風の魔導師はおとなしくしてくれない

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一章 海の国へ

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 狩りの日から数日後。アクトール魔導院での修行の日々に戻ったルイは、ティルナから風の吹く新しい紋章を見つけたと報告を受けた。魔導の力がこもる紋章は、森の中など魔力の豊富なところに浮かび上がることがある。それを読み解き、魔導具を作るのが紋章師の仕事だ。

 ティルナは紋章に詳しく、よくアクトールの裏の森に探索に行っていた。今日も探索に出かけていたところ、今まで見たことのない紋章を発見したという。

「森の中でルイが魔導を使っていたから、風の魔力がたまったんじゃないかな。これを読み解けば風の魔導具が作れるかもしれないよ!」

 興奮するティルナに連れられ、ルイは森の奥に足を踏み入れた。ティルナのあとを追いながら、風の魔導具が開発されたら自分はどうなるのだろうと考えた。今は風の魔導師が珍しいから重宝されているが、海の国に風が吹くのが当たり前になったらルイの存在価値はなくなる。ルイは今の生活がなくなってしまうのではないかと怖くなった。

「こっち!」

 さんざん歩いたのに疲れた様子を一切見せないティルナは、大きな木の前にしゃがみこんでルイを呼んだ。ルイがやってくるとティルナはさっと立ち上がって足元を指さした。木の幹から盛り上がったこぶに、くねくねとした紋章が描かれている。

「どう? 風の紋章っぽくない?」
「うーん……」

 ルイはしゃがんで紋章を見たが、紋章を読む勉強はあまりやってこなかったのでさっぱりわからない。正直にそう言おうと思ったとき、後頭部に強い衝撃を受けてなにもわからなくなった。



「う……」

 頭が鈍く痛み、ルイは目を覚ました。頭を触ろうとして、両手が後ろで一つに縛られていることに気がついた。

 ルイは慌てて周囲を確認した。まだ森の中だ。岩でごつごつした周囲から少し窪んだところに座っていて、両手は枯れて折れた大木の根っこに縄でぐるぐる巻きにされている。

「なんだこれ……あっ」

 ルイは少し向こうにティルナが座っているのを見つけた。

「ティルナ!」

 ルイが呼ぶと、ティルナはうつむいていた顔を上げ、立ち上がってルイのほうへ歩いてきた。ルイが縛られているというのに顔色一つ変えない。ルイはわけがわからなくて、無表情のティルナを見上げた。

「ティルナ……? なにがあったんだ? これ、ほどいてくれないか?」

 ティルナは黙って首を横に振った。

「ほどかないよ。ここは森の奥で誰も来ないところ。ここで死んでくれる?」

 ルイは息をのんだ。冗談を言っているようには聞こえなかった。

「……ティルナ、どうしてそんなこと言うんだ? 誰かに頼まれたのか?」
「違う」
「じゃあなんでこんなことするんだ!」
「お前が邪魔だから。地上の魔導師だからって試験も受けずにアクトールに来て、大した力もないくせにライオル様と仲良くして、何様のつもり? 今まで血のにじむ努力をしてきた俺はどうなるんだよ」

 ルイは氷を飲んだように胃が冷たくなるのを感じた。

「ここにいる院生がアクトールに入るためにどれだけ勉強してきたか、想像もつかないだろ? あんなどこにでもある虫を追い払うだけの紋章もわからないお前なんかには!」

 ティルナは両手を握りしめ、ひどく苦しそうに叫んだ。

「なんでお前なんか来たんだ……なにも苦労してないくせに、風の魔導師だからってライオル様に近づいて、狩りの日の大役を任されて、キスなんかしちゃってさ」

 あのとき劇場の裏には誰もいなかったはずだが、ティルナはどこからか見ていたらしい。ルイはティルナがそんなことを思っていたなんて想像だにしていなかった。ゾレイと違い、王太子候補なんて興味のかけらもなさそうだったのに。そこまで思いつめさせてしまったことに、ルイは胸が裂かれる思いだった。

「お前がいなくなっても、また地上から風の魔導師を連れてくればそれで済む話だ。別にお前がいなくなっても誰も困らない」

 ティルナの言葉は的確にルイの心をえぐった。

「ティルナ……そんな風に思っていたなんてちっとも知らなかった。傷つけてしまってすまない」
「謝られたって今さらどうにもならないんだよ。その縄はほどかないからな」

 ティルナの意思は固そうだった。この森をよく知るティルナが選んだ場所なら、本当に誰も来ないところなのだろう。ルイのいるところは窪地なので、すぐそばまで来ないと見つけることは不可能だ。

