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第10章 魔女の郷?姥捨て山の間違いじゃないのか
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騒ぎを聞きつけた母さんが、会議場の方で煙が上がっているのを早口でまくし立てている。なんか後輩の魔女たちが一瞬でズタボロにされて、結界が突破され、そのうえ会議場の上段に位置する貴賓室に集まっていた高位の魔女が突然あらわれた魔王の人質になっているとか。
「なにそれ、意味わかんない、訓練?」
魔女の郷ではエルフの襲撃に備えて、まだ魔女になっていない魔法少女達を中心に避難訓練の様な事をしていたことがある。その時に教官役の魔女が悪ノリして煙を出して避難する魔法少女を迷子にさせたり、落とし穴に落としたりと散々な意地悪をするのが定例化している。結局親である魔女たちの大反対によって悪ノリ魔女は教官役を降ろされて訓練は大人しい物になったのだけれど、それが復活したの?
「違うわよっ、これは訓練じゃなくて本物!エルフが攻めて来たんじゃなくて魔王が直接乗り込んできたらしいの、ニトと聖騎士様、貴方方は勇者と一緒になって魔王を討伐したって聞いてるし、様子見てきてくれない?」
「何言ってるの母さん、そんな危ないところに・・・」
魔王を倒したと言われても、倒したのは勇者だし、実査に倒したのは魔王じゃなくて周囲から魔王位あくどいことをしているって評判だった人間。
本物の魔王なんかと戦えるわけがない
「あら、じゃあ母さんに行けって?そりゃあんたを生むまでは現役だったけど、今はもうか弱い母親に戦場へ行けってこの子は言うのかい?」
「ひどっ、久しぶりに帰って来た娘に、死地へ行けって母親が言う?親は子供の事を、体を張って護るんじゃないの?」
「それは人の話で魔女じゃないでしょ?魔女の世界では長生きしている親を子が守るのが常識なの!ほれっ早く行きなさい、ここで何もしなかったらうちだけ村八分にされるんだからっ」
さらに言い返そうとするうちを、槍の聖騎士が止めた。不毛な平行線の言い合いになっているのが判ったからだろう。うちも途中から判ってはいたけど、槍の聖騎士の前で醜態をさらすきっかけとなった母さんに憤っていた面もあった。
「すみませんです、槍の聖騎士には何の関係もないです、うちが一人で見てくればそれで・・・」
「何を言ってるんだい、私たちは仲間だろう?仲間の故郷で緊急事態が起きたのなら、協力するのが当たり前で、見なかった振りが出来るくらいなら、聖騎士なんかやっていないよ、それに、槍の聖騎士だなんて他人行儀な言い方はやめよう、私にはセンシアと言う名前があるんだから」
「あ、はいです、せ、せ、センシアさん、じゃ、じゃあ、うちの事もニトって呼んでもらってもいいです?」
「判ったよニト、じゃあちょっとその会議場に行ってみようか?本当に魔王が来ているとしたらここが安全だって言える話じゃなし、逃げるのか戦うのかはまず確かめてからだ」「はい、センシアさん」
そこから二人で会議場へ向かう。最初は並んで走ってたんだけれど、槍の聖騎士って肉体系のガチガチ職種のセンシアさんに、頭脳戦術系の魔法少女が体力で敵うはずがない。あっという間に走るペースが落ちてきて、最終的にセンシアさんに抱えられる形になったのは仕方がない。魔女みたいに魔術具で空を飛べればよいのだけれど、この郷で空を飛んでいいのは魔女だけで、魔女未満の魔法少女は空を飛ぶことを許されていない。だから我が家には母さん専用のお買い物専用魔術浮遊具はあるけれど、専用なのでうちでは起動も出来ない。
「あそこでいいのか?」
「は、はいっ、その角から行けば会議場はまっすぐです」
大体魔女の郷は外敵からの侵入を経過して外側に行くほど迷路のように曲がりくねっているんだけれど、中心にある会議場が近くなるほどまっすぐな道が増えてくる。
もしここまで外敵であるエルフに侵入されたら、中枢の会議場をエルフの術式で吹っ飛ばされるかもしれない。けど今はそのエルフよりももっと恐ろしい無いかが会議場の中まで侵入している。母さんはじめ、魔女の婆様たちは総じてしたたかで、殺しても死なずに、灰の山からでも復活しそうな面々だけど、それでも今日、郷が崩壊するとなったらそれなりにダメージを受けるだろうし、魔王の支配下にはいることになったりしたら、センシアさんと敵同士になってしまう。
