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第4章 逃避行しながらの再会は圧倒的に不合理でご都合主義って事は判っているさ。
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これも、異世界テンプレートとか思っていたけど、実は20世紀最大の話題作?な鬱系主人公のロボットの様な何かに乗るだ乗らないだで嘆いていたアニメの主人公のセリフが有名だ。
決して異世界系小説の流行から生まれた言葉じゃない。と俺は思っているけど、実は違っていたら、元祖様すみません。
「知らない天井・・・」
昨日までは石がむき出しのカビ臭い天井、今日は木造の梁もきちんとある清潔な天井。入った時は、こんな造りで大丈夫か?地震来たら一発で廃屋化するんじゃないかとか思っていたけど、案外丈夫なのかもしれない。何せ完全木造建築用って異世界でも経験なかったからな。
「そして、なんか脇腹が痒いと言うかくすぐったいんだが・・・」
実は起きた瞬間と言うか、起きた原因はこの脇腹の痒みだった。
牢屋みたいな場所では熟睡なんてしてなかったから、出来れば後2日くらい熟睡していたかったけど、脇腹の痒みのせいで俺の熟睡タイムは1日以上は許されなかった。
腹も減ったし、水分も欲しくなったから、今から2日寝ていたら逆に具合悪くなったかもしれないので、結果オーライだったのかもな。
「で、結局なんなんだ、これ?」
輪っかを着けている事の副作用か何かだろうか?
牢屋に居た時も、痒みに悩まされた記憶がある。あれは酷かった。痒いのに手が動かせない。そうなると意識が痒みのことしか考えられなくなり、気が狂いそうなくらい痒くなっていく無限スパイラル状態。
だが、今は違う。
痒くなれば、手を伸ばして掻けばいいんだ。
骨と皮しかないし、握ると言う事も出来ない手先だけど、それでも掻く位は出来るはず。
不自由は仕方ないけど、自分の手で書くことが出来ると言うのは、なんと幸せなことだろうか。
何が嬉しいって、今一番嬉しいのは、この事だな。
ムニュ、ムニュニュ、ムニュミュニュニュ
おかしい・・・。
アラフォー時代の昔ならいざ知らず、俺の脇腹がムニュってるとかおかしい。盗賊下っ端時代は貧困から、飽食なんて夢のまた夢。貴族の様に無駄肉を装備するなんて、出来なかった。勇者になった後は、旅に続く旅で鍛えられ、魔物との戦闘、エルフや聖騎士との訓練に明け暮れて、食べる者は高カロリーな物に変わったが、脂肪どころか筋肉バリバリで、ビフォーあふたーのアフター映像の撮影に参加できるくらいのマッチョさんだった。
そして最後、監禁され拷問され、やせ衰えていったあの時に脂肪がつくとかありえない。
つまり、これは骨皮化してしまった俺の手先が感じさせる幻覚だ。
カサカサ指で、カサカサやるつもりが、ムニュったのは、すべて幻覚なんだ。
ちょっとドキドキして、自分の脇腹を見ようとするが、いつの間に架けられたのか、エコノミーな国際線で借りる薄~い毛布の様な何かがあって自分の体の全体が見えない。
疲労困憊で熟睡していた俺を見かねて、青肌獣耳一族の誰かが優しさを発揮してくれたのだろう。ありがたいことだ。あの青肌獣耳たちには恩ばかりが積み重なる。そのうちに負債返還といきたい所だが、まずは体調を治して足手まといから脱却しなければ話にならない。
その前に、今は脇腹チェックのお時間だ。
毛布を握ることが出来ないので、輪っかにひっかけて捲ろうとするがうまくいかない。
たったこれだけの事が出来ないとか、かなりヤバいのかも・・・。
だが、やると決めたら、出来る力があればやるべきだ。なんとなく偉そうに頭に命令して、何度かチャレンジ。ちょびっとづつ毛布がめくれて行く。
次第に見えてくるのは濃い目の金髪。黄金色と言ってもいいだろう・・・。
「はぁ、誰だお前?」
なんか、俺の脇腹にしがみつく金髪が居た。
髪の毛が長く、太もも辺りまで多量の金髪で隠れている、金髪妖怪さんは俺の脇腹にしがみつき、なぜだか吸い付いたり離れたりしている。
吸血行為に似て居なくもないが、歯も牙も突き刺してはいないので、血は出ていない。
あるのは薄く赤紫色になった痣の様な跡。