「ごめん、ティルナ。本当にごめん」

 ルイがどんなに謝っても、ティルナは虚ろな表情でルイを見下ろすばかりだった。

「ごめんね、ティルナ。俺、嘘ついてたんだ。俺の名前はルイ・ザリシャじゃない」

 ティルナはわずかに目を細めた。

「本当はルーウェン・エレオノ・リーゲンスって言うんだ」
「……え?」
「俺はリーゲンス国の第四王子だったんだ。海の国の人を殺したサルヴァトは俺の叔父だ。俺は望んでここに来たんじゃない……海の国に危害を加えた罰として、ライオルにさらわれてきたんだ。もう二度と地上には戻れない」
「なにそれ……」

 突飛な話にティルナはうろたえた。ルイはティルナをだましていた後悔から、今まで起きたことをすべて話した。サルヴァトの反乱があって城を逃げ出したこと。テンペスト寺院でライオルと出会い、一緒に戦って城を奪還したこと。王に即位したあと、フルクトアトで誘拐されてここにやってきたこと。すべてありのまま話した。

 もっと早くに話をしていれば、ティルナもこんな真似はしなかったかもしれない。ティルナは黙ってルイの話を聞いた。

「俺が風の魔導師でなかったらフルクトアトで殺されていただろう。使い道があるからこうして生かされてるんだ。現にオヴェン軍司令官は俺を殺したがってたよ。こんな腐った王家は存続させたくないってさ」

 ティルナはなにも言わなかった。

「聞いたことないだろ。ぬかるんだ地面に落ちたパンをそれしかなかったから拾って食べて、次の日腹痛に見舞われた経験のある王様なんてさ」

 城を出てからテンペスト寺院に着くまでの逃亡生活は長くはなかったが、文字通り泥水をすすって生きのびたのだ。

「ティルナ、確かに俺は魔導の勉強はあまりしてこなかった。きみの努力には遠く及ばない。でも俺の特別扱いは、きみが思うような特別扱いじゃない。俺はここで役に立たないと殺されてしまうんだ。俺も必死なんだよ。それだけはわかってほしい」

 沈黙がおりた。ルイはティルナが思い直してくれることを祈った。だが、ティルナの表情は曇ったままだった。

「……大変な思いをしてきたのはわかったよ。でもだからってお前が、お前なんかがライオル様のそばにいていいわけがない。今後一切関わるな」
「無理だよ……俺は人質だぞ」
「人質? そうは見えなかったけどな」

 ティルナはルイの前にかがみこんで視線を合わせた。ルイの青い目と、ティルナの薄茶の目が交差した。ティルナは整った顔をゆがめ、憎々しげにルイをにらんだ。

「やっぱりお前は目障りだ。ここで一人で死ね」

 ティルナはルイの顔を殴りつけると、ふところからハンカチを取り出してルイの口に突っこみ、その上を縄で三重に巻いてさるぐつわをかませた。

 ティルナはルイを一瞥すると去っていった。ルイは必死にティルナを呼んだが、言葉にならないもごもごとした声しか出せなかった。ティルナは窪地を囲む岩の斜面を登って姿を消した。

 ルイはティルナが消えた場所を呆然と見つめた。静かな森の最奥に隠され置き去りにされてしまった。今まで死を覚悟したことは何度もあったが、まさかこんな死に方をするとは思ってもみなかった。

 ルイはしばらく呆然自失としていたが、日が傾いてきていることに気づいて我に返った。両手を木の根にくくりつけている縄をほどこうと、腕を引っ張ったり木にこすりつけたりしてみた。

 渾身の力をこめて引っ張ると、一本の縄が少し緩み始めた。ルイは一心不乱に両手を動かした。次第に縄のゆるみが増え、一本の縄がはらりと落ちた。しかし大量に巻かれた縄のうち外側のたった一本で、ルイの手は相変わらず背中で頑丈に固定されていた。

 ティルナは森に探索に行くときはいつも細い縄を何本も持ち歩き、枝に結わえて迷わないよう目印をつけていた。その縄がすべてルイの手首に巻きつけられているようだった。

 ルイはがっくりとうなだれた。たまたま結び目が緩い縄が一本あっただけで、ほかの縄はびくともしない。無理やり動かしたせいで手首がひどい擦り傷になり、血が縄に染みこんでいた。

