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第二章 ウィルとアルと山頂に棲む竜
三歩進んで二歩下がる
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書庫に足を踏み入れると、一様に感嘆の息が零れた。
膨大な量の本を納めた本棚が円形状を幾重にも重ねて均一に並んでいる。
まるで本棚自体が巨大な魔法陣のように配置されているかのように見えた。いや、実際そうなのかもしれない。この書庫自体が巨大な魔法陣で、何かを守るための配備されたとすれば、守るべき何かとは、つまりはウィル自身に他ならない。
ウィルは頻繁にこの書庫を訪れていると言っていた。
こうまでしても守らなくてはならない禁術書とは、一体どれほど貴重なものなのか、想像もつかない。
ただ、その禁術書を宿すウィルの負担は思っている以上に大きく、一人でその不安を背負っている彼の負担を少しでも減らせればと思う。
俺がマジックナイトになったきっかけは、ウィルを守りたいからだ。同時に今は、愛しい恋人の負担を極力減らして、手助けがしたいと思うようにもなった。
早い話が早急にウィルの中から禁術書を取り出せればそれで安心なんだが、やはり、そう簡単にはいかないらしい。
「ロミロア、来たよ~」
「あーう、うーあ、うー、うー!」
子供の、赤ん坊の声が聞こえて、俺とロガはびくりと肩を震わせた。ウィル一人だけが紫の瞳をキラキラと輝かせている。
「ピピン?」
「うー、うー」
暗闇に目を凝らしてよく見ると、ぼんやりと奥のある一箇所が明るく光を帯びる。そこにはベビーベッドに手を掛けて必死にタッチをした一人の赤ん坊が楽しいのか、嬉しいのか、身体を左右に揺らして俺たちを、いや、ウィルを見つめていた。
「やあ、ピピン。元気にしていたかい?」
「へへっ、うーあ!」
「ふふ、ご機嫌だね、ピピン」
「うー!」
ピピンという名前を以前、ウィルから聞かされていた。確か、図書館の守人で精霊のピピン。
俺たちが探しているアクネリウスの忘れ形見。彼を主として、図書館を媒体にピピンは生み出された。禁忌の書を守るために。
夜の者の襲撃によって、唯一生存できる箱庭であった図書館が破壊され、ピピン自らも深い手傷を負って消滅したはずなのだが、見てのとおり、ピピンは赤ん坊に生まれ変わり、今では自由に外へ行き来が可能となった。
「あらアル、ずいぶん甘やかされているみたいなのよ。ウィルもおかえりなのよ。無事でなによりなのよ」
「うん。ただいま、ロミロア」
~なのよ、が口癖らしい彼女、ウサウサ族のロミロアはアルとウィルに視線を流して、続けて俺とロガに視線を送った。
ひたひたと、大きな足を動かしながら、俺とロガを交互に見つめて、ロミロアはふむ、と鼻をヒクヒクと動かし、丸みを帯びた口を開いた。その様子はどこか興味心身で楽しげに見える。
「アナタからは魔力の波動を感じるのよ。それにその剣。アナタはマジックナイトなのよ?」
語尾にいちいち~なのよ、がつくため、意識がそっちに持って行かれそうになるのを必死に耐えた。
可愛いとは思うが、おそらく、俺たちよりもうんと年上なのだろうことは容易に予想がついた。
「はい、その通りです、ロミロアさん。はじめまして、俺はレズリー・バークス。こっちが――」
「ロガ・キュリアです」
「ふふ、礼儀正しい子達なのよ。はじめてウィルに出会った日のことを思い出したのよ。アナタ達のことを待っていたのよ。見てほしいものがあるのよ」
そう言うとロミロアは俺たちに背を向け、書庫の中央に位置する広いテーブルへ集まるように促された。テーブルには古そうな文献が広げて置いてあり、見たこともない文字の羅列で記された巨大な地図のようなものが見受けられた。
いや、のようなではなく、これは地図だ。かなり古く、所々、虫食いが酷いが、おそらく読めなくはないだろう。俺は読めないが。
すると、いち早く反応したのはロガに抱えられているアルだった。もっと前へと、ロガを誘導する。
それじゃあまるで、主と従者じゃん。まあ、ロガは嬉しそうだけど。
