風の魔導師はおとなしくしてくれない

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五章 風の吹く森

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 ルイはカドレック班と一緒の海馬車に乗り、風の吹く森を目指した。目的地までまる一日かかるので、海馬車の中で一晩明かした。

 翌朝目覚めたルイは、窓の外が暗いことに驚いた。今まで海の表層付近しか通ったことがなかったが、今回は深いところまで潜るらしい。ルイは朝ご飯のサンドイッチを食べているカドレックに声をかけた。

「カドレック班長」
「なんだ?」
「目的の海の森は深いところにあるんですか? 太陽の光がだいぶ弱くなってますけど」
「もう少し潜るな。結構暗くなると思うけど、森は明るいはずだぞ。エラスム泡が日光を吸収してくれているからな」
「へえ、すごいですね」
「だろ? エラスム泡がなかったら俺たちどうやって暮らしてたんだろうってときどき思うよ。島にでも住んで、魚と一緒に泳いで狩りでもしてたのかねえ」
「俺、こんな深いところ初めて来たんですけど、大丈夫ですか?」
「大丈夫だとは思うけど。気分が悪くなったら早めに言えよ」
「はい……」

 ルイは少し怖かったが特に体調に変化もなく、無事に海の森にたどり着いた。海馬車から降りたルイは不思議な気分に包まれた。

 巨大な森だった。カリバン・クルスを覆うエラスム泡の二倍は天井が高く、外の海はほぼ真っ暗だが、カドレックの言う通りエラスム泡の内部は不思議と明るかった。カリバン・クルスの夕方くらいの淡い光が差しこんでいる。

 森の木々はおしなべて背が高く、濃い緑色の葉が生い茂っている。地上でよく見た針葉樹に近く、アクトール魔導院の裏の森やキリキアを囲む森に比べ、ルイにとってなじみのある光景だった。地面には雑草が一面に生えていて、踏むと柔らかかった。

 少し肌寒かったので、ルイはマントを体に巻きつけた。そこに風が吹いてきて、隣に立つゾレイの手から紙を奪い去った。

「あっ! ルイやめてよ」
「俺じゃないよ」
「えっそうなの? すごい、本当にここは風が吹いてるんだ」

 ゾレイは吹き飛ばされた紙を拾い上げ、興奮して周囲を見回した。ほかの隊員も皆興味を引かれている様子だ。

 入り口に海馬車を固定し、一行は二手に分かれて森に入ることになった。第九部隊と第一部隊が半分ずつ分かれて二つの合同班を作り、ライオルとギレットがそれぞれ先導する。カドレック班はライオルと一緒に動くことになった。王宮魔導師も二手に分かれることになり、ゾレイがライオルの組に入った。

「三時間後にここに集合しよう。ではまた」

 ライオルが言った。ギレットの組は森の右側を進み、ライオルの組は左側を進んだ。

 二列になって歩きながら、ルイはいやに足が軽いことに気がついた。普通に歩いているはずなのに地に足がついている感覚がない。

「ここはすばらしいところです、ライオル様!」

 ゾレイが先頭を歩くライオルに話しかけた。

「なにか感じるか、王宮魔導師どの?」
「はい。僕は王領にある海の森はだいたい行きましたが、この森には今までにない魔力を感じます。おそらくこれが風の魔力なのではないかと思います。あと僕のことはゾレイとお呼びください」
「なるほどな。なんというか、においが違うような気がしてた」
「そうなんです! やっぱりライオル様にはおわかりになるんですね」

 ゾレイは嬉しそうに顔の前で手をたたいた。

「数百年も隠されていた森なんて宝の山です。きっと新種の植物や魔導が見つかるのではないかと期待しています」
「これだけ広いし、可能性はありそうだな。気になるものがあったら止まるから言ってくれ、ゾレイ」
「はいっ」

 ゾレイは頬を赤らめながら返事をし、鼻息荒く周囲を観察しだした。ルイの隣を歩いていたファスマーは、ふとルイの顔に目を留めた。

「ルイ、どうかした?」
「えっ、別になんでもないよ」

 ぶすっとしていたルイは慌てて表情を取り繕った。ファスマーはじっとルイを見つめた。

「そうか? いつもより魔力の流れ方が大きいようだけど。なにか感じないか?」
「あ、うん。確かにいつもと歩く感覚が違う」
「ほうほう、なるほど。きっとこの森に体が合ってるんだと思う。魔導使ってみな」