そんな事は嫌だ。ついこの間なのに、ずっと前の様な王城での心が切裂かれるような場面はもう経験したくはない。
大好きだった。うん、だってでもういいよ。ダンカンから距離を置こうと言われた時。最初意味が分からなかった。でもうちは、ダンカンにも立場があって、将軍にも成れる人材だから、うちみたいなのが常時くっついているんはまずいのかなぁとか、無理やり納得しようとした。そう、この話は表面的な見せ方の話であって、本当にはずっと一緒だって話に続くはずなんだと、そう信じていた。
うん、まるっきり信じていた。疑いもしなかった。
だって郷を出て、初めて男性から告白されたり、その後も嬉しくなる言葉をたくさんくれた相手だったし、魔物と戦って恐怖に震えた時にも優しく支えてくれた。
初めてだった。
だって郷に男性はいないし、もし居たとしてもどこかの魔女の所有物だから、うちは異性との経験は皆無だったんだから。
そんな馬鹿なうちは、ものの見事に振られたんだ。嘘だと思って、立場があるからだって思い込もうとして、勇者を洗ったり、術式で眠らせてパンを口に放り込んだりして気を退こうとしたけれど、ダンカンは全くうちの事は気にせず、ついには、うちの2倍くらいある兵隊さん数名を遣いに寄越して、無言の圧力で王城から追い出した・・・。
もう、あんな経験は嫌だ。
センシアは旅の中ではそれほど仲良くなかったけど、それでも彼が家に来てからの短い時間は少し救われた気がした。母さんがう五月蠅かったけれど、それも含めてにぎやかで悲しむ余裕もなくって、閉じこもろうとするうちの心が癒された。
だから彼と敵対は絶対にしたくない。
ドォォォォン
会議場の外壁の一部が、中からひびが入り崩れていく。
子供の頃の授業で聞いた話では、会議場は複数の防護結界が多重に張り巡らされているので、魔法術式でも単純な物理攻撃でも傷1つつけることが出来ないって教わった。
その頑強な会議場が、崩れ始めている・・・。
「急ごうニト!
「はいっ」
急ごうとは言われても、うちはセンシアさんに抱えられている身なので、体を動かすことは出来ない。なので、身体強化の術式を編んでセンシアさんに付与する。
重力を緩和させて、筋力を底上げする術式だ。
センシアさんの動きはみるみる早くなり、通り過ぎる風は痛くなってくる。
「って、ちょっと、待ってですぅ~~」
崩れてくる会議場の外壁を華麗なステップと、風を追い越す速度で次々と躱すセンシアさん。小さな石礫も、それなりの速度差で当たると結構痛い。その痛みに顔をしかめていると、今度は落ちてくる外壁を足場に体を空中へと走らせて、崩れた外壁の隙間から一気に会議王内部へ。
「こここ、こ、怖かったです・・・」
王都で見たサーカスの曲芸師よりも華麗にセンシアさんが会議場内に着地。
と同時に、ゆっくりとまるで貴重品でも扱う様に、うちを床に降ろして立たせてくれた。
「良い感じに術式使ってくれたから、ちょっと本気出しちゃったよ、でもこれってどういう状況?」
「妹姫様によく似た少女と・・・え?なんで、此処にいるです?あのまま幽閉されてもう2年です、とっくに精神に異常をきたしてるです、なのになんでです?」
会議場の中央には郷が誇る魔女の精鋭十数人と、それに対峙するように妹姫様をうちくらいにちっこくした少女が1人。むむむ、胸は・・・デカい!完全に負けてる・・・。同じような背丈であの胸って。あれはずるい。
そしてその少女の後ろには、もう二度と見たくなかった存在が呆れているようないつもの顔で突っ立ってる。服装は相変わらずの軽装鎧のみで、ちっとも物語の勇者様っぽくない変な奴。まわりを引っ掻き回す事が趣味なんじゃないかって位の自分中心主義な迷惑男で、ダンカンの憎しみを一身に浴びていた男。
「やぁやぁ勇者、こんな所で会うなんて奇遇だなぁ、しばらく会わないうちに少女趣味にでも目覚めたのかい?こんな可愛らしい子つれて自由気ままに旅とか相変わらずだなぁ」
センシアが片手をあげた格好で勇者と少女に近づいていく。勇者は軽装鎧の身だけど、センシアはしっかりと厚手の金属鎧で武装している。それに気さくに声をかけているように見えてセンシアは背中に隠した短刀をいつでも投げられる用意をしている。
そう言えばセンシア、槍の聖騎士の筈なのに郷に来た時から槍を持っていない。なんでだろう?
