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Windfall
Wednesday【19】
「……く……、く…………、口移しですって!??? …………響、あんたそれ本気で言ってるの? 中身どのくらい残ってると思ってんのよ!?」
缶を振ってちゃぷちゃぷ楽しげな音を響かせ、唾が飛びそうな勢いで捲し立てたけど、内心響の綺麗な顔を汚してしまわないか気が気じゃなかった。言いたい事を言い切ってもそんな事にはならずに済んだけど、心臓は未だに早鐘を打っている。
「この量を口移しって何!? 350mlのざっくり半分! 可愛い顔してとんでもないドS野郎――……。いやそれともハイパーわがままエゴイスティックおぼっちゃま?」
「奏がズボラな事は知ってるけど、1回で全部飲ませようとしてるのかなぁ? 流石にめんどくさがりすぎだよ~? 僕の口にも限界はあるんだからねっっ!」
ほっぺたをぷぅっと膨らませたハイパーわがままエゴイスティックおぼっちゃま改め響がさらに接近してきた。
(いちいち近いのよ、あんたは! パーソナルスペース無か!! いや嫌とかじゃないんだけど本当別に、そのままマウストゥマウスしてくれてもあたしは全然構わないんだけど本当。だけど、避けられないくらい直前になってからでも良いから犯行予告はしてほしいのよ! ……鏡の前で研究し尽くした渾身のキス待ち顔、見てほしいじゃない……♡ 『奏は目閉じても可愛いんだね♡♡』って思われ――――言われたいじゃない……♡)
これ以上速くなる事はないとタカを括っていた鼓動がさらに速く大きく鳴り出したのは絶対絶対こいつのせいだ。オリンピックやワールドカップじゃあるまいし、新記録樹立のために張り切らなくて良いのよ!
「一気に全部じゃなくて何回かに分けて飲ませてくれれば良いだけだから簡単でしょ?♡♡ 奏のほうが僕よりお口ちっちゃいんだし、限界まで詰め込んでも僕なら受け止めてあげれるから♡ ……やっぱりダメかなぁ……?」
黙っていたら響が接近してきてさらに畳み掛けてくるもんだから、沸騰してるのに火を止めてもらえてないときのやかんみたいに狂ったように叫び出したくなった。
それを好きな男が比喩ではなく目の前にいるというただそれだけで踏みとどまった。侮ってたわ、恋のチカラ。
「『やっぱり』なんて副詞つけるって事は、無理めなお願いしてる自覚あるんじゃない!!」
「……えへ♡ 奏は優しいから僕のお願いなら検討くらいはしてくれるんじゃないかなぁと思ったから言ってみたんだよ♪ ねぇ、どうしてもダメかなぁ……?」
ようやくほんの少~しだけ後退した響が次に何をしたかというと――――驚くなかれ、両手の指を組んで(それだけでもあざとさMAXでメーターは振り切れているというのに)その手に頬をちょこんと載せるようにして首を傾げた。この男は本当に!!
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