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第1幕『半人半蛇(蛇人間)』【宵】
第28話『にんし□』
しおりを挟む「はんしょく……?♡♡」
びっくりして後ろを向くと、恍惚の笑みを浮かべた白夜があたしを見下ろしていた。
(やっぱ白夜のこと下から見るの好き♡♡ 力の差思い知らされてるみたいでゾクゾクする♡ 白夜の蛇ちゃんおちんぽにはメスのこと逃がさないための仕掛けはないっぽいけど、逆に言えばそんなのなくても精子の数とかで押し切って孕ませちゃえるってこと?♡♡)
可動域の雑魚い首は直ちに油を差す必要のあるブリキの玩具よろしく動いてはくれたものの、視界の端に彼を捉えるのが限界だった。
「繁殖だよ? 人間には普通使わない言葉ってだけでしてることは動物とおんなじなんだから、これはれっきとした繁殖行為だ」
首の痛みを言い訳にして顔の向きを戻しても、現実にも彼の主張にも変化は見られなかった。
「れもぉ……♡ にんげんにもつかわないなら、へびにんげんにもそんなことばつかわないれしょぉ?♡♡」
はち切れそうなお腹をさすった。限界まで飲み食いしても今ほど圧迫されたことはない。
(今のあたしのお腹、妊婦さんみたい♡♡ お腹目立ち始めるのって妊娠何ヶ月くらいかな~?♡)
「うーん……。たぶん?」
ナカに埋まっているモノがやや左に寄って、彼が首を傾げたのがわかった。
「やっぱり♡♡ ……はんしょくじゃないもん♡ びゃくやとあたしは~……らぶらぶせっくす♡ してるだけ♡♡」
「ラブラブセックス?」
「うん♡♡♡」
復唱されて即答して、彼もそれに同意してくれるかと思いきや――――。
「…………グミちゃんの考えを否定するつもりはないけど、人間同士のセックスだってあえて『交尾』とか『種付け』とか銘打って興奮や購買意欲を煽ったりすることはよくあるよね? 僕はグミちゃんに興奮してほしいし、僕達がしてることを正しく認識してほしいだけ」
冷たくあしらわれてしまった。しかし、それならそうと他の言葉を使ってくれてもいいのではないだろうか。
(『繁殖』なんて家畜みたいじゃん……。あたしは白夜が好きだから『ナマで挿れていいよ』、『ナカに出していいよ』ってしてるのに、白夜はちっともあたしの気持ちなんてわかってくれてない。――正しく認識してないのはそっちじゃん!)
だが、ここで気持ちをぶつけたところでお互い何の得にもならない。ひと呼吸置いて気持ちを切り替えた。
「……びゃくやにおしえてもらわなくても、ちゃんとにんしきできてるもん♡♡」
「本当に? 今のグミちゃん、舌も回ってないけど頭はもっとヘロヘロで幼女みたいになっちゃってるじゃん。僕の言いたいことが理解出来るとは思えないんだけどなぁ」
わざとらしいため息が聞こえて、一度は鎮めたはずの怒りが再び底から湧き上がってくる。
(動けないしまともに喋れてないからってバカにしてくれちゃって…………♡ 回復したら白夜の金玉空っぽにしてやるんだから♡♡ あたしのお腹の空きと残り体力とも相談しなきゃだけど――♡♡)
結合部から粘り気のある液体が伝い落ちる冷たい感覚を他人事のように思いながら、深呼吸して今一度クールダウンを試みた。
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