「これは……よくこんなものが残っていたね、ロミロア」
「ええ、アタシも見つけたときは驚いたのよ。この地図は図書館の最奥、ピピンが居た場所に配置されていた本棚にあったのよ」
「なるほどね、そりゃあ、誰も見つけられないわけだ。守護精霊であるピピンが守る最奥にある本棚なんて誰も近づけやしない。この間まではね。こういう言い方は癪だけど、図書館が崩壊したからこそ、外に出た文献だということか。皮肉だね」
その時のことを思い出したのか、ウィルは苦笑しながら、アルとロミロアを見つけた。
文献には、細かな羅列文字と、中央には地図が描かれ、地図自体にも文字が記されている。街名だろうか。
「ロミロア、これってもしかして」
「ウィル、おそらくアナタの考えてる通りで正解なのよ」
「……世界地図。これが、この異世界の全貌」
「マジかよ。なあ、俺たちの今居るディレクトレイ王国はどこなんだ?」
俺の質問に、ロミロアは快く頷き、地図上でその場所を指で示した。
「ここなのよ。東南に位置する、小さな島国。ココがアタシがいるディレクトレイ王国なのよ」
「この国は離島だったんだね。ああ、そうか、だから漁業が盛んなのか」
「そうなのよ、全方位は海に囲まれ、中央には自然豊かな山脈が点在する緑豊かで資源も豊富な国なのよ」
「隣国は……東に大きな街、国があるね。ここは?」
ウィルは地図を指で指しながら、ロミロアに訊ねた。その表情は微かに高揚しているように見えた。
「貿易の国リンガードなのよ。丁度、世界の中心に位置する国で、別名【ガイアのへそ】と呼ばれているのよ」
「ガイアのへそ……アルは、見たことあるかい?」
「ああ、もちろん。ガイアのへそは巨大な谷底でね。数千年以上も前に神々と魔王が闘いの折に大地に裂けた穴だと言われているよ。私たちが一番記憶に新しいのは神魔戦争だけど、そのさらに大昔、神話の時代の話だよ。ここを見てごらん」
言いながら、アルは地図のちょうど中央を指差した。
そこはよく見れば、中心から広がるように巨大なクレーターのあとのようなものが描かれている。
隕石でも落ちたのか?
「これって……まるで中心から抉れて、外に広がるように円を形作ってる。これは?」
「気付いたかい? もともとは我々の国も他の大陸と繋がっていたんだがね、神魔大戦の折、双方の力と力のぶつかり合いで、巨大なクレーターが出来たんだ。すなわち、魔王ディブロと神王ラグノアがこの巨大なクレーターを生み出したんだ。抉れた大地に海の水が浸入して、この通り、私たちの国は孤立したというわけさ。まあ、他の国からの侵略も防げているから、孤立して良かったと言えば、良かったけど」
「本当に酷い戦争だったんだね、神魔大戦って」
「……ああ、まさに、地獄絵図だったよ。何せ、王と王の死闘だったからね。たくさんの犠牲者も出た」
「――……」
その中にはウィルの両親も含まれる。血の繋がった実の子供を両の親がそれぞれ殺めてしまうなんて、あまりにも理不尽で、悲し過ぎる。
「ロミロア、この地図を見せるため、だけではないのだろう、私たちを呼んだのは」
「もちろんなのよ。賢者アクネリウスの生家のある、街を見つけたのよ。それがここ。大陸の最北端に位置する王都アイシクルテル。そのさらに奥に、ニクルクロスという小さな村があるのよ。ここが賢者アクネリウスの子孫が暮らしているみたいなのよ」
「最北端。船がいるね。いや、飛行船かな」
「でも、このニクルクロス村って地図上に載ってないね。どういうことだろう」
「あら、アルたち、ヴィルゴ様から何も聞いていないのよ? ケツァルコルク山脈へ行ったのよね?」
「「「「……」」」」
俺たちはロミロアに言われて、ハッ、と気付いてしまった。
「そ、そうだったぁ~!! 夜の者に襲われて肝心なことをヴィルゴ様にお尋ねするの忘れてたぁ~!」
「あはは、はぁ、でも、あの状況じゃあ、仕方ないというか……ねえ、レズリー」
「まあ、な。俺も自分のことで手一杯だったしな」
「え? ねえ、それじゃあ、つまり……」
重い沈黙。それを打ち破ったのはアルの盛大なため息だった。