 ルイは右手を振ってみた。すると、大して意識していなかったにも関わらず、寸分違わず狙い通りの旋風が起きた。しかもまったく力を消費したように感じない。

 ルイは手を動かさないまま風を起こすイメージをしてみた。すると足の裏からふわりと体が浮き上がった。

「うわ! すごい!」

 この森にいると風の流れを自在に操れた。ルイは下から上に風を起こしてそれに乗り、隊列の上空に飛び上がった。

「うわーっ、飛べるぞー!」

 みるみるうちに濃灰の軍服の一団が遠くなっていく。森を吹きすさぶ風に乗り、ルイは空中をくるくる回った。

「うわーい!」

 眼下の一行は口をあんぐり開けて空ではしゃぐルイを見上げた。ライオルは青ざめて叫んだ。

「ルイ! 危ない真似はやめろ! 今すぐ下りてこい!」
「だーいじょーうぶでーす」

 ルイはけらけら笑って飛びながら上空からの景色を眺めた。槍のように細い梢が遠くまで連なる様子は、まるで巨大な緑色の絨毯だ。カドレック班の班員たちは空を舞うルイを見上げて言った。

「入隊してきたときからかわいいやつだと思ってたけど、本当に風の精霊なんじゃないか?」
「ありうるな。あいつときどき妙に世間とずれたこと言うしな。隊長の手で地に落とされてやってきたのかも……」
「えっじゃあこのまま空に帰っちまうのか? 悲しい」

 ライオルはのんきな部下たちをにらんだ。

「そんなわけあるか。真面目にやれ」
「すみません」

 ルイは梢の隙間からギレットたちの一行を見つけ、そちらに向かって飛んだ。先頭を歩く金髪は緑の中でよく目立った。

「ギレット隊長ー」

 声が聞こえたらしいギレットはきょろきょろして声の主を捜している。ルイは高度を下げていき、ギレットの目の前に着地した。突然空から降ってきたルイに、ギレット組の兵士たちはどよめいた。

「ルイ!? えっ、お前今どうやってここに来た!?」

 驚くギレットにルイは得意げに説明した。

「ここは風の魔力のたまる森だから、俺によくなじむんです! ここでなら空中を移動できるから、空から偵察してきてあげますよ!」
「空を飛んできたのか!? ……だめだ、危ない真似はやめろ。おとなしく歩け」

 追従している中年の王宮魔導師も首肯した。

「ギレット様の言う通りだ。途中で魔力が切れたら大惨事だぞ」
「……わかりました。戻ります」

 ルイはしぶしぶまた上空に飛び上がって戻っていった。ギレットたちは飛んでいくルイをぽかんとして見送った。

 上空には強い風が吹いていた。吹き飛ばされないように気をつけて飛んでいると、ふと奥の方に開けた場所があることに気がついた。目をこらしたがここからでは遠くてよく見えない。

 ルイはライオルたちのところにふわふわ飛んでいった。自分で風を起こさなくても、森の風に乗っていれば勝手に飛んでいける。森の風を利用して魔力を温存していたが、下におりていくと風がやんでしまい、途中で落っこちてしまった。

「うわっ」
「ルイ!」

 とっさにライオルが真下に回りこんで両手で受け止めたが、衝撃で二人とも地面に倒れこんだ。

「隊長! ご無事ですか!」
「ラ、ライオル様!」

 カドレックとゾレイが慌てて二人に駆け寄った。ルイはライオルを下敷きにしてしまい、急いで上から退いた。尻もちをついたライオルは腰をさすりながらゆっくり起き上がった。ゾレイはおろおろしながらライオルに話しかけた。

「お怪我はありませんか? あっマントが汚れてしまってる」
「問題ない……」

 ライオルは半眼でマントについた土を払い、申し訳なさそうにしているルイの頭をはたいた。

「だからやめろと言っただろ!」
「すみません……」
「ちっ、もう飛ぶなよ」
「はい……あっ、そうだ」

 ルイは名誉挽回しようと全員に聞こえるように言った。

「上から開けた場所を見つけました。向こうのエラスム泡の端の近くです」
「ほう?」

 ほかに目指す場所もないので、ライオルはルイの示した方角に進むことにした。すっかりしょげたルイはファスマーの隣をとぼとぼと歩いた。ファスマーは笑って怪我がなくてよかったとなぐさめてくれた。



