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●REC
●REC<42>
(でも、今更嫌いになんてなれないよ。嫌いになれる方法があるなら教えてほしい……。こんなことされたってわかっても嫌いになれないんだったら、この気持ちは本物でしょ? 本物の恋心――だよね?)
人には得手不得手があると思うが、私には『人を好きになることは得意だけれど、一度好きになった人を嫌いになるのは苦手』という、致命的な欠陥とも呼べそうな特性があった。
(本当のこと話しても大抵の人は信じてくれないのは、今までの経験からわかってる。遊びで男乗り換えてるようにしか見えないんだよね。……何股もかけてた私が全面的に悪いけど、ちゃんと全員好きだった。……きっと今でも、みんなのことは少しずつ好きなまま。この気持ちが今より強くなることはないけど。名前も顔も抱き方も全部覚えてる……)
次から次へと恋または擬似恋愛の相手を求めていたのも、消えることのない『好き』を無理矢理新しい『好き』で塗り潰してしまおうとしていたからだ。
(正直に話したら、鏑木くんはきっとわかってくれる。受け入れたくなくて毒吐いたりはするかもしれないけど、私が悩んできたことをちゃんと真実として受け止めてくれる。言い訳だなんて決めつけたりしないで)
自分を癒すそれ以外の方法を、私はずっと持たなかった。求めなかった。求めようともしなかった。
(…………だけど、こんなこと言ったら傷付けるから、鏑木くんにだけは絶対知られちゃいけない。……わがままだけど、苦しいな。何年も何年も鏑木くんの優しさを搾取してた罰なのかも。なんでこんなひどい女のこと、ずっと好きでいてくれてるんだろう……)
前に出来た傷の痛みを紛らわすために別の場所にもっと深い傷を付けるような行いを彼はよしとしないだろうし、一途で独占欲の強そうな彼のことだ。
彼以外のオトコに向けているとあらば、LIKEの感情に毛が生えた程度の好意でさえ、許してはくれないのではないだろうか。
(『気持ちに応えたい』っていうと同情みたいだけどそうじゃなくて、私は鏑木くんのこと、もっとちゃんと好きになりたい。今もちゃんと好きなつもりだけど、鏑木くんの『好き』に比べたら、私の『好き』なんて小さすぎて軽すぎて――――。私自身がまだ信じきれてない気がするの)
じっと整った顔を見つめていたら、なんの前触れもなく長い腕が伸ばされ、身も心も囚われてしまった。
「きゃ……っ♡♡ 鏑木くん?♡♡ どうしたの?」
「寂しそうな――どっちかっていうと切なそうな、かな? どっちでもいいけど、紗世ちゃんのお顔見てたら抱き締めたくなっちゃった♡♡ ……嫌だったら、全然振り解いてもらって構わないから……」
その言葉通り、彼の腕は回されただけといっていい。
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