「――戻るよ、霊峰ケツァルコルク山脈へ!」
「やっぱし?」
俺とウィルとロガは、アルと同じように盛大なため息を吐き出した。
膨大な量の本を納めた本棚が円形状を幾重にも重ねて均一に並んでいる。
まるで本棚自体が巨大な魔法陣のように配置されているかのように見えた。いや、実際そうなのかもしれない。この書庫自体が巨大な魔法陣で、何かを守るための配備されたとすれば、守るべき何かとは、つまりはウィル自身に他ならない。
ウィルは頻繁にこの書庫を訪れていると言っていた。
こうまでしても守らなくてはならない禁術書とは、一体どれほど貴重なものなのか、想像もつかない。
ただ、その禁術書を宿すウィルの負担は思っている以上に大きく、一人でその不安を背負っている彼の負担を少しでも減らせればと思う。
俺がマジックナイトになったきっかけは、ウィルを守りたいからだ。同時に今は、愛しい恋人の負担を極力減らして、手助けがしたいと思うようにもなった。
早い話が早急にウィルの中から禁術書を取り出せればそれで安心なんだが、やはり、そう簡単にはいかないらしい。
「ロミロア、来たよ~」
「あーう、うーあ、うー、うー!」
子供の、赤ん坊の声が聞こえて、俺とロガはびくりと肩を震わせた。ウィル一人だけが紫の瞳をキラキラと輝かせている。
「ピピン?」
「うー、うー」
暗闇に目を凝らしてよく見ると、ぼんやりと奥のある一箇所が明るく光を帯びる。そこにはベビーベッドに手を掛けて必死にタッチをした一人の赤ん坊が楽しいのか、嬉しいのか、身体を左右に揺らして俺たちを、いや、ウィルを見つめていた。
「やあ、ピピン。元気にしていたかい?」
「へへっ、うーあ!」
「ふふ、ご機嫌だね、ピピン」
「うー!」
ピピンという名前を以前、ウィルから聞かされていた。確か、図書館の守人で精霊のピピン。
俺たちが探しているアクネリウスの忘れ形見。彼を主として、図書館を媒体にピピンは生み出された。禁忌の書を守るために。
夜の者の襲撃によって、唯一生存できる箱庭であった図書館が破壊され、ピピン自らも深い手傷を負って消滅したはずなのだが、見てのとおり、ピピンは赤ん坊に生まれ変わり、今では自由に外へ行き来が可能となった。
「あらアル、ずいぶん甘やかされているみたいなのよ。ウィルもおかえりなのよ。無事でなによりなのよ」
「うん。ただいま、ロミロア」
~なのよ、が口癖らしい彼女、ウサウサ族のロミロアはアルとウィルに視線を流して、続けて俺とロガに視線を送った。
ひたひたと、大きな足を動かしながら、俺とロガを交互に見つめて、ロミロアはふむ、と鼻をヒクヒクと動かし、丸みを帯びた口を開いた。その様子はどこか興味心身で楽しげに見える。
「アナタからは魔力の波動を感じるのよ。それにその剣。アナタはマジックナイトなのよ?」
語尾にいちいち~なのよ、がつくため、意識がそっちに持って行かれそうになるのを必死に耐えた。
可愛いとは思うが、おそらく、俺たちよりもうんと年上なのだろうことは容易に予想がついた。
「はい、その通りです、ロミロアさん。はじめまして、俺はレズリー・バークス。こっちが――」
「ロガ・キュリアです」
「ふふ、礼儀正しい子達なのよ。はじめてウィルに出会った日のことを思い出したのよ。アナタ達のことを待っていたのよ。見てほしいものがあるのよ」
そう言うとロミロアは俺たちに背を向け、書庫の中央に位置する広いテーブルへ集まるように促された。テーブルには古そうな文献が広げて置いてあり、見たこともない文字の羅列で記された巨大な地図のようなものが見受けられた。
いや、のようなではなく、これは地図だ。かなり古く、所々、虫食いが酷いが、おそらく読めなくはないだろう。俺は読めないが。
すると、いち早く反応したのはロガに抱えられているアルだった。もっと前へと、ロガを誘導する。
それじゃあまるで、主と従者じゃん。まあ、ロガは嬉しそうだけど。
「これは……よくこんなものが残っていたね、ロミロア」
「ええ、アタシも見つけたときは驚いたのよ。この地図は図書館の最奥、ピピンが居た場所に配置されていた本棚にあったのよ」