俺の少ない経験で言えば、いわゆるキスマークだった。それが数十の数で俺の脇腹に刻まれている。
「おい、起きろっ、お前はなにしてるんだっ」
前世よりも、こっちの世界の方がそういう経験は豊富だが、流石にいつの間にか脇腹に吸いつかれて、キスマーク大量生産されるのは初めてだ。それも寝ている間に・・・。
「ん~、わたし疲れてるんだから、今日は寝かせなさいよ、爺やにでも言っていつも通り公務は任せるから、私はもうちょっと夢を、勇者様の夢を見て楽しむんだから・・・」
頭を叩いても起きないし、何を言っているのか意味が判らないが、なんとなく声の色と言うか声の抑揚に聞き覚えがあった。それは寒気と共に心の句底に沈めた記憶だ。
ぶるっと全身が震え、何か良くない物を呼び起こしそうになるが、ぐっと我慢する。あいつがここに居るわけがない、あいつはこんなに小さくない、あいつは俺に抱き着いてしおらしく一緒に寝たりなんかしない・・・。
だよな、そのはずだよな・・・。
「おいっお前っいい加減にしろっ」
金髪の頭に、手首から外すことが出来ない輪っかを打ちつける。
少し震えたせいで、かなり力が入ったかもしれないが、金髪少女は痛がりもせず、一瞬目をぎゅっとすると、ぱっと飛び起きて俺を睨みつけ、短くもしなやかな指先を俺に突き付けた。
「無礼者、その命はもはやない物と思いなさい、この王国の一姫の眠りを妨げた罰を十分に味わいなさい!糞尿まき散らして泣いて詫びても、鞭でお尻100回でも許さないのだから」
ああ~、逃げたい逃げたい逃げたい。エルフじゃなくて何だってこいつに会っちまうんだ?運命なのかこれは、濡れ衣状態の婚約者の運命線はそんなに強いのか??
「って、お前、いつの間にか小っこくなってないか?まえはもっとこう、ズドーンとかドドーンとかって言葉が似合う体だったよなぁ、勇者スキルに目覚めたばかりの俺が身動き取れなくなるくらいの偉丈夫だったよな、それがまたなんで・・・」
金髪よりも金な黄金色の髪の毛を全身にどこぞのヴィーナスみたいに巻きつけた体は、一言で言って細い。俺の頭よりも大きかったんじゃないかって胸の双丘は、厚みが単行本レベルまで落ち込んでいる。真っ白な肌は一緒だが、たるみとか皺が消えて、陽光を反射させるみずみずしさもる。
「吃驚しているんですわね?それはそうですわ!私が一番びっくりしているもの、だけれどこれはこれで良い物で、肉の重みと言う重しから久方ぶりに解放されて良い気分なのよ、けどなぜ私はこの様な場所に居るのかしら?わたしは死にそうに、いや一回死んで、城から抜け出し、勇者様の匂いを探してここまで来ましたのに、いつの間にか全裸で男に抱き着いているとはこれ如何に?」
「こっちが聞きたいわい、ってか、お前本当に姉姫様なのか?あの、重装甲だった」
「何を言うのです、わたしは私に決まっているではないですか、私が王国一の姫である事は間違いないことですわ?そいう勇者の匂いのする貴方は誰?」
「誰って、勇者だよ勇者、匂いで探索できる能力とかあったんだなお前、やっぱり人類最強なんじゃないかこの人・・・」
「ふむふむ、すっ~、はぁ~、すっ~はぁ~、ふむ確かに何度嗅いでもこの匂いは勇者様ですわね、って私、勇者様に、マッパで抱き着いてた?えっ本当に、なんで?」
なんか匂いを嗅いでスイッチが入ってしまったらしい。それまでは高飛車な我儘少女みたいだったのが、俺の知る控えめだけど、実は押しが重戦車並みに恐ろしい彼女に変わった。
「ちょっちょっと落ち着こう、はいっ深呼吸って、深く匂いを嗅いじゃダメだって~もっとおかしくなるから」
今度は目が血走り、あの日の夜の様に、俺を捕食対象としてターゲッティングしそうな雰囲気が出て来た。トラウマさん出てこないでくれ~。
「ふぅっふぅっ、そうだった、今はだめですね、ちゃんとお話を伝えませんと、でも、申し訳ありません勇者様、出来ましたら、その毛布をお借りすることは出来ませんか?いかに婚約者で肌を許した間柄である勇者様でも、あの、その、恥ずかしいです・・・」
あっれ~姉姫様ってこんな可愛かったか?出会いと言うか最初の夜が最悪トラウマ事案だっただけで、実は・・・。っていやいやいや、最悪トラウマ事案とか、その後にどんな言葉を続けても、事件でしかない!
