気がついたらファンタジー世界でモブ幼女?鍬から始める農民生活、生き残り

和紗かをる

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7章 決戦前夜のモブ幼女

7-2

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「も~嫌っ、も~無理、私がんばりすぎだよねぇ~!私ばかり、がんばり過ぎってよくないよねぇ~」
 毎日毎日、傷ついたブクスフィが狩小屋改め、アーベ狩砦に現れるようになった。それ自体は約束した事だし、想像もしていたけど。頭で考えることと実際にやってみるとは違いすぎる。
 ドーナツ型に耕した豊穣の大地に眠る栄養は、一晩で傷ついたブクスフィが吸い上げてしまい、次の日の朝にはカラッカラになってしまう。それを戻すのには妖精の鍬の力が必要で、その妖精の鍬は私しか使えないってのも判る。判るんだけどさ~、辛いのよこれが!
 朝から晩まで鍬を片手に血豆潰しながらの農作業って、見た目幼女で、中身が中学生の私でも荷が重いって。瑞々しく柔らかだった手の平なんか、ガザガサもいい所よ。しかも、私しか使えないのをいい事に、ユルヘンもブレフトも手伝ってくれないし・・・。
 アーべ叔父さんが作った何かを持って、森の奥に入ってるのは知ってるけど、何してるのか教えてくれないし。
「なんか私だけ仲間はずれっぽいのも気に食わないし!」
 口で愚痴を言いつつ、溜まった鬱憤を大地に晴らすように鍬を振り下ろす。妖精の鍬が難儀な魔法道具と違って、持ち主のメンタルによって機能は変わらない。よく異世界物で聞く、持ち主のテンションで威力が変わる武器って、考えてみればすごく使いにくい道具だよね。普通に考えて強い敵に出会えば出会う程、テンションをあげていかなければ通じないとか、どこの格闘馬鹿の話?って感じ。強くて負けそうな相手が目の前に現れたら意気消沈するし、逃げようと考えるのが普通じゃない?
 そっか、だから勇者なんだ。
 いかに強い敵に出会っても、馬鹿みたいに友情とか信頼とか信じてテンションあげていけるって強者のメンタルがなければ勇者にはなれない。つまり勇者って生き物は戦闘馬鹿しかなれなくて、だからこそ数が少なくて、それで重宝がられていると言う生き物か・・・。わたし、勇者には絶対なりたくないし、そんな生き物、会いたくもないかな・・・。
 なんて事を考えながらも、乾いた大地を癒し、そこから傷ついたブクスフィを癒す行為は止めない。ヘイチェルさんに聞いたけど、アルナウト父の意識が一瞬だったが戻って、水とパン、シチューの様な何かを食べてすぐ寝たそうな。
 アルナウト父を救ってくれた薬を貰ったブクスフィとの約束は守らなきゃいけないと思う。
 それにアーべ叔父さんが夕食の時に言っていたけど、ブクスフィが森の入り口で頑張っているから、ウイルズ・アインは森に入れずに立ち往生しているんだとか。もしブクスフィが居なかったら、森もここも、もしかしたらホラント村まで荒らされていたかもしれないという話だ。
 だから、彼らを癒す豊饒の大地は必要で、それを作り出す妖精の鍬が必要で、使えるのは私だけって話に戻ってくる。頭では重々わかっているんだよ?でも体力的っていうか精神的に辛くなってきてる。私しか出来ないっていう重圧も影響してるのかも?
