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聖騎士副団長ウィークスの悩み(3)

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聖騎士副団長ウィークスは
ポーカーフェイスである。

37歳、女性、独身。

聖騎士国内において序列2位である。

喜怒哀楽が表情に表れても誰も
気付いてくれない。

唯一気付いてくれるのは
副官のセカンドぐらいだ。

セカンドでも表情の変化に
気付いてくれるだけで
ウィークスの心の中までは
気付いてくれない。

「ウィークス、南西の妖狐族に動きが
 あり、スィーが対応に当たってます。
 不測の事態を想定してスィーの
 バックアップをお願いします」

第3秘書のヴィーヌスが
ウィークスに指示を出す。

「わかりました。すぐに向かいます」

ウィークスが答える。

「ウィークス、対応が完了したら
 そのままそこで休暇を取ってもらって良 
 いですよ。

 近くのサンストーンビーチで
 余暇でも楽しんできたら」

一瞬だがほんの少しウィークスの目が
見開く。

ヴィーヌスは聖騎士国で1番グラマーな身体をしている。

清楚なウィークス、妖艶なヴィーヌスと
謳われるほどだ。

ウィークスに無いものを
ヴィーヌスは持っている。

「胸は見られると見られるほど
 大きくなるのよ」

とヴィーヌスは私にアドバイスをしてくれていると勝手に解釈するウィークス。

プライベートでのウィークスの思考回路はポンコツである。

そして天然でもある。

ただ、周りには気付かれていない。

本人もそうは思っていない。

自然とウィークスの視線が
ヴィーヌスの胸元に落ちる。

「お椀型、ハリツヤよし、
 サイズ89のFカップ」

ウィークスは戦闘時に行う敵の身体的な
特徴のハッキングスキルを使用して
ヴィーヌスを無意識に調べていた。

「結論、わがままボディ」 

ウィークスは判断を下す。

ウィークスはプライベートでは
ポンコツである。

「ウィークス、今度、胸のケアの仕方を
 教えてあげるね」

ヴィーヌスは声をかける。

「やった~!これで胸が大きくなる!」

「ヴィーヌスはわたしのことを
 わかってくれる人!」

ミニウィークスが心の中でサンバを
踊っている。

「……… ………」

「………わたしには必要ありません」

心とは裏腹な答えをしてしまう。

ウィークスはポンコツである。

ナイトブラを遠征用のカバンに詰め込み、
今日も1人、寝る前に自らの手を頼りに
おっぱい体操に向き合うウィークスで
あった。
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