動きの停止だ! 撃て!」
ガトリング砲が咆哮を上げた。毎分三千発の徹甲弾が、炎の帯となってガーディアンの足元に突き刺さる。土煙が舞い上がり、硬い外骨格が砕け散る甲高い音が響き渡った。
脚部に甚大なダメージを受けたガーディアンは、苦痛の叫びを上げ、前のめりに体勢を崩す。その突進は、確かに止まった。
だが、その時だった。
『――ああああああああああああああッ!!』
アンファングのコックピットに、そして作戦に参加する全部隊の通信回線に、少女の甲高い悲鳴が、ノイズと共に迸った。
『攻撃中止! アンファング、攻撃を中止せよ!』
管制室からの切羽詰まった命令が飛ぶ。咄嗟に攻撃を中断した。モニターには、苦悶に顔を歪め、全身を痙攣させる少女の姿が映し出されている。西棟三階の病室。救助チームがまさにストレッチャーに乗せようとしていた、一人の寝たきりの少女。彼女が、先ほどの悲鳴の発信源だった。その痛がり方は、まるで、自分が撃たれたかのように見えた。
「一体、何が……」
目の前の光景が信じられず、呆然と呟いた。
なぜ、怪獣を攻撃しただけで、一人の少女が悲鳴を上げる? 論理が、思考が、目の前の不条理な現実に追いつかない。管制室もまた、前代未聞の事態にパニックに陥っていた。
『救助班!その少女の情報を!』
『少女の名前は、鳴海潤葉!数日前、町の外れの山中で倒れているところを発見され、この病院に運び込まれていたとのことです!倒れていた原因は全くの不明、今の今まで昏睡状態にあり、眠っていたとのことですが……!』
『それが何故このタイミングで叫び出したんだ!』
だが、その混乱の中、三人の天才だけは、冷静に、そして戦慄と共に、その現象の本質に気づき始めていた。
『蟹江教授! アンファングのセンサーが、ロスト・エヴォルヴから極めて特殊な量子パターンを検出! これは……人間の脳波に酷似しています!』
『こちら救助班の医療チーム! 要救助者、鳴海潤葉の脳波を測定! パターンが……異常です! 人間のものじゃない……まるで、未知の生体エネルギーそのもの……!?』
二つの報告が、ほぼ同時に司令部へと届く。綾辻教授が、震える声でその二つのデータをコンソール上で重ね合わせた。そこに映し出された二つの波形は、寸分違わず、完全に一致していた。
紫京院教授が、信じられないものを見るかのように目を見開き、息を呑んで告げた。
「……そんな、馬鹿な……。まさか……」
モニターに、戦慄の事実がテキストで表示される。
『警告:対象個体『ガーディアン』の生体エネルギーパターンと、要救助者『鳴海潤葉』の脳波パターン、完全同期を確認』
アンファングのコックピットで、美生奈さんはメインモニターに映し出される町の映像を見つめていた。管制室から送られてくるデータによれば、町の中心部――療養施設の周囲に、一体のロスト・エヴォルヴが出現しているという。
「タイプB、ロスト・エヴォルヴ。識別名『ガーディアン』……ですか。ずいぶんと物騒な名前とは裏腹に、ずいぶん大人しい個体のようですね」
「これまでのデータを基にAI『オーディン』が暫定的に付けた識別名です。対象は出現以来、療養施設から半径三百メートルの範囲を徘徊するのみ。汚染胞子の散布も限定的で、威嚇行動以上の攻撃性は確認されていない。だからこそ、僕らの出番が来た、という訳です」
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今回の作戦は、異例ずくめだった。敵性存在の対応はアンファングが単独で行い、シークェルチーム及び国防軍の部隊は、後方での民間人救助と避難誘導に専念する。敵の攻撃性が低いと判断されたからこその、役割分担だった。
「折角つけていただいた装備ですが、今回は出番がなさそうですね」
美生奈さんは、肩越しに自機のシルエットを確認する。先日取り付けられたばかりの、無骨な追加兵装パッケージ『アームド・ファランクス』。シークェルチームの合理主義が生んだ、継戦能力向上のための贈り物。だが、今日の任務は陽動。敵の注意を引きつけ、その隙に救助を完了させるという、繊細なコントロールが要求される。ミサイルやガトリング砲は、明らかに不釣り合いな代物だった。
「……どうですかね。実際の戦場では何が起きるかわかりませんから」
その短い返答と同時に、シュライクのクランプアームが解放される。電磁カタパルトによる射出の軽い衝撃と共に、純白の巨体は、静寂に包まれた町へと舞い降りた。
『こちら軍場。救助部隊、これより施設への進入を開始する。アンファング、陽動を頼む』
『……せいぜい、お遊びで終わらせないことね』
通信機から、軍場宗十郎の淡々とした声と、篝伊佐那の棘のある声が響く。
「了解。これより陽動を開始します」
そう言って操縦桿を握る。アンファングは、巨大な機体とは思えぬしなやかな動きで、療養施設へと向かって歩を進めた。
森を抜けると、視界が開ける。施設の正面玄関前のロータリーに、それはいた。
全長約三十メートル。植物の蔦と、甲殻類の外骨格が歪に融合したような姿。これまでのロスト・エヴォルヴのデータにはない、全くの新型個体だ。その個体――『ガーディアン』は、アンファングの接近に気づくと、威嚇するように身体中の棘を逆立てたが、それ以上の行動は見せない。ただ、その場を動かず、アンファングをじっと観察しているかのようだった。
「……何なのでしょう。殺意も、縄張りを主張するような敵意も感じられません。なんだか……怯えている、みたい……?」
