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竜舌蘭
第七夜
しおりを挟む睡眠外来にでもかかろうかと思い立ち、スマホを持ち上げた所までは良かったが、もっと調べたい事があったのを思い出してしまった。
「そうだ。この前のあれ、調べてみるか」
いつも使っている検索ボックスに『マダム・ルージュ』と入力したが、予測候補の表示はない。
「ヒット数少な……」
複数の検索エンジンにかけても、電車で耳にした以上の情報は得られなかった。
情報源になりそうなものがもしあるとすれば、個人のSNS投稿か。
信憑性は限りなく近いとはいえ、ネットの情報など似たり寄ったりだ。
それでも、中身のないキュレーションサイトよりは無害だろう。
「最近じゃ、ストレートネックをスマホっ首だの可視化を見える化だの言うしなあ…………。『実は口裂け女でした!』とかじゃないと良いんだけど」
そこまで珍しい単語の組み合わせでもなさそうだし、どちらかというと、ヒット数が多すぎて何の情報も得られない事を危惧していた筈なのだが。
情報源になりそうとは言ったが、SNSの投稿にもまだ情報と呼べるほどのものはない。
画面を流し見でスクロールしていくと、一つの投稿が目に留まった。
『マダム・ルージュのオンライントーク、当選した日から楽しみにしててまじ良きだった。爆美女ボなのに天然とか最強か???』
「ふーん……。マダム・ルージュもギャップある人なんだ」
紅さんは天然という訳ではないが、なんとなく彼女を想起させるせいか、この時点ですでにマダム・ルージュなる人物への好感度はかなり高くなっていた。
「ええと、続きは……?」
『ばいばいした後に背景映るトラブルもあったけど秒で元の背景になった。機械操作苦手て言ってたから許した。きゃわ。背景ボロくて壁紙剥がれかかってたんだけど、防音とかだいじょぶそ? ジャーマネくん、もっと良い部屋用意してあげて……』
「壁紙?」
そういえば、紅さん家のリビングの壁紙も剝がれていた。
ただの偶然だとは思うが、奇妙な符合もあるものだ。
メンションが付いているので、そちらも開いてみた。
思った以上に多いが、上から目を通していく。
『マネージャーとかいんのwww』
『てか、案外中高生の小遣い稼ぎだったりして』
『ありそう。親が転勤族なら、一ヶ所で活動しないのも分かる
しないじゃなくて出来ない
>中高生の小遣い稼ぎ』
「…………だよね、うん。普通に考えて、紅さんな訳ないって」
何でも彼女に結び付けすぎだ。
スマホを置き、本来の調べ物を思い出したが、特に深刻なわけでもないので、そのまま放置する事にした。
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