133 / 338
Windfall
Wednesday【133】
「響!? 良かった、まだ意識はあるのね……!」
「んん~……? 頭は起きれてないけど、なんとなく起きてるよ~……」
すかさず振り返ってみると、モンシロチョウよろしくひらひら泳ぐ右手が視界に入った。
「……って、他人に注意しておいてあたしが縁起でもない事言っちゃダメよね!! 起きてくれて良かったって言い直しとく!」
「えへへへぇ……♡ 奏のセルフツッコミ聞いてると元気になるねぇ♡♡ 僕だけ聴けるラジオみたい……♡」
「良い感じよ、そのまま意識保ってて。……ごめんね響、布団行ったらすぐ寝て良いから。歩けそう? 歩けなければ――そうね。そこの布団ここまで引っ張ってくるから、とりあえずあたしがあんたの下から脱出出来るように一瞬身体どかしてくれれば良いわ。そのくらいなら出来そう?」
「うぅん……。すっごく助かるけど、あのお布団僕でも重いなって思うから奏に運ばせたくないなぁ…………」
(重い布団引き摺ってくるより響に全体重かけられてるほうが絶対絶対重いと思うわよ!? 布団実際に持ったわけじゃないけど普通に考えて!)
眠気MAXでも普段通りの優しさを見せる響にほっこりしつつ、心の中ではきっちりツッコミを入れさせてもらった。
「そう? じゃあ、布団まで歩いてもらう事になるけどいけそう?」
「……奏の、肩は……?」
急に身体が軽くなったと思ったら、ぺたんと座った響が小声で尋ねてきた。首が据わっておらず、身体が前後に揺れている。
「え、あたしの肩?」
「貸してもらえる……? 頑張って歩くから支えてほしくて…………」
水飲み鳥よろしくかくんかくんしながらも頑張って口を動かしているさまは、遊園地で眠気に抗う幼い子どもさながらだ。
「え、ええもちろん……。響のほうが大分大きいし支えられる自信はまるでないけど、一緒に布団のとこまで歩いてあげるくらいなら出来なくはないわよ。ほら、腕回して。左のほうが良いわよね」
指示を出しつつ、自分から響の腕を持ってきて肩に回した。
「うん、ありがと奏……♡♡」
特に合図を出したわけでもないのに同時に立ち上がった事に運命を感じた。
「お風呂は明日で良いの?」
「うん、僕は明日で良いや……。お湯が気持ち良くて朝まで寝ちゃいそうだし……。あ、奏は気にしないで入って良いからね?♡♡ まだお湯も入れてないから、そこからやってもらわなきゃいけないのと……バスボムとか女の子が使うような可愛いアイテムもないけど…………」
「ありがとう、悪いわね。お湯抜いてお風呂掃除もしておいたほうが良いかしら?」
「ううん♡♡ 奏の入ったあとなら全然汚くないから、明日の朝残り湯沸かして入る……♡♡ ……えへへ、『奏の湯』だね?♡♡」
「!」
右耳から飛び込んできた台詞のせいで危うく足を止めそうになった。
(何よそれ…………♡♡)
隣が見れないのは前を向いてないと転んでしまうからだ。別に照れているからじゃない。だってもし他の男が同じ事を言ったら反射でグーパンしてた。
あなたにおすすめの小説
独占欲全開の肉食ドクターに溺愛されて極甘懐妊しました
せいとも
恋愛
旧題:ドクターと救急救命士は天敵⁈~最悪の出会いは最高の出逢い~
救急救命士として働く雫石月は、勤務明けに乗っていたバスで事故に遭う。
どうやら、バスの運転手が体調不良になったようだ。
乗客にAEDを探してきてもらうように頼み、救助活動をしているとボサボサ頭のマスク姿の男がAEDを持ってバスに乗り込んできた。
受け取ろうとすると邪魔だと言われる。
そして、月のことを『チビ団子』と呼んだのだ。
医療従事者と思われるボサボサマスク男は運転手の処置をして、月が文句を言う間もなく、救急車に同乗して去ってしまった。
最悪の出会いをし、二度と会いたくない相手の正体は⁇
作品はフィクションです。
本来の仕事内容とは異なる描写があると思います。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった
くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。
血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。
夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。
「……涼介くん」
薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。
逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。
夜、来て。
その一言が——涼介の、全部を壊した。
甘くて、苦しくて、止まれない。
これは、ある夏の、秘密の話。