「話って、俺の監禁に関することか?」
薄っぺらい毛布らしき物を格好よく、姉姫様にかぶせてあげればイケメンなんだろうが、残念ながら俺の手は言う事を聞かず、なんとなく毛布を姉姫様の方に差し出すのが精いっぱいだった。
足先も一人で寝転がった状態から立つことが出来ない。イライラしてしまうが、焦ったって怒ったって、イラついたって、すぐにどうなるってもんじゃない。
気長に対策を練っていくしかない。
「そうです勇者様、わたくしはエルフさんに助けらえなければ死んでいました、あの王国戦士がクーデターを起こして、王とわたくしを殺したのです・・・」
「王国戦士がクーデター、ふんっそんな勇気があいつに有ったとは驚きだ、妹姫様の腰ぎんちゃくで小悪党がせいぜいの男だと思っていたのにな・・・」
少し考えても異様な気がするが、あいつがそんな大それたことを一人でするはずがない。だが勇者である俺の監禁だって、クーデターの流れの一つと考えれば、王国戦士は使われていただけって線が濃厚だ。
しかし、いつから?
結果から逆算しろ。
この結果を生むために何が必要だった?
目的がクーデターであれば、王族の存在が一番邪魔となる筈だ。王族とは誰だ?もちろん王族の筆頭は王様だろう。
あんまり記憶に残っていないが、多分居た筈だ。盗賊の下っ端である俺を勇者と認め、姉姫様との婚約と、妹姫との魔王討伐を命令した人物が。
ってか、この王様が結構俺にとっては悪者じゃないか?俺を姉姫様と婚約させなければ、俺はもっと好意的に動いたし、妹姫を勇者監視みたいな名目で、彼女自身を監視がない状態にして、野放しにしたんだから。その結果は、俺の地獄監禁拷問のおまけつきコース、30泊31日(仮)が決まったんだ。
王様、有罪!
んで、他の王族は確か・・・、姉姫様と妹姫、あと、う~ん誰かいたっけか?王妃とかいたんだろうか?会った記憶がないが、娘として姉姫様、妹姫が生まれているんだから、居る、もしくは居たんだろう。いかに魔法術式があったとしても、人工的に子供を増やす技術は無い筈。うん、無いよな?知らんけど・・・
「王族って誰が居たんだ?」
「王族は、王様、兄様、わたくし、妹姫、弟の5人となります、母は弟を主産するため実家に帰りましたところ、そのまま王国には戻らずに、実家で静養されるとおっしゃっていましたわ」
なんだ、王様は夫婦別居中だったのか、まぁクーデター起こされるくらいのんびり愚鈍さんだったら、跡継ぎの可能性がある弟さんを守るために帰ってこない、とかかもな。
なにせ後継者候補1位だったのは、周囲から魔王と蔑まれていたクズ兄王子だったんだから。
青肌獣耳さんたちを監禁して、酷いことをする奴に人権は無い。ついでに俺を監禁した奴らにも人権はいらんだろう。
人族の希望の星を監禁拷問とか、それって私は人族じゃありませんって宣言しているのと一緒だよな、はい妹姫も有罪。
救いはどっかに身をかわしている王妃様と弟王子が居る事だが、抜け目のない奴らだったら、この時点で暗殺者を送っていても不思議じゃない。
王族で言えば、いま全裸毛布とか俺の趣味にガンガン警鐘を鳴らしている姉姫様。この人もしっかり王族の一員で、兄王子が死んだからには継承権は上位に来るだろう。弟王子が成人するまでの代理王とか要請されるポジションだ。
だから暗殺された。だが生き残った。ん?生き残った?どうやって、ってか絶対それって魔法術式の何か的なやつだよな。見た目が全然違うし、なんて言うか熟女が幼女に変化したレベルで違う。
「どうやって生き残ったんだ?」
「それは・・・エルフさんが・・・」
決して異世界系小説の流行から生まれた言葉じゃない。と俺は思っているけど、実は違っていたら、元祖様すみません。
「知らない天井・・・」
