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第二章 ウィルとアルと山頂に棲む竜
三人の幼なじみ
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霊峰を後にした俺たちは早速、各々旅の準備に取り掛かる。
空はすでにオレンジ色に染まり、すぐに夜の帳が降りてくるだろう。街へ薬草や食料の類も買い込まなくてはならない。急がないとな。
「ウィル、私はこのことをジルハルド陛下にお伝えしてくる。しばらく留守にするよ」
「わかった。旅の準備は僕とレズリーとロガでやっておくよ」
「頼んだよ」
そう言ってアルは出かけていった。俺たちは早速旅の準備に取りかかる。長い旅になることは予想された。それぞれリュックに薬草や食料の類、ロウソクや着火材といった野宿に必要な物も突っ込んだ。北の地ということもあり、コートといった防寒具の類も必要となるだろう。屋敷中を駆け回り、慌しく準備を進めていく。
少し食料と飲料水が足りないかもしれない。道中で街に寄り、補充をするにせよ、それまでに食料と飲み物が切れるという危険は避けたかった。
俺は別の場所で準備するウィルを見つけてその小さな背中に声を掛けた。
「おいウィル、ちょっくら道具屋に行って、入り用なもん調達してくるわ。つっても、薬草類の類はほとんどストックされてたから、あとは食料と飲料水ぐらいでいいか?」
「ああ、うん、そうだね。日持ちのするものを頼むよ。あ、今、お金渡すから」
「おう」
立ち上がり戸棚に向かうウィルを見つめながら、不意にロガに目がいった。手は俺たちの旅の準備を手伝ってくれているが、どこか元気がないように見えた。
気なって、俺が声を掛けようとしたそのとき、ロガが徐に顔を上げ、口を開く。
「ねえ、ウィル、レズリー。やっぱり、オレも一緒に行くよ」
「ロガ、無理すんな」
「無理はしてないよ、レズリー。オレはただ、ここで大人しく皆の帰りを待つのが嫌なだけさ。大丈夫、絶対に足手まといにはならないから」
「……足手まといだなんて思ったこと、一度もないよ」
床に座っているロガの目線に合わせる様に、ウィルも腰を落として、覗き込むようにロガに「一緒に行こう」と微笑みかける。驚き、目を見開くロガは緊張していたのか、強張っていた肩の力が抜けて同じように微笑んだ。
そして、いつもどおりの、どこか悪戯っぽい笑みに変わった。
おいおい、大丈夫だとは思うけど、ウィルに惚れるなよ?
「なら、行くぞ、ロガ。食料の買い足し手伝えよ。お前、荷物持ちな」
「ええっ~!?」
薄っすらと明かりの灯った屋敷中に笑い声が響いた。
空はすでにオレンジ色に染まり、すぐに夜の帳が降りてくるだろう。街へ薬草や食料の類も買い込まなくてはならない。急がないとな。
「ウィル、私はこのことをジルハルド陛下にお伝えしてくる。しばらく留守にするよ」
「わかった。旅の準備は僕とレズリーとロガでやっておくよ」
「頼んだよ」
そう言ってアルは出かけていった。俺たちは早速旅の準備に取りかかる。長い旅になることは予想された。それぞれリュックに薬草や食料の類、ロウソクや着火材といった野宿に必要な物も突っ込んだ。北の地ということもあり、コートといった防寒具の類も必要となるだろう。屋敷中を駆け回り、慌しく準備を進めていく。
少し食料と飲料水が足りないかもしれない。道中で街に寄り、補充をするにせよ、それまでに食料と飲み物が切れるという危険は避けたかった。
俺は別の場所で準備するウィルを見つけてその小さな背中に声を掛けた。
「おいウィル、ちょっくら道具屋に行って、入り用なもん調達してくるわ。つっても、薬草類の類はほとんどストックされてたから、あとは食料と飲料水ぐらいでいいか?」
「ああ、うん、そうだね。日持ちのするものを頼むよ。あ、今、お金渡すから」
「おう」
立ち上がり戸棚に向かうウィルを見つめながら、不意にロガに目がいった。手は俺たちの旅の準備を手伝ってくれているが、どこか元気がないように見えた。
気なって、俺が声を掛けようとしたそのとき、ロガが徐に顔を上げ、口を開く。
「ねえ、ウィル、レズリー。やっぱり、オレも一緒に行くよ」
「ロガ、無理すんな」
「無理はしてないよ、レズリー。オレはただ、ここで大人しく皆の帰りを待つのが嫌なだけさ。大丈夫、絶対に足手まといにはならないから」
「……足手まといだなんて思ったこと、一度もないよ」
床に座っているロガの目線に合わせる様に、ウィルも腰を落として、覗き込むようにロガに「一緒に行こう」と微笑みかける。驚き、目を見開くロガは緊張していたのか、強張っていた肩の力が抜けて同じように微笑んだ。
そして、いつもどおりの、どこか悪戯っぽい笑みに変わった。
おいおい、大丈夫だとは思うけど、ウィルに惚れるなよ?
「なら、行くぞ、ロガ。食料の買い足し手伝えよ。お前、荷物持ちな」
「ええっ~!?」
薄っすらと明かりの灯った屋敷中に笑い声が響いた。
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