異世界に飛ばされたけど『ハコニワ』スキルで無双しながら帰還を目指す

かるぼな

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93.分解

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 いま、俺の前には正座をした竜人達がいる。
 
 戦いは結果的に俺の快勝だった。
 
 途中からシーナとネネがナリーとマリーを家の中に連れて行ったところをみると随分と刺激的だったのかもしれない。

 『束縛』で口を塞ぎしゃべれない様にしてから『回復』等を使い、色々と実験してみた。
 意外にタフだったので成果はあった。
 彼らにはトラウマかもしれないけど感謝しかない。

「な、生意気を言ってすみませんでした」
「す、すみませんでした」

 土下座をして謝罪する二人の竜人。
 そんなに謝られてもな。

「いやいや、顔を上げてくれ。こちらもいい実験になった」

 シーナとネネの訓練に活かせそうな事も色々あったので感謝したいぐらいだ。

 『変化』で作った手も『幻手』というスキルとして確立した。
 これからは『幻手』を使えばいいので便利だ。

「人間も中々強いだろ?」

 ライドは竜人達にいう。
 お前は俺の保護者か。

「ああ、とんでもない人間がいたものだ」
「信じられない強さだな」

 尻尾を使った戦いは参考になる。
 人間とは違い間合いが取りにくかったけど、まあ何とかなった。

 『ハコニワ』に吸収させれば竜人も召喚できるようになるかもしれない。
 途中でそんなことを思ったけど、こちらに殺意を持って攻撃してきていなかったのでやめておいた。
 せいぜい、痛い目にみせてやろうぐらいの気概しか見えなかったのでこれでいいだろう。

 あまり人の道に外れるのも気が引ける。
 まあ、それ以外は子供に見せれるようなものではなかったので、ナリーとマリーを見えないところに避難してくれたシーナとネネに感謝したい。

「それで結局あの水晶の巫女様を助けて何をやらせたいんだ?」

 あれだけ敵意剥き出しだった竜人達は顔を見合わせ大人しく話始める。

「巫女様の力を使って助けていただきたい人がいるのだ」
「病気か何かなのか?」
「ああ、俺達も良く分からないのだけど、なぜか『回復』も『治癒』も効かないみたいなんだ」
「そうなのか。どんな状態なんだ?」

 『回復』も『治癒』も効果がないなんて不思議だ。

「ずっと寝たままで意識が戻らないんだ。俺達も色々と手は尽くしたのだが……」
「巫女様を助ければ解決できるのか?」
「正直に言うと分からない。しかし巫女様はあらゆる病気を治せたと伝えられている。そこに我々は賭けてこの地に足を運んでいる」

 現状何も変わらないから巫女様に賭けてみようってことか。
 
「レンヤさんなら巫女様も助け出せるでしょうし、病気も治せるのではないのでしょうか?」

 シーナが皆に聞こえないように小声で俺に言う。
 竜人達に過度な期待をさせないように気を使ってくれたみたいだ。
 頭を撫でてあげたい衝動に駆られるけど、年頃の女性は嫌がるだろうからやめておく。

 結論からいうと、両方とも可能だと思う。
 ただ巫女様に関しては自らの意思で閉じこもっていると聞いた。
 そんな人を強引に引きずり出していいのかということだ。
 でも若い竜人達が困っているなら、先人である巫女様も助けてくれるかもしれない。

「じゃあ、とりあえず巫女様を救出してみるか」
「えっ、そんなことが可能なんですか!」
「まさか! 人間が! いや、レンヤ殿が特別なのは分かっている。しかしどうやって?」

 竜人達は言う。

「ああ、少し試したいことがある」
「やっぱりレンヤさん解決してあげるのですわね」
「レンヤさん意外に面倒見がいいですものね」

 シーナとネネは言う。
 意外にって普段どう見えているんだ。

「まあ、出来るかもしれない程度だ。過度な期待はしないでくれ」
「ああ、それでもよろしく頼む」
「お願いする」

 二人の竜人は頭を下げてきた。

「分かった」

 結晶化された水晶の元に皆集まる。

「『雷纏』!」

 俺は雷を纏い微弱な電気を水晶に流してみた。
 それに言葉を乗せるイメージで中の巫女様に話しかける。

『おーい、聞こえるか』
『……』

 もう少し強めにいってみるか。

『……』

 10倍ぐらいでいってみるか。

『ババババババ』

 おっ、何か反応がある。
 少し弱めると声が聞こえた。

『いきなりなにするんですか! しびれたじゃないですか!』
『悪い悪い、調整が難しくてな。あんた巫女様?』
『そうですけど。あれ貴方、人間?』
『ああ、そうだ。ちょっとあんたに助けを求めている人がいてな。そこから出て来てくれないか?』
『私に助けを?』
『ああ、あんたと同じ若い竜人達だよ』
『そうなんですね……』

 歯切れが悪いな、いや電波切れか?

『あんたが出たくないって言う話は聞いたんだけど、後人の為に力になれないか?』
『ええっと、出たくないって訳じゃないんだけど、出られなくなっちゃたのよ』
『はあ? 自分で作ったんだろこれ?』
『ま、まあそうなんだけど硬くし過ぎたのか、出られなくなっちゃった』

 てへ、とかいいそうな雰囲気だ。
 巫女様とか言うからもっと尊厳がある人物をイメージしていた。

『じゃあ壊しても文句はないな』
『は、はい。でも、でも私まで壊さないでくださいね』
『……りょーかい』

 周りだけを破壊するイメージは何となく俺の中にある。
 水晶全体に電気を行き渡らせると俺は新しく覚えたあれを唱えた。
 
「『分解』!!」
「パアアアアン!」

 巫女様の周りの水晶はガラスのように砕け散った。
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