 もう少し効率的にやらないと、私が潰れる。無意識に鍬を動かしながら私は考えてみる。体力的には辛いけど、それは日を追うごとに慣れてきて、初日に比べればだいぶ進歩している気がする。でも対比してやる気はどんどん少なくなっている気がするな。なんか難しい動画で言ってたモチベーションがどうのこうのってやつなのかも。確かオリンピック選手とかの話で、いかにモチベーションを維持するか?みたいな奴だった。
 オンとオフが大事とか言ってたな、確か・・・。
「ずっとオンだったもんなぁ~こっちに来てから」
 心安らぐ状況って、こっちの世界に来てからは殆どない。ずっと精一杯で、車で言うならアクセル全開で走っていた。スヒァーと対決して、ヒセラ姉に家を追い出され、フィを妖精喰いから助けて、妖精女王に謁見をした。
 次の日にはアルナウト父を助けるために森に入って、アーベ叔父の家の前でヘイチェルさんと出会い、その日の夜明け前にブクスフィを探すために再度森へ。
 なんとか薬を得たけど、代償として鍬を振り振り、この作業をジロー監修の元行っているのが今。
 考えてみれば、やりすぎじゃない?私。
 どんなブラック企業の下っ端サラリーマンだよ・・・。仕事したことないけど、ここ数日は絶対に私史上、最大限に神経を張り詰めていた。
「うん、オフが無いと駄目だ、よい仕事はよい休憩から生まれるって、アニメでもそう言ってたし」
 そう思ったところで丁度枯れた大地ゾーンが終わっていた。
 本当なら、ここからヘイチェルさんの差し入れを食べて、彫刻のナイフを使い枯れ木を有用な材木に加工する仕事があるけど、このままだと、ギブアップになる予感がする。私は勇者でも冒険者でもない、ただのモブ幼女なんだから休憩休憩~♪
「お、終わったな、じゃあ次は・・・」
「ごめんジロー、今日はここまで!もぅ無理、今日これ以上やったら、私、使い物にならなくなるから、これから半日は休憩にする!」
 何か言いたそうに近づいてくるジローの隙をついて、両手を伸ばしてギュッと抱きつき、白い腹毛に顔をうずめてグニグニと動かす。
 「にぎゃ~」
 あ~癒される~♪ひどい鳴き声をあげているジローを気にせず、顔全体でジローにすりすりを繰り返す。ちょっと汗のせいでジローの柔らかな毛が湿った気がするけど、ここは我慢してもらおう。
 私が、がんばる為の養分は必要なんだから・・・。
「・・・小娘・・・」
「なあに?」
 逃がさないようにがっちりとホールドしたまま答える。最初は嫌がっていたジローだったが、何かを悟ったのか、今は暴れる事も叫ぶこともしない。
「う、うむ、何か望みはあるか?なんでもは出来ないが、少しは出来ることがあるかもしれないぞ」
「帰りたい!すぐに帰りたい!今すぐ家に帰って、熱っついシャワーを浴びて、アイス食べて、クーラー効いた部屋でだらだらしたい!」
 望みと聞かれて即座に口からぽろぽろと心からの言葉が出てきた。こんなに自然にいっぱい出てくるとは思わなかった。じんわりと目に涙が浮かんでくるけど、止まらない。
 あ~私、結構ぎりぎりだったのかも?
 とまらない涙と、そんな私を横で見ている自分がいるような不思議な感覚。声を上げずに静かに自分が泣いている姿。本当なら恥ずかしくて死にそうだけど、そんなに悪い気はしない。
「すべてをかなえるのは無理だ、今小娘が言った言葉の意味を我はまったく知らぬ、だから落ち着いたら説明するがよい、それがどんな言葉なのか意味がわかれば叶える方法もあるかも知れぬ」
  それから数分くらい、私はジローのお腹で声を上げずに泣いた。涙が枯れるほどじゃないけど、久しぶりに泣いた。元の世界でもこれだけ泣いたことは記憶にある限り無い。恥ずかしい。
 でも、涙が終わりを告げた時、私は何か重いものが少なくなって、さわやかな風が心の隙間を通り抜けた様な清清しい気分になっていた。
「ごめんジロー」
「良いよ、我も小娘が小娘であることを忘れ、つい過大な要求をしていたようだ、許すがよい」
 顔を離すと、べったりと私の涙でジローの真っ白な腹毛が濡れてしまっていた。
「お風呂・・・」
「ん?」
「ジロー、お風呂入らなきゃ!シャワーって言うのはお風呂の事なの、ジローお風呂なら何とかなる?」
 気分が軽くなったのだ、このタイミングで体も軽くしたい。自分の表面を覆う垢とか埃とか泥を洗い流せば、かなりすっきりする筈。
「風呂か・・・、なんとかは出来る、人のサイズでやったことはないが、試せば出きると思うぞ」
「本当!やった!お風呂に入れるぞ~、洗濯もするぞ~」
 やばい、顔がにやけてくる。元の世界なら喜ぶ要素なんか少しもないことだけど、ニヤニヤが止まらない。泣いた後だからなのかな?