昨日までは石がむき出しのカビ臭い天井、今日は木造の梁もきちんとある清潔な天井。入った時は、こんな造りで大丈夫か?地震来たら一発で廃屋化するんじゃないかとか思っていたけど、案外丈夫なのかもしれない。何せ完全木造建築用って異世界でも経験なかったからな。
「そして、なんか脇腹が痒いと言うかくすぐったいんだが・・・」
実は起きた瞬間と言うか、起きた原因はこの脇腹の痒みだった。
牢屋みたいな場所では熟睡なんてしてなかったから、出来れば後2日くらい熟睡していたかったけど、脇腹の痒みのせいで俺の熟睡タイムは1日以上は許されなかった。
腹も減ったし、水分も欲しくなったから、今から2日寝ていたら逆に具合悪くなったかもしれないので、結果オーライだったのかもな。
「で、結局なんなんだ、これ?」
輪っかを着けている事の副作用か何かだろうか?
牢屋に居た時も、痒みに悩まされた記憶がある。あれは酷かった。痒いのに手が動かせない。そうなると意識が痒みのことしか考えられなくなり、気が狂いそうなくらい痒くなっていく無限スパイラル状態。
だが、今は違う。
痒くなれば、手を伸ばして掻けばいいんだ。
骨と皮しかないし、握ると言う事も出来ない手先だけど、それでも掻く位は出来るはず。
不自由は仕方ないけど、自分の手で書くことが出来ると言うのは、なんと幸せなことだろうか。
何が嬉しいって、今一番嬉しいのは、この事だな。
ムニュ、ムニュニュ、ムニュミュニュニュ
おかしい・・・。
アラフォー時代の昔ならいざ知らず、俺の脇腹がムニュってるとかおかしい。盗賊下っ端時代は貧困から、飽食なんて夢のまた夢。貴族の様に無駄肉を装備するなんて、出来なかった。勇者になった後は、旅に続く旅で鍛えられ、魔物との戦闘、エルフや聖騎士との訓練に明け暮れて、食べる者は高カロリーな物に変わったが、脂肪どころか筋肉バリバリで、ビフォーあふたーのアフター映像の撮影に参加できるくらいのマッチョさんだった。
そして最後、監禁され拷問され、やせ衰えていったあの時に脂肪がつくとかありえない。
つまり、これは骨皮化してしまった俺の手先が感じさせる幻覚だ。
カサカサ指で、カサカサやるつもりが、ムニュったのは、すべて幻覚なんだ。
ちょっとドキドキして、自分の脇腹を見ようとするが、いつの間に架けられたのか、エコノミーな国際線で借りる薄~い毛布の様な何かがあって自分の体の全体が見えない。
疲労困憊で熟睡していた俺を見かねて、青肌獣耳一族の誰かが優しさを発揮してくれたのだろう。ありがたいことだ。あの青肌獣耳たちには恩ばかりが積み重なる。そのうちに負債返還といきたい所だが、まずは体調を治して足手まといから脱却しなければ話にならない。
その前に、今は脇腹チェックのお時間だ。
毛布を握ることが出来ないので、輪っかにひっかけて捲ろうとするがうまくいかない。
たったこれだけの事が出来ないとか、かなりヤバいのかも・・・。
だが、やると決めたら、出来る力があればやるべきだ。なんとなく偉そうに頭に命令して、何度かチャレンジ。ちょびっとづつ毛布がめくれて行く。
次第に見えてくるのは濃い目の金髪。黄金色と言ってもいいだろう・・・。
「はぁ、誰だお前?」
なんか、俺の脇腹にしがみつく金髪が居た。
髪の毛が長く、太もも辺りまで多量の金髪で隠れている、金髪妖怪さんは俺の脇腹にしがみつき、なぜだか吸い付いたり離れたりしている。
吸血行為に似て居なくもないが、歯も牙も突き刺してはいないので、血は出ていない。
あるのは薄く赤紫色になった痣の様な跡。
俺の少ない経験で言えば、いわゆるキスマークだった。それが数十の数で俺の脇腹に刻まれている。
「おい、起きろっ、お前はなにしてるんだっ」
前世よりも、こっちの世界の方がそういう経験は豊富だが、流石にいつの間にか脇腹に吸いつかれて、キスマーク大量生産されるのは初めてだ。それも寝ている間に・・・。
