25 / 127
Have a spooktacular night!
Have a spooktacular night!【7】
しおりを挟む「そういえば、俺たち誰も名乗ってないね?」
私にはパックの中でなにが起きているのかわからなかったけど、ヴィニーのひと言で状況を把握できた。
ああ、なんだ。そんな事か。名前を呼ぼうとしたけどわからなくて困ってたんだ。
隠すもんでもないし、言ってくれれば勿体つけずに教えたのに。ていうか、いままでのこの人の感じだとスマートに訊いてきそうなのに意外。
「ええ。こちらの名前は全員分、筒抜けでしょうけどね。何度も呼び合ってますし」
フリーズしていたパックが喋り出した。よかったよかった。
「改めて自己紹介したほうがいいか?」
「ううん、大丈夫。君はスーくんで、もう一人の悪魔がチルくんでしょ」
指差すのは失礼だから、左手を向けて答えていく。いまさら敬称つけるのも変かと思ったけど、まぁ一応。
「そうだよ。うふふ」
「で、そっちのポリスがヴィニーくん。神父はパックくん」
「おお~、全問正解!」
みんなにっこにこしてて可愛い。拍手までしてくれちゃって。攻略対象が多いのはゲームで慣れてるし、この程度の記憶はちょちょいのちょいなんだけど。
だって、歴代推しは合計何人になると思ってるの? ……35億♡
あー、ほんっと私、オタクでよかった~!!
……さすがに盛りすぎだけどね。ありったけの推しをかき集めるまでもなく35人は確定ラインだよ。十分気が多い。ゴメンね、一途じゃなくて。
ついさっき一人増えたばっかりだし、基本惚れっぽくて飽きっぽいって事なんだと思う。世間はそれを浮気性と呼ぶんだぜ。
こうなったら九百九十九人の推しを作って、千人目を待ち構える事にしようかな。さすがの私でも達成する前に御陀仏だわ。
「どんなもんだい!」
「……そろそろそっちの名前を聞いてもいいか?」
ふんぞり返っていると、スーが遠慮がちに切り出した。
「あ、そっか! 私のほうはまだだったわ。自己紹介遅れてごめん」
いやー、うっかりしてたわ。図々しく呼び捨てしておいて、自分は名乗ってなかったとか。
「カリン。呼び捨てでいいよ」
「わかった。よろしくね、カリン」
チルが微笑んで手を差し出してきたので、迷わずその手を握り返す。やっぱり大きくて安心感がすごい。
……でも、どうしてだろう。安心しちゃいけない気がするのは。
「私たちの事も呼び捨てで大丈夫ですよ」
向こうの事はなんて呼べばいいか迷っていたら、尋ねるまでもなくパックが答えてくれた。
「助かる。堅苦しいの苦手でさ。てか、さっきからずっと断りなく呼び捨てしちゃってたよね。ほんとごめん」
「アハハ、そんな感じ! 俺、呼び捨てされる分には構わないんだけど、こっちから呼び捨てするの得意じゃなくて。カリンちゃんって呼んでもいいかな?」
「別にいいよ。よっぽど変なあだ名じゃなきゃ気にしないし」
平静を装って答えたけど、正直勘弁してほしい。私が『女の子を必ずちゃん付けで呼んでくるタイプのチャラチャラしたイケメン』に弱いと知っての事かと疑いたくなる。
結論:第一印象は裏切らない。推しはどうあがいても推し。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
🥕おしどり夫婦として12年間の結婚生活を過ごしてきたが一波乱あり、妻は夫を誰かに譲りたくなるのだった。
設楽理沙
ライト文芸
☘ 累計ポイント/ 180万pt 超えました。ありがとうございます。
―― 備忘録 ――
第8回ライト文芸大賞では大賞2位ではじまり2位で終了。 最高 57,392 pt
〃 24h/pt-1位ではじまり2位で終了。 最高 89,034 pt
◇ ◇ ◇ ◇
紳士的でいつだって私や私の両親にやさしくしてくれる
素敵な旦那さま・・だと思ってきたのに。
隠された夫の一面を知った日から、眞奈の苦悩が
始まる。
苦しくて、悲しくてもののすごく惨めで・・
消えてしまいたいと思う眞奈は小さな子供のように
大きな声で泣いた。
泣きながらも、よろけながらも、気がつけば
大地をしっかりと踏みしめていた。
そう、立ち止まってなんていられない。
☆-★-☆-★+☆-★-☆-★+☆-★-☆-★
2025.4.19☑~
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる