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We hope your Halloween is a ”Treat”!
We hope your Halloween is a ”Treat”!【29】
しおりを挟む「そして、『ヨモツヘグイを犯した人間は、以降、生者の世界へ戻ることはできない』と言われています。それで、カリンは心配になったというわけですね。『ここで飲み食いしたものが冥界の食べ物だったのではないか』と…………」
懸念をズバリ言い当てられて、頷くことしかできない。
パック、解説チャンネルとかやったら跳ねそう。
説明がわかりやすいだけじゃなくて声もいいし、顔も出せば金盾くらいすぐもらえそうじゃない?
「なるほど、そういう事情だったか」
スーはパックに向かって頷くと、こっちを向いて話を再開した。
「結論から言うと、問題ないぞ。カリンの口に入った可能性のあるものは、すべて人間界産のものだ。つまり、ここに並べられた料理は全部人間界の材料で作られている。……と、ここまで言えば、安心できるだろうか」
「よかった……! けど、『人間界産』ってなんか面白いな。字面で見たら相当シュールだよ、きっと」
「アハハ! カリンちゃん、パックみたい!」
素直な感想を呟いたら、ヴィニーの楽しそうな笑い声が響いた。
「え、どこも似てなくない? 私は見るからに欠点だらけのダメ女で、パックは完璧なジェントルマンじゃん」
肝心の中身は、受けてもらえるだろうと思ってボケの豪速球を放ちまくる問題児(児?)だけど、見た目はね?
「自分の理想じゃないのかもしれないけど、カリンちゃんはかわいいよ? まぁかわいいからって油断してるとスパスパされちゃうけどね~」
「ああ。ダマスカス包丁だかって言ってたっけ」
さらっと入った褒め言葉にいちいち照れるのも癪で、後半部分だけ拾った。
「覚えててくれたんだ。嬉しいな~」
「それはまぁ、言われたばっかだし……。私も褒められて嬉しかったよ。……で、私のどこがパックみたいだって?」
「パックも『人間界産の食べ物は美味しいですね。冥界ももっと第一次産業に力を入れるべきでは? ところで人間界産という響き、少し笑えてきませんか?』って、前に言ってたんだよ。だから、似てるな~と思って。パック、人間界の食べ物が好きすぎて、いっつも冷蔵庫パンパンにしちゃってさ~」
冬眠の支度をする動物みたいでかわいいとこあるじゃん……。
でも、確かに『これだけはどうしても常備しておかないと!』みたいな商品のひとつやふたつ、誰にだってあるよね。
まぁ私の好きな商品がロングセラーになることって稀稀の稀だし、話聞いてる感じだと、パックは特定の物だけをたくさん蓄えてるとかじゃなくて、色んなものを買い込んでるっぽいけど。
「真面目かつ建設的……。一致してる部分、『人間界産って響き面白い』だけじゃん。冥界の食料事情どうなってんの?」
だけど、パックのことだから賞味期限とか消費期限とかもこまめにチェックして、完璧に在庫管理してるんだろうな……。
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