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第2話 血液サイダー魔人の予測不可能な行動
しおりを挟む明くる朝、來夢は両手にサイダーのペットを引っ提げてきた。何考えてんだ、こいつ。
「なぜ二本」
嘘だろ。そっちからキスしといて手は繋がせてくれないわけ? 動揺のあまり、俺まで謎のキャラを降臨させてしまった。
「両手に持って大きく振ったら二の腕痩せに効果ありそうじゃん。夏に向けた悪足搔き!」
來夢は風が起こるほど大きく手を振った。同じほうの手足が同時に出てんだけど、面白いから言わなくていっか。
「もう夏来てんだけど。……てかさ、両手にペット持ってたら手繋げないじゃん。察しろよ、鈍感女。血液サイダー魔人」
への字の口の中は苦かった。悪態なんか呑み込んで甘い甘いサイダーで口直しすれば、好感度も爆上がりだったかもしれないのに。
「爽汰、手繋ぎたかったんだ? 昨日までずっとこっち側で持ってたのに。タイミング悪いなー、まったく」
來夢は勢いよく右手を上げた。だから、炭酸を振るなって。気泡の数、尋常じゃなく増えてんじゃん。
「早く言えよ。そういう大事なことは」
「そっちこそ。草食ブームにかまけすぎー」
口を尖らせた理由なんて不機嫌に決まっているのに、キスをねだられているのかと勘違いしそうになった。
「とりあえず一本もらって、爽汰。わたしと手繋ぎたいなら」
おちょぼ口でなされた発音はやや不明瞭で聞き取りづらい。來夢も來夢でタイミング窺ってたのかもな。
「さんきゅ。明日からは今まで通りでよろしく」
左手のペットボトルを素直に受け取り、忘れないうちに付け足した。
「え。手繋がないの?」
「そっちじゃねぇって。……サイダーは一本でいいって言ったんだよ」
口の中には飲んでもいないはずのサイダーの風味が広がった気がした。
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