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Happyyy Halloweeeen!
Happyyy Halloweeeen!【1】
しおりを挟む「ねぇねぇ、カリンちゃんって怖い話好き?」
パンプキンプリンパフェを半分ほど食べ進めたところで、ヴィニーが訊いてきた。
「えー……。ものによる、としか」
ジャンプスケアは苦手だけど、内蔵露出とかは別に怖いと思わないし……。『怖い』の定義をはっきりさせてくれない事には答えられないよ!
「遺産相続をめぐる骨肉の争いも自殺者の多い心霊スポットの話も、ジャンルは違えど『怖い話』だという事じゃないか?」
「そう、まさにそれ。聞いたら呪われる話とかは勘弁だけど、普通に怖い話聞く分には全然。毎年夏にやってる心霊番組くらいだったら余裕だよ」
「お嫌いではないんですね。意外です」
とパックは目を丸くした。ビビりで悪かったな!
「じゃあさじゃあさ、実話と作り話だったらどっち派?」
ムッとしてパックを睨んでいると、ヴィニーに肩を叩かれた。
「うーん……。正直こだわりないけど、実話か嘘かはっきりわかんない話がいちばんワクワクするかな? 都市伝説とか不思議系の怖さ控えめなやつだったらむしろ好きかも。バズビーズチェアの話とかさ」
「座ると死んじゃう椅子のお話? ……うふふ。よかったねぇ、みんな」
チルの呼びかけに笑うみんなの目がジャック・オー・ランタンみたいに光ったように見えたけど、気のせい気のせい。
「え、なになに。仲間外れにされたら傷付くんだけど」
「すみません。そんなつもりはなかったんですが」
「さっき名前の設定について話そうとしてたのに、そこまで行く前に話切っちゃったじゃん?」
そういえば、最後のほうはみんなの話じゃなくて店長とかこの豪邸の話になってた。
いや、私の質問のせいでそうなったんじゃなかったっけ。なのにこの手厚いアフターフォロー。サンガツ。
「ええ。私たちにもそれぞれ持ちネタとでも言いますか……定番のお話があるので、アイコンタクトで順番を決めていたんです」
それにしちゃ一瞬で済んだけど。
「それをいまから話してくれるって事? つまり、ここからが本題?」
「ええ。…………ただし、カリン。忘れてはいませんよね、本日がハロウィンだという事を。いまからお話しするのは特別バージョンです。信じるか信じないかは、貴女自身の判断でお願いしますね」
「きっと楽しんでもらえるんじゃないかな~? 怖さも控えめで、嘘かほんとかわからない不思議な話になると思うし!」
パックもヴィニーも怪談師顔負けの語り口で導入もばっちりじゃん。流石、普段から非日常の空間を提供してるだけある。
「しかも、絶対に聞いた事ないお話だと思うよぉ?」
チルがそう言う頃にはワクワクは最高潮に達していた。
面白い話だったら友達と作業通話するときにでも教えてあげよ。
そう思っていたはずなのに。
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