 その後、ジローの作ったお風呂は、私の常識ではありえない方法だった。
 人目につかない狩小屋の裏に行って、そこでジローがなにやらムニャミニャと唱えると、空中に水のちょうどジローが収まるくらいの水の塊が現れた。
 触ると少しだけ生ぬるい感触。ケットシーは熱いお湯が苦手との事で、お風呂は人肌なんだそうだ。
 ふよふよと浮いている生ぬるい水?に驚いていると、そこにジローが突っ込んむと、それまで動きのなかった水が洗濯機の様に動き出し、洗濯機の中みたいにジローの体を洗う。その時間は三分もなかったと思う。
「これが我のお風呂だ、これで良いなら小娘にもやってやろう」
「ちょっと、怖いけど、うん、お願いします」
「うむ、しばし待つが良い」
 またジローのムニャミニャが始まり、生ぬるい水が空中に現れる。先ほどと違うのはそのサイズだ。ジロー三匹分くらいの大きな球体。
「ここに入ればいいんだよね?」
「そうだ、入れば水の精霊が洗浄の魔法を使ってくれる、っておい、なっ、何をしているのだ?」
「え?お風呂は服着て入らないよね」
 ゴワゴワガサガサのワンピースをすっと脱いで、少し躊躇したけど下着も一気に脱ぎ、右手と左手でそれぞれを持って球体に突撃する。
「乙女のたしなみを持つべきだ、小娘よ」
「何よ、この間私の着替えに同室したくせに、何をいまさら」
 それに中学生で、平均よりは少し自信のあった体とは違う。無いのだ、ぺったんなんだもん、そんなのに乙女のたしなみとか、持つだけ無駄じゃない?
「あ~凄い、凄い、洗浄の魔法て最高~♪」
 きれいな透明色だったぬるい水がじわじわと茶色っぽく染まっていく。これは服の汚れで、私の体がここまで汚れていたわけじゃないよね・・・。少し怖くなるけど、無理やり自分を納得させる。
「出るときはどうするの?」
「水の精霊に感謝を捧げつつ、数歩前に出れば良い」
 そう言うとジローはクルッと背中を向ける。紳士って事なのかな?ケットシーの王族とかって言ってたし、ジロー、育ちはいいものねぇ。
「ありがとうございます、水の精霊さん」
 言って数歩前に出ると自分から球体が剥がれるように後方に抜けていく、それと同時に濡れていた体の水分も一緒に球体へと残された。濡れたままということは無いようだ。
「ふぅっ~、これは疲れがふっとぶねぇ~、湯船にじっくり漬かるのも良いけど、これも忙しい時には楽ちんだ」
「いいから、とっとと服を着ろ、この小娘、王族を前にして無礼の数々だぞまったく」
「あ、ああ、ごめんごめん」
 服を見るとこちらも綺麗に乾燥している上に、柔軟剤でも使ったみたいに少しだけふわっとした感触に変わっている。最高~だ、わっほ~。
 と叫ぼうとしたら、口より先にお腹がぐぎゅるぅと自己主張した。
「私が最高っとか思ったから、ハルが嫉妬したかな?」
 完全に言い訳です、ごめんなさいハル。ヘイチェルさんの差し入れを食べていた時間だから、お腹が勝手に鳴っただけです、はい・・・。
「食い意地が張っているだけだろうが小娘め」
「むむ~」
 私の照れ隠しを完全に見破ってのジローの言葉。
 猫の癖に、むかつく。
「もう、小娘、小娘、言わないでくれるかなっ私にはちゃんとハルカゼって名前が・・・、あ、いや、ええと、ハルって名前が・・・」
 つい勢いで元の世界の名前を言っちゃった。妖精女王に看破され、ユルヘンには自白したけど、ジローには何も言ってなかった。私が異世界から来たんだって事は。
「なんだ、ハルカゼ?ふぅむ、なぜかは知らぬがその名はしっくりくる、人ごときの名など覚えたことは無いが、特別に我がお前をハルカゼと呼んでやろう、それが望みならばな」
 異世界から来たって事はユルヘンにも妖精女王にもばれてるけど、自分の本当の名前がハルカゼって事はまだ誰にも言ってない。ただの言い間違いだよとでも言えば、取り消せるけど、私はそのままこくんと頷いた。
 その瞬間になんかドキドキしたけど、多分気のせいだろう。だってジローは猫だし。
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