“Boo”t!full Nightmare

Happyyy Halloweeeen!

Happyyy Halloweeeen!【10】

「漫才だな」

「漫才だねぇ」　
　
　だんだんスーとチルがチプデに見えてくる始末。くぅ～疲れましたw

「でもその大量のチケットホルダー、普段しまってあるだけなんだけど、『大事にしてる』って言っていいもんなのかな？」　

　物って使われてなんぼな気がするけどな。

　年季入ってるし、使ったら急激に劣化進みそうで使うに使えないって理由もなくはないけど、『宝の持ち腐れ』なんて諺もあるじゃん。
　
　いまの私、紙を見るプーさんより疑心MAXの顔してる自信ある。
　
「カリンちゃんは『捨てられない』じゃなくて『捨てないで取ってある』って言ってたよ。って事は『捨てたくない』と思ってるんじゃないかな～、そのチケットホルダーのコレクション」　
　
「…………確かに、思い立って断捨離したとしても捨てない……かな」

　コレクタータイプのオタクじゃないけど、気に入ったシリーズについては別だ。
　
　コンプするのは当然としてディスプレイにも気を遣うし、余程の事がない限り手放したくもない。

　問題のチケットホルダーは、上手い飾り方が思いつかなくてしまってあるだけで。
　
「十分大切にしてると思うよぉ」
　
「そうですね。どうでもいい物であれば、ヴィニーに話を振られたときに思い出しもしていないでしょうし」

　パックはチルに同意を示し、再び私に向き直った。

「……ところで、カリン。愛用していた品や欠かさず身に着けていた物には特に、持ち主の念が宿るといいますね？」

「あ、付喪神の事？」
　
「ああ、そうだ。だが、『そうでない物はどうなのか』と考えた事はないか？」

「えーと、愛用品の反対っていうと……」

「一度使ったきり出番がなく、忘れ去られた物といったところでしょうか。カリンのお家にも、そういった物はありますか？」

「んー、なんかあったかな？　ははは……」　

　私の快適な汚タ部屋に眠るお宝……心当たりがありすぎて逆にわからない！！
　
　いらない物は買わないし、グッズ類はいいとして、問題は爪切りとか柔軟剤とかそういう細々した日用品だよ。

　【ゆるぼ】試しに買ってみたら好みに合わなかった柔軟剤の処理の仕方。

「んー……じゃあさ。カリンちゃんはインパしたとき、予報には傘マークなかったのに急に雨が降ってきて、お土産屋さんに駆け込んだ事とかってない？」

　ヴィニーをそう言って、コーンキャンディをひとつ口にぽいっと投げ入れた。

　その時が来るのを？　誰もが待ーつ！
　　
　雨を降らせたのは？　低気圧ていきあーつ！
　
　傘が無い、からと？　帰る奴やーつ！

　……も、いるかもだけど。帰っちゃったら意味ないんだわ！

　気象に文句言っても意味ないけど、ショーパレ目当てでインパしたときの雨キャン熱キャン風キャンのダメージのでかさよ。

　他の楽しみ方だっていっぱいあるけどさ。

　ヌレルンノスにアツインノス。そして――――強風オールバック。

　そんな三つの厄災を打ち払う役目を負った予言の子が私、カリン…………なわけあるか！

　そもそもとっくに『子』じゃないし、なんか違うの混ざってるし、自然現象の前に人間は無力だよ。民破れて木っ端みじんこ！