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第1幕『半人半蛇(蛇人間)』【宵】
第58話『成らぬ“蛇”の▼算用?』
しおりを挟む枕元の時刻表示は沈黙を続けている。時を告げる鐘なんてものもきっとここにはない。個々人が一回あたりの演目にかける時間が異なっているためか。単に没入感を高めるためのものか。――何か他の理由があるのかもしれない。
決して気にならなくなったわけではないが、それについて考えることは優先事項ではないため捨て置いていた。
性器の結合を解いてなお吸い寄せ合うように裸で絡み合う二名は、時間も忘れて気怠い幸福に揺蕩っていた。
「……僕たちの子供、何人生まれると思う?」
――――というのは、横向きに向かい合う白夜からの問いかけだ。
(あれだけ出したらそう思っちゃうのも仕方ない――のかな? でも、ピルもちゃんと飲んだしなぁ。対策なしでこんなにしちゃったらまぁ……うん。あと、あたしが明日明後日あたりに飲み忘れてもありえるかも? 絶対飲まなきゃ…………)
彼はもうパパになる気満々のようで、先ほどは精液でパンパンに張ったお腹に向かって話し掛けたりキスしたりしていた。
「ん~……わかんない♡♡ 白夜は?♡ あたしのお腹、何人白夜の赤ちゃんいると思う?♡♡」
仕事で培ったサービス精神を無駄に発揮してしまい、やたら煽情的な質問をしてしまった。
「僕もわかんない。……けど、希望なら。八人くらいは生まれて来てくれるといいな……♡」
(子ども好きなのかな? ……相手すんの得意そうに見えないけど。そこは関係ないか。そんなに楽しみにしてくれてるならほんとにデキちゃっててもいいかなって思うけど、まぁないだろうな……。てか、八人? ないない。ないでしょ。人間の子宮で同時に八人育てて一人も死なせずに出産まで持ってくのは無理だって。少なくともあたしには出来る気しない!)
彼の愛でたっぷり満たされてご満悦のそこがきゅっとなったのは、ときめきや期待をおぼえたせいか。単純な恐怖か。未知の体験へ踏み出していく不安感からか。
(でも、ピロートークなんて余韻から帰って来れなくてありえないこと言ったりオーバーな愛情表現してなんぼなとこあるし、どんなにありえないと思う話でもノッてあげたい気する…………。けどなぁ……。白夜には良くも悪くも冗談通じなそうだしな~……。デキてる可能性は肯定しつつ、多胎妊娠の可能性は否定する感じで行くか!)
上になっている脚を彼のそれに絡ませ、首元に擦り寄った。多少のブランクはあっても、身体はオトコに媚びる方法を記憶していたらしい。
「八人て八つ子ってことだよね?♡♡ 白夜は知らないかもだけど、それ確か世界最高記録とかじゃなかったかな~?♡ ちなみに日本人の最高記録は五つ子ってどっかで見たけど、五つ子も相当レアだし。上手く行って双子とかじゃない?♡♡ 『三つ子以上にはなんない』って思ってたほうががっかりしなくて済むかもよ?♡♡」
現在、熾烈な戦いの場となっている場所はどのあたりだろうか。すっかり重くなった下腹部をさすった。
(まぁでも、こんだけ出されちゃね♡ 普通に双子ちゃんくらいはデキても驚かないかも♡ ……双子かぁ。ベビーカー乗った双子ちゃんとか紛れもない癒しだし幸せも二倍だけど、かかる費用も倍になる。妊娠中だって出産だって、一人生むより絶対に大変なはずだよね。……双子の親になるの、あたし的にどう? 本当に幸せ?)
「そうなんだ…………」
(『初産で多胎妊娠とかマジ勘弁』てのが本音だったりして。……冷たいかな。いやでも普通に一人生むだけでも大変て聞いてるし、そう考えんのも普通じゃないかと思うけど。あたしには心強い味方がいるし、気が早すぎる悩みかな。生理以上にきつかったしうざかったけど、今はPMS様様って感じだね♪)
「でも、それは人間同士で子供作った場合のデータなんだよね?」
白夜は明らかにがっかりしていたが、パッと切り替えて訊いてきた。それがどうしたというのだろう。彼の質問の意図がわからない。
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