ウィルとアルと図書館の守人

凪 紅葉

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第二章 ウィルとアルと山頂に棲む竜

レズリー、恋人に夜這いされる

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 静寂に包まれた深夜。
 ある一室のベッドの上。こんもりと膨らんだそれが不意に起き上がり、暗がりの部屋でもう一つのベッドですやすやと眠るレズリーに視線を向けた。
 カチカチ、と規則的に鳴る時計に目をやると、深夜三時を過ぎていた。
 遺跡で、胸が苦しくなって、レズリーの身体に身をあずけた。
 その後の記憶は曖昧で、実はあまり覚えていない。
 けれど、ずっとレズリーのぬくもりに包まれていたことだけは記憶していて、身体がその熱を覚えていた。
 それは今も、ウィルの身体に残り火のように燻っている。
 身体の疼きはそれだけが原因ではないのだが、ウィルが行動に移すには十分すぎる切っ掛けだった。
 ウィルは徐にベッドから抜け出し、レズリーの眠るベッドによじ登る。
 僅かだが、スプリングの揺れでも起きないほど、レズリーは深い眠りについているようだ。
 ウィルは上下白い寝巻きを着てきた。ズボンを下着ごと脱ぎ捨てると、脱いだそれを無造作に床に投げ置いた。寝巻きは大きすぎるのか、下を脱いでも股下十センチほど隠れてしまうくらい余裕があり、ウィルのペニスはほんのりと勃起しているのか上着を軽く持ち上げていた。
 すっと伸ばされたウィルの細い手がレズリーを覆うシーツを捲り、中へと進入する。
 そして在ろうことか、ウィルはレズリーのズボンを下着ごとずらすと、彼のまだ柔らかいペニスをやんわりと掴み、躊躇することなく口に咥えた。
 甘い吐息と、熱に濡れた瞳と表情で、ウィルはレズリーのペニスをおいしそうにペロペロと舐めては咥えて、両手で上下に擦り、丁寧に扱いていく。



 俺は下半身の異様且つ、心地よい感覚でフッ、と意識を浮上させた。

「……ふっ、ぁ?……なん、だ……?」

 呼吸は荒く、はぁ、はぁ、と息を吐きながら、俺は瞼を持ち上げた。
 俺の眠るベッドの上、正確にはシーツの中で何かが蠢いている。
 俺は驚き、シーツを勢いよく捲った。するとそこには信じられない絶景が広がっていた。
 これは俺が見てる、都合の良い夢なのだろうか。
 口元を押さえて、理性を、本能を、あらゆる衝動を押さえ込む。ゴクリと喉がなった。
 
――ウィルが俺のペニスを咥えてる――?!

「ぅ、ウィルっ……、ウィルっ! なに、して……っ!」
「あっ、レズリー、起ひちゃったのかい、はぁ、む」
「そ、りゃ、起きる、だろっ……咥えながら、しゃ、べるなよっ……くっ!」
「むぅ、君が聞くからだろ。……ごめッ、僕、なんらか興奮して……急にレズリーが欲しくなっちゃったんら」
「こう、ふん、ってまさか、禁術書が原、因――っ!」
「わからなッ、とにかく、いますぐレズリーが欲しいんだッ。だから、許ひてッ」
「ゆ、許すも何も……俺はすげえ気持ちいいし、寧ろ、嬉しいっつうか」
「本当? はぁ……良かった。それじゃあ、もっと気持ちよくなって、レズリー……はむっ、はッ、んッ……フッ」
 ウィルは小さな舌を器用に使い、俺のペニスの先端、亀頭と鈴口の辺りを執拗に舐めまわしていく。
 上から覗くウィルのその姿は扇情的で、必死に奉仕し、咥える姿が健気で可愛いと思いながら、終始目を逸らさずに瞬きを忘れて魅入っていた。

 ――最っ高なんだが。夢にまで見た光景が……これは現実か? 俺の都合のいい夢じゃないのか?

 天蓋を仰ぎ、俺は珍しく神に感謝の言葉を述べた。
 俺のすっかり固くなった怒張がさらに大きさを増し、ウィルの口では到底すべて咥えることはできないだろう。唾液を大量に流しながら、手を使い、鞘と袋を同時に扱き、もみ崩していく。
 袋がキュッと収縮して――絶頂が近かった。
「はぁっ、はっ、ウィル、ウィル、もう出、る、から、放せッ」
「ひひほ、ほのまま、だひて」
「――っ、だか、ら、咥えたまま、しゃべるなっ! ――あ゛ッ!?」
「んっ、ふっ、レズリー、イって」
「――っぁ! あ゛ぁ゛っ!」
 ビクンッ、ビクンッ、とペニスが弾けるように大きく跳ねて、びゅく、びゅく、と亀頭の先端から大量の白濁が噴出して飛び散った。
 白濁はウィルの口内と、顔を汚した。
 こくり、と白濁を飲み込む音を聞いた。目の前がウィルだけの世界となる。何かがちぎれそうだ。

「ふふ、いっぱい、出たね」

 顔に掛かった白濁をペロリ、と舌で掬いながら、ウィルはうっとりと微笑んだ。
 俺の中の何かがプツリ、と切れる音がした。
 はぁ、はぁ、と熱で頭の思考が追いつかない。頭で考えるよりも先に身体が勝手に動いていた。
 その姿を見た瞬間、ウィルの腕を掴み引き上げて、自身が寝ていたベッドに形成逆転とばかりに押し倒し、その唇に噛み付いていた。

 ――ああ、支配したい、こいつを、ウィルを……。

 口内に苦味が広がったが、気にせずに柔らかな唇を堪能するかのように何度も角度を変えて貪った。
ウィルの喉から「ンッ」と甘い喘ぎが耳に聞こえて、ゾクゾクと俺の下肢を振るわせる。
 達したばかりの熱が再び集中して起ち上がっていくのがわかった。
 唇から滑るように白い肌に唇を這わせて、唾液を含んだ舌でその肌の香りと肉の柔らかさを堪能していく。
 ほんのりと石鹸の香りと甘いなにか。
 その肌に、噛み付きたい。
 痕を残したい、と本能が疼いた。
 そう思った瞬間、俺は歯を突きたてて噛み付いていた。
 痛かったのだと思う。
 熱にうなされた思考がうまく働いていないのは明らかで、それでも、その衝動を抑えられなかった。
 びくりっ、とウィルの身体が跳ねて腰が浮いたのを足で押さえつけると、全開に開いた付け根部分で反り返る熱に俺の熱を擦り付けるように押し付けて、いやらしく腰を揺らして擦りあった。
 ぬちゃ、ぬちゃ、と卑猥な水音に興奮して、のぼせ上がる。
 早くウィルと一つになりたい。
 そうは思っていても、残念なことに俺は童貞で、なかなか思うようにいかない。
 正直、このあとどうすればいいのかわからない。
 若干の焦りが芽生える。けれど、目の前で組み敷いたウィルの表情は切ないほど綺麗で、可愛くて、色っぽくて、気持ちよさそうに眉ね寄せて、俺と同じように腰を揺らしている。
 小さな口から漏れ聞こえる喘ぎと嬌声、甘い吐息が俺をますます興奮させた。
 たまらまく、幸せだと思った。
 多幸感に包まれる――。
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