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第二章 ウィルとアルと山頂に棲む竜
見知らぬ街にて
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街につく頃には辺りはすっかり暗くなっていて、もう少しすれば完全に夜の帳が覆いつくそうとしていた。
淡いオレンジや白といった街灯が均等に町全体を優しく包み込んでいる。
ビンのマークの看板を掲げた店からは賑やかな談笑や怒声が聞こえてくる。
ココは本当にゲームの世界のような場所だと俺は思った。
「さあ、当初の目的地である人のいる街には着いた。さて、この後はどうする? 宿でも探してみる?」
「お前、金持ってる?」
「少しだけ。そもそも、オレたちの知る通貨って使えんの、この街」
雑貨屋らしき店の看板に目をやるとそこに書かれている文字を試しに読もうと試みた。
「……全然読めねぇ。何語だよ。このミミズが這ったような文字はよ」
看板を指差しながら背後のロガに目配せする。
ロガは大げさに肩を竦めて見せた。
やはり、この世界は俺たちの知る地球ではないことは明白で、困惑と不安でただ立ち尽くすほかなかった。
これからどうすれば、と思案しようとしたとき、鐘の音が街全体に響き渡った。
何処の世界にも神への信仰は平等なのだと、今はそれに感謝した。
俺たちは救いを求め、鐘が鳴り響く教会へと足を向けた。
木彫のシンプルな扉を開けて中に入って最初に飛び込んできたのは巨大なパイプオルガンだった。
そのさらに奥には豪奢なステンドグラスが外の光に照らされて色鮮やかな色彩を見せている。
外装は質素な造りに見えたが内装はそれなりに凝った造りのようだ。
天井付近から吊るされた二体の天使の形をした人形が向かい合うようにそれぞれ腕を伸ばして今にも動きだして、まるで今まさに手を繋ごうとしているみたいだ。
俺とロガはその美しさに感嘆の息を零した。
ふと、脳裏にウィルの顔が浮かんだ。
――あいつは今、どうしているんだろう。
天井に吊るされた二体の天使に視界が揺れる。
また俺はウィルに会えるだろうか。
話ができるだろうか。
俺は言い知れぬ感情を押し留め、祈るように胸の辺りで拳を握った。
定位置に置かれた木製の長椅子に俺たちは腰を下ろした。
ココまでずっと歩き通しで疲れていたからか、教会という神聖で安全な場所という概念があり、いつの間にか瞼は閉ざされウトウトと眠りについた。
教会は来るもの拒まずの場所。
俺たちのささやかな眠りを邪魔するものは誰一人としていなかった。
淡いオレンジや白といった街灯が均等に町全体を優しく包み込んでいる。
ビンのマークの看板を掲げた店からは賑やかな談笑や怒声が聞こえてくる。
ココは本当にゲームの世界のような場所だと俺は思った。
「さあ、当初の目的地である人のいる街には着いた。さて、この後はどうする? 宿でも探してみる?」
「お前、金持ってる?」
「少しだけ。そもそも、オレたちの知る通貨って使えんの、この街」
雑貨屋らしき店の看板に目をやるとそこに書かれている文字を試しに読もうと試みた。
「……全然読めねぇ。何語だよ。このミミズが這ったような文字はよ」
看板を指差しながら背後のロガに目配せする。
ロガは大げさに肩を竦めて見せた。
やはり、この世界は俺たちの知る地球ではないことは明白で、困惑と不安でただ立ち尽くすほかなかった。
これからどうすれば、と思案しようとしたとき、鐘の音が街全体に響き渡った。
何処の世界にも神への信仰は平等なのだと、今はそれに感謝した。
俺たちは救いを求め、鐘が鳴り響く教会へと足を向けた。
木彫のシンプルな扉を開けて中に入って最初に飛び込んできたのは巨大なパイプオルガンだった。
そのさらに奥には豪奢なステンドグラスが外の光に照らされて色鮮やかな色彩を見せている。
外装は質素な造りに見えたが内装はそれなりに凝った造りのようだ。
天井付近から吊るされた二体の天使の形をした人形が向かい合うようにそれぞれ腕を伸ばして今にも動きだして、まるで今まさに手を繋ごうとしているみたいだ。
俺とロガはその美しさに感嘆の息を零した。
ふと、脳裏にウィルの顔が浮かんだ。
――あいつは今、どうしているんだろう。
天井に吊るされた二体の天使に視界が揺れる。
また俺はウィルに会えるだろうか。
話ができるだろうか。
俺は言い知れぬ感情を押し留め、祈るように胸の辺りで拳を握った。
定位置に置かれた木製の長椅子に俺たちは腰を下ろした。
ココまでずっと歩き通しで疲れていたからか、教会という神聖で安全な場所という概念があり、いつの間にか瞼は閉ざされウトウトと眠りについた。
教会は来るもの拒まずの場所。
俺たちのささやかな眠りを邪魔するものは誰一人としていなかった。
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