“Boo”t!full Nightmare

片喰 一歌

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We hope your Halloween is a ”Treat”!

We hope your Halloween is a ”Treat”!【22】

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「『普通のゴミでしたよ』という注釈が抜けていましたね。これでいくらかは安心できるでしょうか?」

 いち早くそれを察知したパックが欲しかった情報をくれた。
 
「途中からはゴミじゃなかったのも事実じゃん。けど、ひとつもゴミ拾えてないわけじゃないってわかって精神衛生が保たれたのは確か。ありがとね、パック」

「いえいえ」

「ちなみに、その入れ替わり的な置き換え的な魔法……は、無差別・無作為なの? なにをどのくらい捨てたとかに関係なく、いちばん近くにあるゴミと入れ替わる感じ?」

「ううん。どんなに離れた場所にいても、捨てたゴミと捨てた本人が入れ替わるようになってるよぉ」

「わお、ゴミが人のようだ……!」

 『絶対に罪を償わせてやる』って気概を感じて嫌いじゃない。

 どういう仕組みかはわかんないけど、執念がすごいというか、断固たる意志を感じるよね。

 仮に座標自体は元の都市のままだとしても、概念は確実に置き換えられてるわけだから、固有結界的な扱いになってるってことかな?

 冥界全土のすべての事象をハーデースが掌握にぎってるってワケ。

「それを言うなら、私たちは人の姿をしたゴミ以下ですけどね」

 妄想が自動運転で暴走し始めたところに、冷や水のようなパックの声が浴びせられた。

「……ごめん、完全に頭から抜けてた。みんな人間にしか見えないし、労働に従事してるだけじゃなくてお店に来たお客さんのことも幸せにしてて、ボランティアにだって参加してるんだよ? そこらの人間より立派じゃん」

 この人たちが元々は形のない念だと聞かされて、あっさり受け入れられる信じられる人が一体どれだけいることか。
 
「カリン。褒めてくれているのは理解できるが、それは自己紹介にもなっているんじゃないか? 自覚はしていないだろうが……」

「うんうん。そうだねぇ」 

 スーの指摘で無自覚自画自賛に気付いた時点でもう限界だったのに、チルが頭を撫でてくるから、いよいよ限界突破しちゃったよね。

 この双子……優し過ぎる!!

「わ、私のことはいいって! それより『捨てたゴミと捨てた本人が入れ替わる』について、もっと詳しく!」 

「アハハ! 詳しくか~。……じゃあ、こんなのはどうかな? カリンちゃんもよ~く知ってると思うけど、一人が捨てていくゴミって、大体ひとつじゃ済まないじゃん?」

 顔は笑ってるけど、声が全然笑ってない。

 ヴィニー(だけじゃないけど)の出自を考えれば当然だけど。

「悲しいことにね……。一人の奴が躊躇いなくいくつも捨ててった結果があれだもんなぁ……」
 
 イベント終了直後の光景を思い出して、憂鬱な気分になる。

 決められた場所にゴミを捨てるだけのことができない人があれだけいることも、そういうヒトが一ヶ所に集合してしまうことも怖い。

 正直、絶望しそうになる。それも毎年、新鮮に。そんな鮮度いらないんだけどな。
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