カラメリゼの恋慕

重

「……そういう計・画・は、うまく行ったあとにネタバラシするもんじゃないかと思うんだがなァ……」

　短いため息が肌を撫でていったが、腰の動きのほうがずっと正直だ。
　
「え？　本気にした？　貴方、見かけによらずお堅いし、冗談だと思って本気にしてくれないかと思ってた」

　もっと奥まで入らせろと言わんばかりの猛攻をどうにか受け流し、軽く悪う。

「…………タチの悪い冗談は程々にしたほうが身のためだぜ？」

　すると、低い声が一段と低くなった。幸い怒気は感じない。ま・だ・脅しの段階ということだ。

「どうして？」

「オレみたいな単純なオトコは真に受けちまうからなァ……。たんまり持ってきたってのに、そのまま咥え込んじまって…………」

　吐息を含ませた声のせいでますます滑りがよくなって、剛直を奥へと招いてしまう。
　
　抜ける寸前のところまで戻って入口付近を攻めてほしいのに、押し出そうとしても襞が両腕の代わりを果たすだけ。

「『たんまり』ってどのくらい？」

「あとで勝手に開けてくれていいさ」

　彼も喜び勇んで押し入ってくる。
　
　二年の間に彼の質量を忘れていた空洞は、埋もれていたデータをようやく発掘してくれたのか、突かれるたびに喉元まで襲っていた圧迫感は幻のごとく消えた。
　
　――どうしよう。気持ちいい。

「それは鞄のこと？　それとも中身ゴムのほうのつもりで言ってる？」

「どっちで採ってくれたって構やしねェよ。確認しただけでも、使ってくれてもいいさ」

　私の解釈に委ねる――というより意向に合わせるということか。

「……私もそのつもり」

　似た者同士だ、とひそかに口角を上げる。

「ん？」

「さっきの言葉。『私を妊娠させるのも、させないのも、貴方が選んでいい』って思って言ったの」

「…………。さっきより直接的になってねェか？」

　呆れたように言ったって、繋がっている部分からは貴方が今どんな状態なのかなんて筒抜けなのに。

「嫌？　そういうの萎える？」

「お前さんも感じてんだろうが」

　開き直って、さらに膨張したモノを擦り付ける貴方は、格好いいというより可愛いかもしれない。

「ギンギンだね。興奮してくれてよかった。……同じ台詞じゃ退屈でしょ。貴方だって、一言一句同じ口上使い回すようなつまらないオトコじゃないはずだし」

「そりゃあ確かにそうさ。だが、そういうことじゃねェんだ。もう十分に妊娠の可能性はあるだろうが」　
　
　挿入前の彼の状態を思い起こす。
　
　慣らすまでもなく挿入出来たのは、私の膣内ナカだけでなく彼のほうも先端からぬるぬるした液体を吐き出していたからだ。