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第一の試練
第一の試練<62>
「かっこいい彼氏と?♡♡ ラブラブだって自慢する方法?♡♡ ……ふぅん……♡ 紗世ちゃんのことだし、なにが飛び出すかまったく未知数だけど、とりあえず聞いてみようか?♡♡」
強がりでひねくれた性分に口と声帯を操られてもなお、至るところから漏れてしまっているだろう。眼差しとか声とか閉じた口元とか、そのあたりから恋慕の情ってやつと――心の底からの歓喜が。
「最初は、24時間で自動的に消えちゃうSNSの機能使ったりするのはどうかなって考えてたんだけど……♡ ああいうの、千尋くんはどう思う?♡♡ ……やっぱりあんまり好きじゃない……かなあ」
普段から流行を押さえた装いをしている彼女の口から出てくるのも、やはりため息を吐きたくなるほどには現代人ライクな発言だ。
しかし、俺は彼女の、量産型と呼ばれる型に嵌まりに行っても嵌りきらない、あるいは嵌まり切れない部分をこそ愛している。
(写真は公開するつもりだったのかよ♡ 映像公開しないっていうから、もっとガラッと方向性変えてくるかと思ったのに♡♡ ……いや、まあ、視覚から入る情報の強さは俺もよく知ってるから、気持ちはわかるけどさあ♡ 悪い気はしないし、そこまで自慢したい彼氏でいられてるってことも♡)
うなじを撫でる手は、俺を丸め込むために興奮を煽る触れ方を選んでいる――というより、その場で話を組み立てているときに手を動かしてしまうのと同じことが起きているだけだろう。
「ああ、あれ? ……ご推察の通り、好きって感じではないんだけど、好き嫌いを論じるステージにすら上がれてないというか。俺、いまいちあの機能の存在意義がわからないんだよな……。自動的に消えるっていったって、吐き出したいけどいずれ消したいことにしては24時間掲載されてるのって長すぎるし、時間超えたら残らないんだから思い出の保管場所にもならない。とにかく中途半端――ってことに加えて、『暇さえあればSNS開いてるような人間だけに届けばいい情報の存在意義って何?』って思っちゃうし。……ごめん、話逸れたな。俺向きじゃないってだけの話。だから、出来れば、他の方法にしてもらいたいんだけど…………。正直、それ以前の問題じゃないかなって思う」
「…………ふふ、私も同じ意見♡ ……だから、最後まで聞いてくれる?♡♡」
「……え? ……ああ! そういえば、『最初は』って言ってたな。ごめん、話の途中で割り込んで」
「ううん♡♡ 自分の意見言ってくれるってことは、ちゃんとお話聞いてくれてるってことだから♡ そういうところも大好き……♡」
俺の首には、誘惑に勤しんでいた指の代わりに、細い腕が巻き付けられた。
巻き付く対象の形状に合わせて蔦を伸ばす植物のように、彼女の腕は俺の首に違和感なくフィットした。
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