「おっ、確かに奇遇だなぁ槍の聖騎士、お前は生きていたんだな、それで、なに?そんな短刀握ったまま笑顔で近づくとか、暗殺者にでも転職したの?それともお前も俺に対して昔の恨みが積もりに積もってって奴なの?それなら正々堂々とやろうぜ昔のよしみでって、ちょい待てって、ええい、姉姫様ステイ!ステイだってば!そうそう魔女もまだ殺しちゃだめだからな」
「やれやれ、まったく勇者には勝てないな、一本取られたよ、んで君は、な、に、を、しているんだい?」
ぶわっとセンシアから目に見えない何かが急激に湧き上がる。術式を編むことなく天性で体から自然に魔力が沸き上がる人間が居るとは授業で習った。その人間は術式を必要としない体力強化が出来るが、安定して長続きせず、結局は魔法術式で身体強化した方が便利と言う事になって廃れたと習った。しかし特筆点として瞬間的な強化は術式よりも上らしい。
「なにを?俺が何をしているかだって?本当にお前は昔から自分の目が届く範囲の事しか知らねぇんだな、正義を愛する聖騎士様の目が悪すぎるから俺や姉姫様が苦労するんだぜ、ちったぁ物事をよく見やがれ、あの頃と今がどう違って、何が原因なのかをよ!!」
言葉の最後で勇者の方は純粋に魔力を高めて術式を構築しだす。勇者の魔法術式の構築の速さはうちには到底届かない領域の速度だ。だけどその分、同じ術式ならうちの方が威力は高い。
「目の前の状況を一つ一つ対処していけばいつか高みに上る、目の前の卑劣を無視して頭が良い大人の様に振る舞って生きていくなんて、そんな目の前の人を泣かせてばかりの聖騎士に私はなれない!」
「なにそれ、意味わかんない、訓練?」
魔女の郷ではエルフの襲撃に備えて、まだ魔女になっていない魔法少女達を中心に避難訓練の様な事をしていたことがある。その時に教官役の魔女が悪ノリして煙を出して避難する魔法少女を迷子にさせたり、落とし穴に落としたりと散々な意地悪をするのが定例化している。結局親である魔女たちの大反対によって悪ノリ魔女は教官役を降ろされて訓練は大人しい物になったのだけれど、それが復活したの?