美生奈さんが、人工筋肉から伝わる微細な大気の振動を読み取りながら、直感的な感想を漏らす。
「まずはこの状況を打破します」
そう言って僕は、アンファングの右腕をゆっくりと上げた。だが、その手には何の武装も握られていない。そのまま、地面の土をひとすくい掴むと、ガーディアンから大きく逸れた方向へと、それを投げつけた。
パラパラと乾いた土が地面に落ちる音。その、あまりに些細な物音に、ガーディアンは過剰なまでに反応し、そちらへ向かって威嚇の唸り声を上げた。
「やはり、聴覚が極端に鋭敏で、警戒心が強い。これなら、派手な動きは必要ありません」
狙いは正しかった。この個体は、大きな動きや音に極めて敏感に反応する。アンファングは、それから数十分にわたり、まるで巨大な猫じゃらしで気まぐれな獣の気を引くかのように、巧みにガーディアンを翻弄し続けた。地面を爪先で軽く引っ掻いてみたり、わざとらしく小石を蹴り飛ばしてみたり。僕の天才的な状況分析と、美生奈さんの生物の動きをトレースするかのような繊細な機体制御が、完璧な陽動を成立させていた。
その間、施設の内部では、軍場たちが指揮する救助チームが、プロフェッショナルな手際で、逃げ遅れた患者や職員たちを次々と救出していく。作戦は、あまりに順調に進んでいるように思われた。
――その均衡が、唐突に破られたのは、作戦開始から三十分が経過した頃だった。
『こちら救助第三班! 西棟三階、最後の要救助者を発見! ストレッチャーを要請する!』
その報告が司令部に入った、まさにその瞬間だった。
それまでアンファングの陽動に律儀に反応していたガーディアンが、全ての動きをピタリと止めた。そして、まるで天啓を得たかのように、勢いよく顔を上げ、一直線に療養施設の西棟を見据えた。
「……! 様子がおかしい!」
美生奈さんが叫ぶ。ガーディアンの身体から、これまでとは比較にならないほどの敵意と、そして焦りのような生体エネルギーが放出されるのを、彼女は肌で感じ取っていた。
次の瞬間、ガーディアンはアンファングの存在など完全に無視し、救助チームがいる西棟へ向かって、大地を揺るがすほどの勢いで突進を開始した。
「くっ……! 思考パターンが変化した!? なぜだ!」
今から回り込んで進路を塞いでも間に合わない。この場で、あの巨体を確実に止められる手段は、一つしかない。
「美生奈さん、衝撃に備えて! アームド・ファランクス、腕部ガトリング、起動!」
躊躇している時間はない。彼女は即座にエネルギー系統を調整し、追加兵装へとパワーを供給する。
アンファングの前腕部を覆っていた装甲がスライドし、三つの銃口が束ねられた砲身が姿を現す。システムが自動でガーディアンの脚部をロックオンした。
「目標、脚部! 攻撃目的は破壊ではなく、動きの停止だ! 撃て!」
ガトリング砲が咆哮を上げた。毎分三千発の徹甲弾が、炎の帯となってガーディアンの足元に突き刺さる。土煙が舞い上がり、硬い外骨格が砕け散る甲高い音が響き渡った。
脚部に甚大なダメージを受けたガーディアンは、苦痛の叫びを上げ、前のめりに体勢を崩す。その突進は、確かに止まった。
だが、その時だった。
『――ああああああああああああああッ!!』
アンファングのコックピットに、そして作戦に参加する全部隊の通信回線に、少女の甲高い悲鳴が、ノイズと共に迸った。
『攻撃中止! アンファング、攻撃を中止せよ!』
管制室からの切羽詰まった命令が飛ぶ。咄嗟に攻撃を中断した。モニターには、苦悶に顔を歪め、全身を痙攣させる少女の姿が映し出されている。西棟三階の病室。救助チームがまさにストレッチャーに乗せようとしていた、一人の寝たきりの少女。彼女が、先ほどの悲鳴の発信源だった。その痛がり方は、まるで、自分が撃たれたかのように見えた。
「一体、何が……」
目の前の光景が信じられず、呆然と呟いた。
なぜ、怪獣を攻撃しただけで、一人の少女が悲鳴を上げる? 論理が、思考が、目の前の不条理な現実に追いつかない。管制室もまた、前代未聞の事態にパニックに陥っていた。
『救助班!その少女の情報を!』
『少女の名前は、鳴海潤葉!数日前、町の外れの山中で倒れているところを発見され、この病院に運び込まれていたとのことです!倒れていた原因は全くの不明、今の今まで昏睡状態にあり、眠っていたとのことですが……!』
『それが何故このタイミングで叫び出したんだ!』
だが、その混乱の中、三人の天才だけは、冷静に、そして戦慄と共に、その現象の本質に気づき始めていた。
『蟹江教授! アンファングのセンサーが、ロスト・エヴォルヴから極めて特殊な量子パターンを検出! これは……人間の脳波に酷似しています!』
『こちら救助班の医療チーム! 要救助者、鳴海潤葉の脳波を測定! パターンが……異常です! 人間のものじゃない……まるで、未知の生体エネルギーそのもの……!?』
二つの報告が、ほぼ同時に司令部へと届く。綾辻教授が、震える声でその二つのデータをコンソール上で重ね合わせた。そこに映し出された二つの波形は、寸分違わず、完全に一致していた。
紫京院教授が、信じられないものを見るかのように目を見開き、息を呑んで告げた。
「……そんな、馬鹿な……。まさか……」
モニターに、戦慄の事実がテキストで表示される。
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