Temptation Invitation

片喰 一歌

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第1幕『半人半蛇(蛇人間)』【華】

第46話『ハンバーグの空気抜きに似た衝突音』

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「ぁ……♡ 噴水みたい♡♡♡ ……塊みたいのが当たって……♡♡ ゃ……ぁあっ♡♡」

 天を仰いで絶頂するキャンディは、初めてナカの感覚を鮮明に感じていた。犬のパンティングのように舌を出して呼吸をし、がくがく震えながらも腕をついて姿勢を保とうとしている彼女に誰もが釘付けになっていた。

(……嬉しい♡♡ わかる♡ 白夜の出されてる……♡ 的当てみたいにぴゅっ♡ ぴゅっ♡ って当たってる♡♡ みんないつもこんな気持ちいい思いしてたの……?♡ こんなのされたらもっと好きになっちゃう……♡ ……いっぱい出されたら今より好きになれる?♡)

 目の端に滲み出した嬉し涙が頬を伝い、鱗の上に落ちた。蛇人間の鱗は皮膚と同系色なので普段は意外と目立たないが、体温の上昇により皮膚が色付くとその差異が明確になる。

 キャンディは自身の涙が落ちた鱗に手を当て、その存在を確かめた。
 
「…………っ、ごめん。……多かった……?」

 気遣う言葉を掛けているくせに、白い手の甲には遠くからでも視認出来るほどくっきりと骨と血管が浮かんでおり、指の先は脂肪も筋肉もあまりついていない腰に埋もれている。

「うう…………ん…………っ♡♡ もっとぉ……♡♡♡」
 
 キャンディは涙を浮かべた瞳をこじ開け、回らない口を必死に動かした。

「っは、ぁ……♡♡ なんで謝んの?♡♡ 白夜はあたしが欲しいものをくれただけじゃん♡♡ てか、さっきあんな攻め攻めだったのに急にかわいくなっちゃうことある?♡♡ もっとちょうだい♡ もっともっとちょうだい♡ あたしのこと孕ませるんでしょ……♡♡」

 絶頂の波が去ったあと、キャンディは竿の大部分を露出させ、二本を束ねて扱き始めた。

「!」

 されるがままに見えたトワイライトは腹筋の力だけで起き上がり、華奢な身体を抱えて激しく揺さぶり始めた。

「ぁうっ!?♡♡ ま……待って、白夜♡ 抜けちゃうからもっとゆっくり……、んっ♡♡ パンパンしたかったらあとで種付けプレスしよ~よ♡♡ だから――」

「…………わかった」

 トワイライトはキャンディの説得に素直に応じ、挿入が最も深くなったタイミングで動きを止めた。結合部を隠すように付着した体液の泡立ち具合が行為の激しさを伝えていた。
 
「て…………、亭主呼びいただきぃ! あざすあざす、名も知らぬひとたちぃ!」

 ハンバーグの空気抜きに似た衝突音が止み、一人の観客がスリーテンポ(では済んでいない気もするが)ほど遅い歓声を上げた。彼は数分間ずっとそのことを反芻していたのかもしれない。性癖(※すっかり定着した誤用)は人それぞれである。

(((そうなんだけどそうじゃない、そこじゃないんだ…………ッ。……でも、よかったね!)))

 観客達の心は萌えとスケベ心と優しさによって結ばれ、いっそう連帯感を増していた。
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