「なるほどね、そりゃあ、誰も見つけられないわけだ。守護精霊であるピピンが守る最奥にある本棚なんて誰も近づけやしない。この間まではね。こういう言い方は癪だけど、図書館が崩壊したからこそ、外に出た文献だということか。皮肉だね」
その時のことを思い出したのか、ウィルは苦笑しながら、アルとロミロアを見つけた。
文献には、細かな羅列文字と、中央には地図が描かれ、地図自体にも文字が記されている。街名だろうか。
「ロミロア、これってもしかして」
「ウィル、おそらくアナタの考えてる通りで正解なのよ」
「……世界地図。これが、この異世界の全貌」
「マジかよ。なあ、俺たちの今居るディレクトレイ王国はどこなんだ?」
俺の質問に、ロミロアは快く頷き、地図上でその場所を指で示した。
「ここなのよ。東南に位置する、小さな島国。ココがアタシがいるディレクトレイ王国なのよ」
「この国は離島だったんだね。ああ、そうか、だから漁業が盛んなのか」
「そうなのよ、全方位は海に囲まれ、中央には自然豊かな山脈が点在する緑豊かで資源も豊富な国なのよ」
「隣国は……東に大きな街、国があるね。ここは?」
ウィルは地図を指で指しながら、ロミロアに訊ねた。その表情は微かに高揚しているように見えた。
「貿易の国リンガードなのよ。丁度、世界の中心に位置する国で、別名【ガイアのへそ】と呼ばれているのよ」
「ガイアのへそ……アルは、見たことあるかい?」
「ああ、もちろん。ガイアのへそは巨大な谷底でね。数千年以上も前に神々と魔王が闘いの折に大地に裂けた穴だと言われているよ。私たちが一番記憶に新しいのは神魔戦争だけど、そのさらに大昔、神話の時代の話だよ。ここを見てごらん」
言いながら、アルは地図のちょうど中央を指差した。
そこはよく見れば、中心から広がるように巨大なクレーターのあとのようなものが描かれている。
隕石でも落ちたのか?
「これって……まるで中心から抉れて、外に広がるように円を形作ってる。これは?」
「気付いたかい? もともとは我々の国も他の大陸と繋がっていたんだがね、神魔大戦の折、双方の力と力のぶつかり合いで、巨大なクレーターが出来たんだ。すなわち、魔王ディブロと神王ラグノアがこの巨大なクレーターを生み出したんだ。抉れた大地に海の水が浸入して、この通り、私たちの国は孤立したというわけさ。まあ、他の国からの侵略も防げているから、孤立して良かったと言えば、良かったけど」
「本当に酷い戦争だったんだね、神魔大戦って」
「……ああ、まさに、地獄絵図だったよ。何せ、王と王の死闘だったからね。たくさんの犠牲者も出た」
「――……」
その中にはウィルの両親も含まれる。血の繋がった実の子供を両の親がそれぞれ殺めてしまうなんて、あまりにも理不尽で、悲し過ぎる。
「ロミロア、この地図を見せるため、だけではないのだろう、私たちを呼んだのは」
「もちろんなのよ。賢者アクネリウスの生家のある、街を見つけたのよ。それがここ。大陸の最北端に位置する王都アイシクルテル。そのさらに奥に、ニクルクロスという小さな村があるのよ。ここが賢者アクネリウスの子孫が暮らしているみたいなのよ」
「最北端。船がいるね。いや、飛行船かな」
「でも、このニクルクロス村って地図上に載ってないね。どういうことだろう」
「あら、アルたち、ヴィルゴ様から何も聞いていないのよ? ケツァルコルク山脈へ行ったのよね?」
「「「「……」」」」
俺たちはロミロアに言われて、ハッ、と気付いてしまった。
「そ、そうだったぁ~!! 夜の者に襲われて肝心なことをヴィルゴ様にお尋ねするの忘れてたぁ~!」
「あはは、はぁ、でも、あの状況じゃあ、仕方ないというか……ねえ、レズリー」
「まあ、な。俺も自分のことで手一杯だったしな」
「え? ねえ、それじゃあ、つまり……」
重い沈黙。それを打ち破ったのはアルの盛大なため息だった。
「――戻るよ、霊峰ケツァルコルク山脈へ!」
「やっぱし?」
俺とウィルとロガは、アルと同じように盛大なため息を吐き出した。
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