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短夜
第五夜
しおりを挟む何を血迷っているのだろうと思う反面、困った事に少しずつ同性との性行為に興味を覚え始めているのも事実だった。
「う……えっと…………」
彼女視点で私がどんな女に見えているかは知らないが、想像よりは奔放なのだろうなという気はしている。
何せスクリーンタイムの上位に居座るチャットアプリに登録済の連絡先だって、つい最近セフレの人数が友人の数を上回ってしまった始末。
以前、残業続きのストレス発散にと軽い気持ちでマッチングアプリをインストールしたのが間違いだった。
当時、恋人と別れたばかりだった私は、一度きりのつもりで目に付いたアプリを落とし、最初にメッセージを送ってきた相手とアポイントメントを取り付けたのだが、その男性が恐ろしく気遣いが出来るうえにセックスも上手い――既婚者だという事を除けば何ひとつとして欠点のない――人だった。
事が終わり、その事実を聞かされた時、『イケメンとは言い難いが、温厚でお人好しそうな顔をしてよくやるものだ……』と感心と失望の混ざったおかしな情緒になり、彼とはそれきり会う事はなかったが、その夜のような体験を求めて何人もの人と一戦を交えるようになって――――。
それから数年間、恋人の有無に関わらず、夜の相手には困らない生活を続けているというわけだが、それらは全員、当然のように男性オンリーだった。
「検討するだけして。考えてる間のお酒は何杯でもおごる」
長々と回想している間も、彼女の視線は私に注がれていた。
飾り気のない口調はそのままに、それまでゆったりと話していた彼女がやや早口で食い下がってくる。
焦燥が滲んだようなまばたきと相俟って、良い酒の肴だ。
「必死じゃないですか」
すでに心は決まっているのに焦らしてみたりなんかして。元より後悔などしていないが、この数年で培った経験が生きている事を実感しながら、グラスに口を付けた。
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