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Windfall
Wednesday【74】
「だ…………っ!?♡ だ、だ……、抱きたいってあんたねぇ……!! しかも『女の子』って…………! 範囲の指定が半端……! ていうか広すぎじゃない!?」
胸を押し、反射的に響の腕から逃れたのは防衛本能が働いていたからとしか思えない。
振り払われた響は余裕のある笑みでにやにやとあたしを見つめるばかりで感情がいまいち読めない。
(響の事、どんどんわからなくなる…………! 翻弄したいとか思ってたけどどだい無理で、どう転んでも響に翻弄されまくる未来しか見えなくなっちゃったんだけど……♡♡)
聞かなかったふりをするなりノーコメントで受け流すなりすれば良いものを思わず口を出してしまった。――だって聞き捨てならなかったんだもの、仕方ないじゃない!!
「だって本当に抱きたい気分なんだもん♡♡」
もう一度言い直して主張を強化した際も響の視線はずっとあたしを貫いていた。
「何回も言わなくたって良いでしょ……♡ 聞き取れなかったわけじゃないんだし、あんたの気持ちは理解したわよ…………♡♡」
「わかってくれたの?♡♡ 嬉しいなぁ♡」
おまけに、その目の奥に見えた隠しきれない何かはこの家に足を踏み入れてからずっとあたしを見定め続けている――――。確証はないけど、ふとそう思った。
(それって……それって…………!♡ あたしに向かって言われてるみたいで…………♡♡)
響だってあたしの内面で何が起きているかわからないほど鈍感な奴じゃない。――つまり、十中八九わざとだ。自分の思った通りにあたふたするあたしを見て楽しんでいるのかもしれない。
恋愛絡みだと手段選ばないタイプみたいだから、ワンチャンあたしを意識させるためって可能性もなくはないけど、ずっと情緒しっちゃかめっちゃかにされっぱなしっていうのがやっぱり解せない!!!
「……響ってそういう事臆面もなく言うわよね……!♡」
「うん♡ 僕は常に自分に正直に生きてるから♡♡ それに、別に隠さなきゃいけない事だとも思ってないから。人間だって動物だし、性欲なかったらここまで繁栄してないよね。だから『眠い』とか『お腹空いた』と同じ事なんじゃないかと思ってるんだ、『女の子抱きたい』って気持ちも。もちろん性愛の対象が同性ってひともいっぱいいると思うし、僕だってエッチな気持ちだけじゃなくて『この子の事無性に可愛がりたい』って気持ちで抱く事もあるし――――ていうか大体そうだけど。それって何かいけない事? 恥じなきゃいけない事なの?」
そう言って突然右手を取られた事にも驚いたけど、思いっきりその手を握られた事にはもっと驚いた。
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