「違うわよっ、これは訓練じゃなくて本物!エルフが攻めて来たんじゃなくて魔王が直接乗り込んできたらしいの、ニトと聖騎士様、貴方方は勇者と一緒になって魔王を討伐したって聞いてるし、様子見てきてくれない?」
「何言ってるの母さん、そんな危ないところに・・・」
魔王を倒したと言われても、倒したのは勇者だし、実査に倒したのは魔王じゃなくて周囲から魔王位あくどいことをしているって評判だった人間。
本物の魔王なんかと戦えるわけがない
「あら、じゃあ母さんに行けって?そりゃあんたを生むまでは現役だったけど、今はもうか弱い母親に戦場へ行けってこの子は言うのかい?」
「ひどっ、久しぶりに帰って来た娘に、死地へ行けって母親が言う?親は子供の事を、体を張って護るんじゃないの?」
「それは人の話で魔女じゃないでしょ?魔女の世界では長生きしている親を子が守るのが常識なの!ほれっ早く行きなさい、ここで何もしなかったらうちだけ村八分にされるんだからっ」
さらに言い返そうとするうちを、槍の聖騎士が止めた。不毛な平行線の言い合いになっているのが判ったからだろう。うちも途中から判ってはいたけど、槍の聖騎士の前で醜態をさらすきっかけとなった母さんに憤っていた面もあった。
「すみませんです、槍の聖騎士には何の関係もないです、うちが一人で見てくればそれで・・・」
「何を言ってるんだい、私たちは仲間だろう?仲間の故郷で緊急事態が起きたのなら、協力するのが当たり前で、見なかった振りが出来るくらいなら、聖騎士なんかやっていないよ、それに、槍の聖騎士だなんて他人行儀な言い方はやめよう、私にはセンシアと言う名前があるんだから」
「あ、はいです、せ、せ、センシアさん、じゃ、じゃあ、うちの事もニトって呼んでもらってもいいです?」
「判ったよニト、じゃあちょっとその会議場に行ってみようか?本当に魔王が来ているとしたらここが安全だって言える話じゃなし、逃げるのか戦うのかはまず確かめてからだ」「はい、センシアさん」
そこから二人で会議場へ向かう。最初は並んで走ってたんだけれど、槍の聖騎士って肉体系のガチガチ職種のセンシアさんに、頭脳戦術系の魔法少女が体力で敵うはずがない。あっという間に走るペースが落ちてきて、最終的にセンシアさんに抱えられる形になったのは仕方がない。魔女みたいに魔術具で空を飛べればよいのだけれど、この郷で空を飛んでいいのは魔女だけで、魔女未満の魔法少女は空を飛ぶことを許されていない。だから我が家には母さん専用のお買い物専用魔術浮遊具はあるけれど、専用なのでうちでは起動も出来ない。
「あそこでいいのか?」
「は、はいっ、その角から行けば会議場はまっすぐです」
大体魔女の郷は外敵からの侵入を経過して外側に行くほど迷路のように曲がりくねっているんだけれど、中心にある会議場が近くなるほどまっすぐな道が増えてくる。
もしここまで外敵であるエルフに侵入されたら、中枢の会議場をエルフの術式で吹っ飛ばされるかもしれない。けど今はそのエルフよりももっと恐ろしい無いかが会議場の中まで侵入している。母さんはじめ、魔女の婆様たちは総じてしたたかで、殺しても死なずに、灰の山からでも復活しそうな面々だけど、それでも今日、郷が崩壊するとなったらそれなりにダメージを受けるだろうし、魔王の支配下にはいることになったりしたら、センシアさんと敵同士になってしまう。
そんな事は嫌だ。ついこの間なのに、ずっと前の様な王城での心が切裂かれるような場面はもう経験したくはない。
大好きだった。うん、だってでもういいよ。ダンカンから距離を置こうと言われた時。最初意味が分からなかった。でもうちは、ダンカンにも立場があって、将軍にも成れる人材だから、うちみたいなのが常時くっついているんはまずいのかなぁとか、無理やり納得しようとした。そう、この話は表面的な見せ方の話であって、本当にはずっと一緒だって話に続くはずなんだと、そう信じていた。
うん、まるっきり信じていた。疑いもしなかった。
だって郷を出て、初めて男性から告白されたり、その後も嬉しくなる言葉をたくさんくれた相手だったし、魔物と戦って恐怖に震えた時にも優しく支えてくれた。
初めてだった。
だって郷に男性はいないし、もし居たとしてもどこかの魔女の所有物だから、うちは異性との経験は皆無だったんだから。
そんな馬鹿なうちは、ものの見事に振られたんだ。嘘だと思って、立場があるからだって思い込もうとして、勇者を洗ったり、術式で眠らせてパンを口に放り込んだりして気を退こうとしたけれど、ダンカンは全くうちの事は気にせず、ついには、うちの2倍くらいある兵隊さん数名を遣いに寄越して、無言の圧力で王城から追い出した・・・。
もう、あんな経験は嫌だ。
センシアは旅の中ではそれほど仲良くなかったけど、それでも彼が家に来てからの短い時間は少し救われた気がした。母さんがう五月蠅かったけれど、それも含めてにぎやかで悲しむ余裕もなくって、閉じこもろうとするうちの心が癒された。
だから彼と敵対は絶対にしたくない。
ドォォォォン
会議場の外壁の一部が、中からひびが入り崩れていく。
子供の頃の授業で聞いた話では、会議場は複数の防護結界が多重に張り巡らされているので、魔法術式でも単純な物理攻撃でも傷1つつけることが出来ないって教わった。
その頑強な会議場が、崩れ始めている・・・。
「急ごうニト!
