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We hope your Halloween is a ”Treat”!
We hope your Halloween is a ”Treat”!【13】
しおりを挟む「『知らないほうが幸せ』って、どういう意味で? 一時期流行った『呪いのビデオ』的な?」
『そういうんだったら絶対にもう聞きません、すみませんでした』といつでも早口で言えるようにスタンバイする。
こういうのはね、ちゃんとしとかないと舌ガチ噛みして痛い思いすることになるからね。
経験者は語る。
「『真実を知ったら死ぬ』……というわけではありません。もちろん、呪われるなどということも」
質問に答えてくれたのは、薄々勘付いてたけどサブカル(っていうかオタク的なアレソレ)に詳しいパックだった。
「でも、カリンは怖がりだったよねぇ? ほんとのこと知っても、大丈夫なのかなぁ」
チルの反応はガチ懸念なのか、そうと見せかけて面白がってるだけなのか。
有識者の表情を盗み見たけど、な~んもわからん……。
「ビビりだけども! 知らないままでいるほうがもっと怖いっていうか、わかってないことが多すぎて気持ち悪いっていうか……。だから、知られたらみんなの命が危険になるとかじゃないなら教えてほしい。その場合はマジで話さなくていいから。絶対嫌だわ、私のせいでみんながひどい目に遭うのは」
『オタトークで鍛え上げた滑舌が火を吹くぜ!』と言わんばかりに捲し立てる。
「……わかった。カリンちゃんにそこまで言われたら、話さないわけにもいかないもんね」
ヴィニーは寂しそうな笑顔でスーに目配せした。
「ここは冥界……の、一区画だ」
それを受けたスーが言葉を引き取る。
心の準備をする暇もなく、突き付けられた答えは――――蓋を開けてみれば、簡単に辿り着いてしまうくらい単純明快なものだった。
「…………めいかい?」
――――しかし、場所としての答えが『明快』なわけはない。
件の話にもハーデースとしか思えない神が登場してたわけだし、告げられた場所の名前は『冥界』で間違いないはずだ。
そこ以外の候補地なんて、この世にはない。
すでにここ、あの世みたいだけど。
「うふふ。『人間界のある街を再現した』って言ってたよぉ。普段からポイ捨てが多いけど、イベントのときには普段の比じゃないくらいなんだって」
その条件に当てはまる都市は他にもあるんだろうけど、あの街並みを見たら……まぁ、実質一択だよね。
思考はいやに冷静だった。
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