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第7章 再起は此処から!その名も青の村って名前はベタだけど
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あの夜起こった事で注目すべき問題は3つあった。
1つは、私が姉姫様と交渉と言う名の脅迫や強要を受けている最中にアーサーが豚の確認をした事だ。勇者様と姉姫様が豚と呼んでいたのは、半分は予想していが、やはり地区長殿だった。死んでても、それはそれで良かったのだが、負傷だけで命に別状はないらしい。但し、内臓に損傷があるらしく数週間は安静が必要だと言う事。これで我々は少なくとも数週間は豚の鳴き声に悩まされなくてよくなったと言う事になる。
もう一つは教皇庁最奥の直属騎士、四つ葉の騎士が自分を暗殺しに来たと言う事。なぜ命令変更や解任ではなかったのか?騎士団のトップをいきなり暗殺してどうするつもりだったのだろう?そんな事をすれば騎士たちは混乱して、王国戦士派への圧力をかけるという作戦が無駄になる。
と言う事は、最初からそんな作戦は無かったか、実は妹姫派と取引している格好にして裏で王国戦士派とも繋がっていた可能性もある。
ついでに教皇庁に非協力的な、わが銀の盾騎士団を犠牲の羊にすると言うのが本命か・・・。
騎士団内部に彼女の潜在的な協力者を含んでいるのも理由になるか。
だが、教皇庁最奥の切り札である四つ葉の騎士は敗退し、私は生きている。
最後の3つ目。これは何と言うか大問題だった。
我らの背後の教皇領の一つ。この場所に隣接する都市が1つ落とされたのだ。
防御の要たる銀の盾が全力出撃でこの地に進撃し、地域の信徒を統括する豚殿も一緒にここに居たら、組織的防衛など出来るはずもない。
住民の多くは信徒だが、彼等にとって攻めて来たのが姫巫女の部隊だったら、進んで門を開く者も居ただろう。
「どうにも、手詰まりと言った所か・・・」
背後の都市と落とされ撤退する事も容易ではない。教皇領はまだ数はあり、駐屯できる都市も1つや2つではないが、そこに至る道程で姫巫女側から妨害を受ければ、戦闘力を喪失し騎士団は瓦解してしまう可能性がある。とは言え、この場にとどまった所で食料がなくなり、動けなくなるだけだ。
幸い、勇者側のいる青の村とは停戦合意が出来ているので、今日明日に全滅すると言った状況ではないが、先が無いのは変わりがない。
「騎士団長、もういっそ青の村からの要請を受諾してみるのも一つの手ではないかと、従僕側からは、それもやぶさかではないと言う意見もございます、騎士からは反対意見が多いですが、彼等も食べなければ生きては生きていけませんからね」
「ふうむ、しかしなぁ簡単に納得いかない者が暴発すると問題になるよな」
青の村からの要請とは、農作業だとか、住む家の拡充だとか、井戸掘りの手伝いなどで、つまりは村づくりの手伝いだ。報酬として食と住を提供すると言う。取り急ぎの住居は四方にある砦を宛がい、食は備蓄の農作物を配給するとの事になる。
状況の改善いは役に立つ提案で、1000人からなる従僕たちには得意分野でもあろう。 だが、それを教皇庁は裏切りと見ないだろうか。騎士の中には神の代弁者として教皇庁に恐怖を覚えたり、残した家族が迫害を受けないか心配している者もいる。
「そうした者たちは豚殿と一緒に分かれてしまえば宜しいかと、全部隊での撤退は難しくとも数十人程度ならば持たせる糧食も用意できます」
「数十人?戻りたがっているのはそれだけなのか?」
「全員に確認したわけではありませんが、恐らくはそんな所でしょう、帰れるなら帰りたいと考えているの者と、是が非で帰りたい者との違いでしょう、命を賭けて皆と別れてまでと言う意見は少ない筈です」
「そうか・・・」
今までのアーサーの献策で間違いは殆んどない。こいつがこうまで確信的に言うのであれば、それが正解なのだろう。
青の村と共存し、姫巫女と和解の上、自分や騎士団に害をなそうとしてきた教皇庁との対立。それが今は妥当なのかもしれない。意地を張り差し伸べられている手を振り払っても、明日の食に苦労するだけでなく、姫巫女と青の村の勇者様と対立しても益はない。
そうしたところで、作戦通りとほくそ笑むのはこちらを捨て駒の様に扱った教皇庁だけだ。
「宜しい、皆の意見を確認し選別を進めよう、従僕部隊の方はアーサーお前に任せる、魔族も居る青の村で問題が起きないように、慎重に対応してくれ」
「承知いたしました」
こうして教皇庁巡回騎士団、銀の盾はあくまでも教皇庁に従う意思を示した騎士18名と従僕24名に、豚殿を合わせて45名が離脱した。残りの人員は当座の状況が落ち着くまでと言う言い訳をしながら青の村との協調路線を歩むことになった。
マズルーが忌避していた魔族との共存だが、従僕部隊の面々は各種作業で魔族が必ずしも敵対的ではないことを知りすぐに溶け込んだし、魔族は敵と教育されてきた騎士たちも魔物狩りなどで協力する内に、敵対的な考えは減じていった。
ただ魔族領から派遣されている狩人団とは獲物の取り合いで、いがみ合いも起こったが、姉姫様が仲介役を買って出てくれ、それぞれが魔物の狩猟範囲を定める事で和解した。