「はいっ」
急ごうとは言われても、うちはセンシアさんに抱えられている身なので、体を動かすことは出来ない。なので、身体強化の術式を編んでセンシアさんに付与する。
重力を緩和させて、筋力を底上げする術式だ。
センシアさんの動きはみるみる早くなり、通り過ぎる風は痛くなってくる。
「って、ちょっと、待ってですぅ~~」
崩れてくる会議場の外壁を華麗なステップと、風を追い越す速度で次々と躱すセンシアさん。小さな石礫も、それなりの速度差で当たると結構痛い。その痛みに顔をしかめていると、今度は落ちてくる外壁を足場に体を空中へと走らせて、崩れた外壁の隙間から一気に会議王内部へ。
「こここ、こ、怖かったです・・・」
王都で見たサーカスの曲芸師よりも華麗にセンシアさんが会議場内に着地。
と同時に、ゆっくりとまるで貴重品でも扱う様に、うちを床に降ろして立たせてくれた。
「良い感じに術式使ってくれたから、ちょっと本気出しちゃったよ、でもこれってどういう状況?」
「妹姫様によく似た少女と・・・え?なんで、此処にいるです?あのまま幽閉されてもう2年です、とっくに精神に異常をきたしてるです、なのになんでです?」
会議場の中央には郷が誇る魔女の精鋭十数人と、それに対峙するように妹姫様をうちくらいにちっこくした少女が1人。むむむ、胸は・・・デカい!完全に負けてる・・・。同じような背丈であの胸って。あれはずるい。
そしてその少女の後ろには、もう二度と見たくなかった存在が呆れているようないつもの顔で突っ立ってる。服装は相変わらずの軽装鎧のみで、ちっとも物語の勇者様っぽくない変な奴。まわりを引っ掻き回す事が趣味なんじゃないかって位の自分中心主義な迷惑男で、ダンカンの憎しみを一身に浴びていた男。
「やぁやぁ勇者、こんな所で会うなんて奇遇だなぁ、しばらく会わないうちに少女趣味にでも目覚めたのかい?こんな可愛らしい子つれて自由気ままに旅とか相変わらずだなぁ」
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そう言えばセンシア、槍の聖騎士の筈なのに郷に来た時から槍を持っていない。なんでだろう?
「おっ、確かに奇遇だなぁ槍の聖騎士、お前は生きていたんだな、それで、なに?そんな短刀握ったまま笑顔で近づくとか、暗殺者にでも転職したの?それともお前も俺に対して昔の恨みが積もりに積もってって奴なの?それなら正々堂々とやろうぜ昔のよしみでって、ちょい待てって、ええい、姉姫様ステイ!ステイだってば!そうそう魔女もまだ殺しちゃだめだからな」
「やれやれ、まったく勇者には勝てないな、一本取られたよ、んで君は、な、に、を、しているんだい?」
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「なにを?俺が何をしているかだって?本当にお前は昔から自分の目が届く範囲の事しか知らねぇんだな、正義を愛する聖騎士様の目が悪すぎるから俺や姉姫様が苦労するんだぜ、ちったぁ物事をよく見やがれ、あの頃と今がどう違って、何が原因なのかをよ!!」
言葉の最後で勇者の方は純粋に魔力を高めて術式を構築しだす。勇者の魔法術式の構築の速さはうちには到底届かない領域の速度だ。だけどその分、同じ術式ならうちの方が威力は高い。
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