「ん~、わたし疲れてるんだから、今日は寝かせなさいよ、爺やにでも言っていつも通り公務は任せるから、私はもうちょっと夢を、勇者様の夢を見て楽しむんだから・・・」
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ぶるっと全身が震え、何か良くない物を呼び起こしそうになるが、ぐっと我慢する。あいつがここに居るわけがない、あいつはこんなに小さくない、あいつは俺に抱き着いてしおらしく一緒に寝たりなんかしない・・・。
だよな、そのはずだよな・・・。
「おいっお前っいい加減にしろっ」
金髪の頭に、手首から外すことが出来ない輪っかを打ちつける。
少し震えたせいで、かなり力が入ったかもしれないが、金髪少女は痛がりもせず、一瞬目をぎゅっとすると、ぱっと飛び起きて俺を睨みつけ、短くもしなやかな指先を俺に突き付けた。
「無礼者、その命はもはやない物と思いなさい、この王国の一姫の眠りを妨げた罰を十分に味わいなさい!糞尿まき散らして泣いて詫びても、鞭でお尻100回でも許さないのだから」
ああ~、逃げたい逃げたい逃げたい。エルフじゃなくて何だってこいつに会っちまうんだ?運命なのかこれは、濡れ衣状態の婚約者の運命線はそんなに強いのか??
「って、お前、いつの間にか小っこくなってないか?まえはもっとこう、ズドーンとかドドーンとかって言葉が似合う体だったよなぁ、勇者スキルに目覚めたばかりの俺が身動き取れなくなるくらいの偉丈夫だったよな、それがまたなんで・・・」
金髪よりも金な黄金色の髪の毛を全身にどこぞのヴィーナスみたいに巻きつけた体は、一言で言って細い。俺の頭よりも大きかったんじゃないかって胸の双丘は、厚みが単行本レベルまで落ち込んでいる。真っ白な肌は一緒だが、たるみとか皺が消えて、陽光を反射させるみずみずしさもる。
「吃驚しているんですわね?それはそうですわ!私が一番びっくりしているもの、だけれどこれはこれで良い物で、肉の重みと言う重しから久方ぶりに解放されて良い気分なのよ、けどなぜ私はこの様な場所に居るのかしら?わたしは死にそうに、いや一回死んで、城から抜け出し、勇者様の匂いを探してここまで来ましたのに、いつの間にか全裸で男に抱き着いているとはこれ如何に?」
「こっちが聞きたいわい、ってか、お前本当に姉姫様なのか?あの、重装甲だった」
「何を言うのです、わたしは私に決まっているではないですか、私が王国一の姫である事は間違いないことですわ?そいう勇者の匂いのする貴方は誰?」
「誰って、勇者だよ勇者、匂いで探索できる能力とかあったんだなお前、やっぱり人類最強なんじゃないかこの人・・・」
「ふむふむ、すっ~、はぁ~、すっ~はぁ~、ふむ確かに何度嗅いでもこの匂いは勇者様ですわね、って私、勇者様に、マッパで抱き着いてた?えっ本当に、なんで?」
なんか匂いを嗅いでスイッチが入ってしまったらしい。それまでは高飛車な我儘少女みたいだったのが、俺の知る控えめだけど、実は押しが重戦車並みに恐ろしい彼女に変わった。
「ちょっちょっと落ち着こう、はいっ深呼吸って、深く匂いを嗅いじゃダメだって~もっとおかしくなるから」
今度は目が血走り、あの日の夜の様に、俺を捕食対象としてターゲッティングしそうな雰囲気が出て来た。トラウマさん出てこないでくれ~。
「ふぅっふぅっ、そうだった、今はだめですね、ちゃんとお話を伝えませんと、でも、申し訳ありません勇者様、出来ましたら、その毛布をお借りすることは出来ませんか?いかに婚約者で肌を許した間柄である勇者様でも、あの、その、恥ずかしいです・・・」
あっれ~姉姫様ってこんな可愛かったか?出会いと言うか最初の夜が最悪トラウマ事案だっただけで、実は・・・。っていやいやいや、最悪トラウマ事案とか、その後にどんな言葉を続けても、事件でしかない!
