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Windfall
Wednesday【11】
「ニシキの告白が告白って言えるかは置いといて、告白っぽい事さえ言わない奴に比べたらましなんじゃないかなぁ。それに、いつでも本当の事だけ話すって難しいし、多少の方便くらいは…………とも思うけど、ここまで言っちゃう奴はなぁ……。男からしてもないかなぁ……。こいつたぶん誰にでもおんなじような事言ってるよね。……最低でも3人……いや、ミナミの他に4人くらいキープしてて、その中の1人はかなり本気なんじゃないかなって感じするよ」
隣の響もあたしに同意を示してくれている。
考察がやけに細かいのはちょっと怖い気もしたけど、おおかた会社にニシキっぽい奴がいるとかでしょ。下手したら男女の考えの違いとかで険悪な雰囲気になる可能性もあったから、本当のところどう思っているのかはともかく合わせてくれてほっとした。
(響ってほんと良い男♡♡ 惚れ惚れしちゃう♡♡ ニシキはちょっとで良いから見習えって感じ)
ビール缶を持ち上げる所作も置くときに音を立てないようにしているところも目に入るすべてが好き度を底上げしてくる。ほんと、あんたはあたしをどうしたいのよ♡♡
「絶対言ってるし絶対いる!!! あたしにはわかる!! こいつは女の敵!! 気付いてよミナミ、こいつあんたの事遊び相手としか思ってないわよ!?? 目を覚ましてちょうだい!! ……あたしがミナミの友達だったら頭から日本酒ロックぶちまけてやったのに!!」
頭も心も響でいっぱいのくせに、口から出てくるのはドラマの感想だ。
「あはは! お酒はべたつくし氷は冷たいし、出来ればやめてあげてほしいなぁ。奏が友達思いなのは知ってるけど、ちょっと愛情表現がオーバーでアグレッシブすぎるとこあるからね。……僕は好きだけど♪」
「えっ?」
「……でもなんやかんやで同性も離れてくよ、こういうタイプは。今はそうじゃなくてもいずれはね」
響は何事もなかったかのように話の続きに戻ったけど、口角に変な力が入ってる。
(あたし『好き』って言われた…………わよね……? でも深い意味はない……事もない…………? ……わかんない!! とりあえずお酒飲も! せっかく響が持ってきてくれたんだし)
並んで置かれた缶を取り違えるのは簡単だったけど、きちんと自分のほうの缶を手に取り、『さっきの好きってどういう意味?』という言葉を流し込んだ。
あたしが飲んでるのは白桃の果肉入りのチューハイだから苦味もえぐみも感じるわけがないのに、そのとき確かにあたしはビールの後味に似た苦味を舌に感じていた。
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