 しばらく森の中を歩いていると、風が吹いて落ち葉が地面を滑るように巻き上げられた。ルイは落ち葉に混じって白いものが転がったのを見つけて駆け寄った。しゃがんで見てみると、一匹の白い小さなネズミが目を回してひっくり返っていた。

「初めて見るネズミだ」
「どれ?」

 ゾレイも来てルイの隣にしゃがみこんだ。

「なんだ、ハイイロモリネズミか。森に棲む小型のネズミだよ。白い個体はちょっと珍しいけど、海の森にはよくいるよ」
「へえ」
「魔力を持っているから魔導師の使い魔になることもあるよ。同じ魔力を持っていると言うことを聞かせられるんだ。こいつはおそらく風の魔力を持っているから、ルイの言うことを聞くんじゃないかな?」
「本当に? どうやって命令するんだ?」

 ゾレイは目を回している小さなネズミをつかんでルイに手渡した。

「魔力をこめればいいんだよ。前に僕の紙の鳥にやったのと同じ要領だよ」
「わかった」

 ルイは手のひらの中の温かい小さな生き物に魔力をこめた。白いハイイロモリネズミはしばらく鼻をひくひくさせていたが、ぱっとルイの手を離れてルイの周りをゆっくり浮遊した。

「飛んだ!」

 ルイが右手を差し出すと、ふわふわ漂ってきて手の上におとなしく乗った。

「すごいな、風もないのに飛んだ」
「ルイの魔力の流れに乗って飛んだんだよ。ハイイロモリネズミは魔力の流れを見ることができるんだ。同じ魔力である飼い主の近くなら今みたいに飛んでついてこられる。あと魔力の流れを追って発生源をたどることもできるよ」
「えっ? すごく有能な生き物じゃないか。こいつがいれば、アクトール襲撃のとき簡単に術の核を見つけられただろ」
「うーん、それがね」

 ゾレイはしかめっ面で小さなネズミをつついた。ネズミは迷惑そうにそっぽを向いた。

「こいつら頭が悪いんだよ。だから難しい命令はできないんだよね。せいぜい呼んだら来るとか、軽いものを拾ってくるとか、そのくらい」
「なんだ、そうなのか」
「ちなみに木の実が好物だよ」
「それなら持ってるよ」

 ルイはハイイロモリネズミを左手に持ち替え、右手でベルトにくくりつけた携帯食の入った小袋を開けた。ナッツを一つ取り出して与えると、腹を空かせた生き物はナッツをさっと奪い、ものすごい勢いで食べだした。

 あっという間に食べ終えたネズミはキューキュー鳴いておかわりをねだった。ルイはもう一つナッツを取り出し、ネズミの頭の上に乗せてみた。ネズミはおいしいにおいにつられて上を向いた。頭の上からナッツが背後に落ちたが、ネズミはそれに気づかずひげをひくひくさせてナッツを探している。

「……確かに馬鹿だな」
「でしょ」
「でもかわいいな」

 丸い体につぶらな黒い瞳の、手のひらに収まるほどのネズミは愛らしかった。ゾレイはそうだねとうなずいた。

「かわいいから使い魔にされるんだろうね。でも役には立たないよ」
「よし! 今日からお前の名前はフェイだ! リーゲンスの昔の言葉で飛ぶという意味だ。お前にぴったりだろ?」
「……気に入ったんだね」
「今日からお前はフェイだぞ、フェイ。わかった?」

 ようやく背後のナッツを見つけてがっついていたハイイロモリネズミは、ルイに背を向けたままプキュと鳴いた。

「あっ! わかったのか? 賢いじゃないか。えらいぞー」

 ルイは目尻を下げてネズミの頭を指の腹でなでた。後ろから一部始終を見ていたライオルがぼそっと言った。

「かわいいな」
「うん。使い魔にしたくなる気持ちもわかる」
「いやネズミじゃなくて……聞いてねえ」

 ルイが立ち上がると、ハイイロモリネズミのフェイは浮かんでルイについていった。
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