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Windfall
Wednesday【131】
「待って寝ないで響! あんたに乗っかられてたらなんにも出来ないじゃない。あんたを移動させるのもお風呂行くのもなにひとつ。寝るならあたしの事解放して――――」
顔を後ろに向けたけど、見えるのは天使の輪が載ったチョコレートファウンテンの一部。すなわち響の髪の毛だった。
「……僕もう眠くなっちゃったよ、奏……」
顔も上げずに呟く響の顔が頬に当たった。
「名作アニメで主人公が天に召されるシーンにそっくりな台詞やめてくれない?!! 縁起でもない!!!! 嫌よ、あたしあんたとまだしてない事いっぱいあるんだから!」
息を止め、込み上げるくしゃみをせっかく堰き止めていたのに、響がいつもみたいにボケをかますから仕方なくツッコミを入れた。
「ふふふ♡♡ 突然パロディしても一瞬でわかってくれて好き……♡♡」
ようやく合った目は眠気のせいか潤んでいて、いつも以上にきらきらきゅるきゅるしていた。
「そりゃわかるでしょ、好きな男の事は…………♡ でも、パロディ元に置き換えたら響が人間であたしが犬になるじゃない? ――どう考えても逆よ逆! あたしにとってあんたって『元気すぎて世話が焼けるけど可愛くて仕方ない愛犬』みたいなものなのよ?」
「好きな男って言ってくれたそばから犬にしないで……?♡」
「良いじゃないの、なにが不満なの? そんなに犬って言われるのが嫌なら犬っぽい行動控えれば――――いえ、それはダメね。あたし、あんたの犬っころみたいなとこも可愛くて好きなんだもの」
「えへへへ……♡ 奏に『好き』って言われちゃった~♡♡ 嬉しいなぁ……♡♡ 『可愛くて仕方ない』もうれし――……。すぅ……すぅ……♡♡」
いつも通り会話のラリーが続いている事に安心していたら、寝息とおぼしき音が聞こえた。
「ちょっと響!? 最後のそれって寝息!??」
漫画のような寝入りに驚いて、響の顔を覗き込んだ。
下を向いてしまっているから肩を上げてみたり身体ごと響の下から抜けようとしたけど、なかなか上手くいかない。
「すぅ…………♡」
悪戦苦闘している最中にさっきと同じ音が聞こえた。
「……寝息なのね!? ボロボロのくたくたになるまで頑張って仕事したのは知ってるし、あたしだって出来る事ならこのまま寝かせといてあげたいわよ。でもね、ここはベッドでも布団でもソファでもないんだってば! 起きてよ響、一瞬で良いから! ちゃんと人間が体力回復出来る場所に行ってから寝ましょ? Sagittariusにはあたしからいつもの時間か登録したスケジュールに沿って起こすように言っとくから」
身体全体を使って響を揺り起こそうと奮闘するも、寝ている人間の重さは意識のあるときよりずっと重くて、思ったように揺らせなかった。
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