 そのまま夜になり、ルイは枯れ木に寄りかかって目を閉じた。夜の森は音が多かった。たくさんの昆虫たちの羽音や足音や、小さな野生動物の歩く音などが聞こえてくる。ルイは座ったまま何度か短い睡眠をとった。

 朝になり、日が高く昇ったが、ルイの状況はそのままだった。ライオルたちは帰ってこないルイを探しているだろうが、こんなところまで来てくれるとは思えなかった。

 ルイはティルナが様子を見に来ることを期待して待っていたが、誰も来なかった。こんな森の奥ではほかのアクトール院生の気配もなかった。

 再び夜の暗闇に包まれ、ルイはなにもする気も起きず、ただ木にもたれかかっていた。雨が降らないので水を得る手段がなく、意識がもうろうとし始めていた。森の中は生命力と魔力に満ちていたが、ルイの拘束されている場所は草木の生えていない窪地で岩しかなく、魔導師の力を発揮するのも難しい。

 うとうとしていたルイは、低い獣のうなり声を聞いてびくりと体を震わせた。周囲は真っ暗でなにも見えない。だがすぐ後ろのほうからうなり声がする。

 ルイは目をこらして後ろを振り向いた。そこにはごつごつした斜面があるばかりでなにもいなかった。

 どうやらここは以前崖崩れを起こした場所らしく、岩壁に隙間が空いているようだ。そこを空気が通り抜けてうなり声のような音を発していた。

 アクトールの裏の森に危険な動物はいないと聞いていたが、暗闇の中で一人ぼっちでいると恐ろしくて仕方がなかった。岩を突き破って得体のしれない怪物が襲ってくる想像をして、ルイはぶるぶると震えた。

 再び朝になり、なにも変わらないままあっという間に日が暮れようとしていた。ほぼ丸三日も飲まず食わずのルイは限界を迎えていた。

 ふと、ルイを呼ぶ声が遠くから聞こえてきて、ルイは閉じていた目をうっすら開いた。ようやくここまで捜索の手を広げてくれたらしい。ルイは声を出そうとしたが、乾ききった喉からはかすれた声すら出ない。

 捜索隊の声は聞こえてくるものの、ルイのいる場所には気づかずなかなか近づいてこない。このままではルイを置いて帰ってしまう。

 ルイは最後の力を振りしぼり、最初にほどいた一本の縄を風で巻き上げた。それを声のするほうに飛ばしていく。ティルナが教えてくれたように風を制御すると、縄を落とさず遠くに飛ばすことができた。

 風で木々がざわめいたのを聞きつけたのか、捜索隊の声が色めきだった。ルイは瞬きもせず魔導を使い、縄を方向転換して自分のいるところに戻していった。だが途中で力つき、意識を失った。



 誰かに頬を何度もたたかれている。ゆっくり目を開けると、真っ青になったライオルがルイの顔をつかんで頬をたたいていた。

「ルイ!」

 ルイの意識が戻り、ライオルはほっと息をはいた。

「無事でよかった……」

 ライオルはルイの口に巻かれた縄をほどき、口の中につめこまれていたハンカチを取り出した。ホルシェードもいて、ルイの背後に回って木に縛りつけていた縄をすべて断ち切った。ホルシェードは傷だらけのルイの手首を見て歯ぎしりした。

「俺が目を離したせいだ……」
「おい、水だ! 水をよこせ」

 ライオルは同行していたタールヴィ家の兵士に向かって叫んだ。兵士がライオルに水筒を渡すと、ライオルはきれいな包帯に水を染みこませてルイの口に含ませた。ルイは布からにじみ出る水を少しずつ飲みこんだ。そのあいだにホルシェードはルイの全身を触って怪我がないことを確かめた。

 時間をかけて一口分の水を飲むと、ライオルはルイの口から包帯を取り出した。

「間に合ってよかった。もう、だめかと……」

 ライオルは痛いほどルイを抱きしめ、ぱっと体を離した。

「風を使ってよく俺たちを呼んでくれた。こんな状態で、辛かったな」

 ライオルは優しくルイに笑いかけた。そして魔力を使い果たしたルイに口づけて魔力を渡した。ルイは安心して再び意識を手放した。
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