「話って、俺の監禁に関することか?」
薄っぺらい毛布らしき物を格好よく、姉姫様にかぶせてあげればイケメンなんだろうが、残念ながら俺の手は言う事を聞かず、なんとなく毛布を姉姫様の方に差し出すのが精いっぱいだった。
足先も一人で寝転がった状態から立つことが出来ない。イライラしてしまうが、焦ったって怒ったって、イラついたって、すぐにどうなるってもんじゃない。
気長に対策を練っていくしかない。
「そうです勇者様、わたくしはエルフさんに助けらえなければ死んでいました、あの王国戦士がクーデターを起こして、王とわたくしを殺したのです・・・」
「王国戦士がクーデター、ふんっそんな勇気があいつに有ったとは驚きだ、妹姫様の腰ぎんちゃくで小悪党がせいぜいの男だと思っていたのにな・・・」
少し考えても異様な気がするが、あいつがそんな大それたことを一人でするはずがない。だが勇者である俺の監禁だって、クーデターの流れの一つと考えれば、王国戦士は使われていただけって線が濃厚だ。
しかし、いつから?
結果から逆算しろ。
この結果を生むために何が必要だった?
目的がクーデターであれば、王族の存在が一番邪魔となる筈だ。王族とは誰だ?もちろん王族の筆頭は王様だろう。
あんまり記憶に残っていないが、多分居た筈だ。盗賊の下っ端である俺を勇者と認め、姉姫様との婚約と、妹姫との魔王討伐を命令した人物が。
ってか、この王様が結構俺にとっては悪者じゃないか?俺を姉姫様と婚約させなければ、俺はもっと好意的に動いたし、妹姫を勇者監視みたいな名目で、彼女自身を監視がない状態にして、野放しにしたんだから。その結果は、俺の地獄監禁拷問のおまけつきコース、30泊31日(仮)が決まったんだ。
王様、有罪!
んで、他の王族は確か・・・、姉姫様と妹姫、あと、う~ん誰かいたっけか?王妃とかいたんだろうか?会った記憶がないが、娘として姉姫様、妹姫が生まれているんだから、居る、もしくは居たんだろう。いかに魔法術式があったとしても、人工的に子供を増やす技術は無い筈。うん、無いよな?知らんけど・・・
「王族って誰が居たんだ?」
「王族は、王様、兄様、わたくし、妹姫、弟の5人となります、母は弟を主産するため実家に帰りましたところ、そのまま王国には戻らずに、実家で静養されるとおっしゃっていましたわ」
なんだ、王様は夫婦別居中だったのか、まぁクーデター起こされるくらいのんびり愚鈍さんだったら、跡継ぎの可能性がある弟さんを守るために帰ってこない、とかかもな。
なにせ後継者候補1位だったのは、周囲から魔王と蔑まれていたクズ兄王子だったんだから。
青肌獣耳さんたちを監禁して、酷いことをする奴に人権は無い。ついでに俺を監禁した奴らにも人権はいらんだろう。
人族の希望の星を監禁拷問とか、それって私は人族じゃありませんって宣言しているのと一緒だよな、はい妹姫も有罪。
救いはどっかに身をかわしている王妃様と弟王子が居る事だが、抜け目のない奴らだったら、この時点で暗殺者を送っていても不思議じゃない。
王族で言えば、いま全裸毛布とか俺の趣味にガンガン警鐘を鳴らしている姉姫様。この人もしっかり王族の一員で、兄王子が死んだからには継承権は上位に来るだろう。弟王子が成人するまでの代理王とか要請されるポジションだ。
だから暗殺された。だが生き残った。ん?生き残った?どうやって、ってか絶対それって魔法術式の何か的なやつだよな。見た目が全然違うし、なんて言うか熟女が幼女に変化したレベルで違う。
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