婚約破棄と追放をされたので能力使って自立したいと思います

かるぼな

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第53話 貫禄ありますね

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 遂に国王との謁見の日がやって来た。
 王宮にある一際大きな部屋である謁見の間。
 イーサンと一緒にレイナはそこに通される。

 部屋の中には国王を始め重鎮達が控えレイナ達を迎えた。
 豪華な装飾と厳格な雰囲気にレイナの緊張感はピークに達する。
 イーサンが隣にいなければレイナは逃げ出していたかもしれない。

 国王の前に行くとイーサンがレイナの紹介をする。
 レイナは続いて名乗る。

「お初にお目にかかります国王様。レイナと申します」

 レイナは合っているかは分からないけれどと、それらしい挨拶をしてみる。
 国王に会うなど前世もこの世界でも無かった事だ。
 見上げ見た国王は威厳に満ち雰囲気と風格がある。
 顔立ちはイーサンに似ており、将来イーサンもこんな感じになるのだろうかとレイナは想像する。

 少し間をおいて国王が口を開く。

「よく来たなレイナ。いやリーネ・アルソフィと言った方がいいか?」
「!?」

 優しい雰囲気からの強烈な一撃。
 本名を知られている事にレイナは驚く。
 イーサンには伝えていたので国王も知っていたのかもしれない。
 レイナはチラッと横にいるイーサンを見るも、自分ではないと首を振る仕草で情報元はイーサンでない事を確認する。
 素性を調べられたって事だろうとレイナは理解した。

 戸籍がある世界なら分かるが、この世界でそんなに簡単に分かるものだろうかと、レイナは王家の情報網に驚き、恐怖さえ覚える。
 
「いえ、今はレイナと名乗っております」

 完全に調べられているので嘘を言っても仕方がないとレイナは素直に答える。

「そうか。ではレイナと呼ぶ事にしよう。そなたの事は報告を受けている。非常に興味深い」

 そして国王の代わりに側近の人間がレイナがこれまで行った事を列挙していく。
 周りの人間にも周知させる様に続けられる。

「……特筆すべきは先日行われたアルティアーク公爵家の御子息への解呪であります」

 側近の読み上げが終了すると、また国王が口を開く。

「レイナ、そなたは回復魔法を持ち特殊な回復薬となる薬草を生み出し、そして未知なる病を見抜きそれを治した。そういう事でよいかな?」
「……はい」
「「「おおっ!」」」

 周囲が騒つく。
 間違ってはいないが、偉業を成し遂げた様な言い方にレイナは戸惑う。

「余が知る限りレイナの能力は特異であり国の管理が必要と考える。どうかな皆の者?」

「確かに強力な能力であり国の為に活かす力でありますな」
「国として早急な囲い込みが必要でしょう!」

 側近達も国王に賛同する。
 恐れていた事が現実になってしまったとレイナはこの先の展開に不安を感じた。
 国王は手をあげて騒ぎを鎮める。

「イーサン、お前はどう思う?」

「はい。レイナの力は確かに脅威であり興味深いものがあります。しかしながら彼女はこの国の人間ではありません」
「ほう、この国に縛り付けることは出来ないという事か?」
「仰るとおりです。束縛が酷ければこの国から出て行く可能性があります」
「監禁してでも他国には行かせないと言ったら?」

 国王が言えば本当になるんだろうなとレイナは息を呑む。

「そうすればレイナはこの国の為に力を使わないでしょう」
「洗脳や操作系の能力で従わらせればよいのではないか?」
 
 普通に犯罪行為なのでは? とレイナは国王の過激な提案に寒気を覚える。

「レイナの能力は未知な部分も多く解明されておりません。解呪に関しても偶然が重なった結果であり再現性は乏しいかと」

 イーサンはレイナ能力の偶然性を訴え不確定要素をアピールする。

「まだ発展途上だと?」
「はい。彼女の感情が大きく作用される能力であるのは間違いなく、レイナの意思を尊重しない行為は得策ではないと愚考します」

 レイナも分かっていない能力なのにイーサンが詳細を知っているはずもない。
 感情がうんぬんなどと言うのはイーサンのハッタリであり、レイナを守る為の策だろうと言うことがレイナにも分かった。

「そこまで言うからには代替案があるのだろうな?」

 国王の追及は厳しい。イーサンは切り返す。

「国で保護する名目で極秘にレイナの能力の解明と成長を促したいと考えております」
「ほう、先行投資という訳か」
「はい。将来的にこの国に住んでいなくてもレイナには協力者として、この国の為に力を振るって貰える関係を構築すべきかと」
「彼女に恩を着せると言うことか……」
「はい。それが国にとっても大きな意味があると思われます」

 それを本人の目の前で言うのはどうなのだろうかと、レイナは二人を見守る事しか出来ない。

「確かに。甘い考えではあるが、自主的に協力してくれる関係を保てるのならば、それに越したことは無い」

 洗脳や能力に頼らなくても強制的に従わらせる方法がある中で、国王はこの様な見解を示した。
 レイナに自主的に能力を使ってもらう方がメリットがあると考えたのかもしれない。

「レイナ、そなたの意見はどうだ?」

 国王は当事者であるレイナに聞く。

「イーサン様が言われた通り、私の能力は未知な部分が多く制御に関して不安があります」

 これがベストな回答だろうと、レイナはイーサンの策略に乗ることにする。

「見極める意味でも時間が必要だと?」
「はい。その通りでございます」

 国王は威厳を持って口を開く。

「結論は出た。今後はイーサン、お前がレイナを管理し協力者として正式に契約出来るように育てていけ」
「はっ!」
「勿論、他の者が彼女と直接交渉する事、そして彼女の存在を他言する事は禁ずる!!」
「「「はっ!」」」

 レイナはイーサンの管理下に置かれる事となった。

 国王は玉座から降りてレイナの元に近づき小声で言う。

「そう言う事でよろしく頼むぞ。白銀の聖女よ!」
「えっ!?」

 白銀の聖女と言うのはシールズがレイナに向けて言った言葉でありイーサンすら知らない。
 レイナは改めて王族の情報収集能力を恐ろしく感じる。

「以上だ。二人とも大儀であった!」

 国王との謁見はこうして幕を閉じた。
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