こうして青の村には、正式ではないが1400人近くの人間が増えることなった。
1つは、私が姉姫様と交渉と言う名の脅迫や強要を受けている最中にアーサーが豚の確認をした事だ。勇者様と姉姫様が豚と呼んでいたのは、半分は予想していが、やはり地区長殿だった。死んでても、それはそれで良かったのだが、負傷だけで命に別状はないらしい。但し、内臓に損傷があるらしく数週間は安静が必要だと言う事。これで我々は少なくとも数週間は豚の鳴き声に悩まされなくてよくなったと言う事になる。
もう一つは教皇庁最奥の直属騎士、四つ葉の騎士が自分を暗殺しに来たと言う事。なぜ命令変更や解任ではなかったのか?騎士団のトップをいきなり暗殺してどうするつもりだったのだろう?そんな事をすれば騎士たちは混乱して、王国戦士派への圧力をかけるという作戦が無駄になる。
と言う事は、最初からそんな作戦は無かったか、実は妹姫派と取引している格好にして裏で王国戦士派とも繋がっていた可能性もある。
ついでに教皇庁に非協力的な、わが銀の盾騎士団を犠牲の羊にすると言うのが本命か・・・。
騎士団内部に彼女の潜在的な協力者を含んでいるのも理由になるか。
だが、教皇庁最奥の切り札である四つ葉の騎士は敗退し、私は生きている。
最後の3つ目。これは何と言うか大問題だった。
我らの背後の教皇領の一つ。この場所に隣接する都市が1つ落とされたのだ。
防御の要たる銀の盾が全力出撃でこの地に進撃し、地域の信徒を統括する豚殿も一緒にここに居たら、組織的防衛など出来るはずもない。
住民の多くは信徒だが、彼等にとって攻めて来たのが姫巫女の部隊だったら、進んで門を開く者も居ただろう。
「どうにも、手詰まりと言った所か・・・」
背後の都市と落とされ撤退する事も容易ではない。教皇領はまだ数はあり、駐屯できる都市も1つや2つではないが、そこに至る道程で姫巫女側から妨害を受ければ、戦闘力を喪失し騎士団は瓦解してしまう可能性がある。とは言え、この場にとどまった所で食料がなくなり、動けなくなるだけだ。
幸い、勇者側のいる青の村とは停戦合意が出来ているので、今日明日に全滅すると言った状況ではないが、先が無いのは変わりがない。
「騎士団長、もういっそ青の村からの要請を受諾してみるのも一つの手ではないかと、従僕側からは、それもやぶさかではないと言う意見もございます、騎士からは反対意見が多いですが、彼等も食べなければ生きては生きていけませんからね」
「ふうむ、しかしなぁ簡単に納得いかない者が暴発すると問題になるよな」
青の村からの要請とは、農作業だとか、住む家の拡充だとか、井戸掘りの手伝いなどで、つまりは村づくりの手伝いだ。報酬として食と住を提供すると言う。取り急ぎの住居は四方にある砦を宛がい、食は備蓄の農作物を配給するとの事になる。
状況の改善いは役に立つ提案で、1000人からなる従僕たちには得意分野でもあろう。 だが、それを教皇庁は裏切りと見ないだろうか。騎士の中には神の代弁者として教皇庁に恐怖を覚えたり、残した家族が迫害を受けないか心配している者もいる。
「そうした者たちは豚殿と一緒に分かれてしまえば宜しいかと、全部隊での撤退は難しくとも数十人程度ならば持たせる糧食も用意できます」
「数十人?戻りたがっているのはそれだけなのか?」
「全員に確認したわけではありませんが、恐らくはそんな所でしょう、帰れるなら帰りたいと考えているの者と、是が非で帰りたい者との違いでしょう、命を賭けて皆と別れてまでと言う意見は少ない筈です」
「そうか・・・」
今までのアーサーの献策で間違いは殆んどない。こいつがこうまで確信的に言うのであれば、それが正解なのだろう。
青の村と共存し、姫巫女と和解の上、自分や騎士団に害をなそうとしてきた教皇庁との対立。それが今は妥当なのかもしれない。意地を張り差し伸べられている手を振り払っても、明日の食に苦労するだけでなく、姫巫女と青の村の勇者様と対立しても益はない。
そうしたところで、作戦通りとほくそ笑むのはこちらを捨て駒の様に扱った教皇庁だけだ。
「宜しい、皆の意見を確認し選別を進めよう、従僕部隊の方はアーサーお前に任せる、魔族も居る青の村で問題が起きないように、慎重に対応してくれ」
「承知いたしました」
こうして教皇庁巡回騎士団、銀の盾はあくまでも教皇庁に従う意思を示した騎士18名と従僕24名に、豚殿を合わせて45名が離脱した。残りの人員は当座の状況が落ち着くまでと言う言い訳をしながら青の村との協調路線を歩むことになった。
マズルーが忌避していた魔族との共存だが、従僕部隊の面々は各種作業で魔族が必ずしも敵対的ではないことを知りすぐに溶け込んだし、魔族は敵と教育されてきた騎士たちも魔物狩りなどで協力する内に、敵対的な考えは減じていった。
ただ魔族領から派遣されている狩人団とは獲物の取り合いで、いがみ合いも起こったが、姉姫様が仲介役を買って出てくれ、それぞれが魔物の狩猟範囲を定める事で和解した。
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