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1章

(45)ウァイト、妖狐族の敵討にあう

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「久太郎、蘭丸、それでは行くぞ」

ウァイトたちは妖狐族の首都である
ハーライトに到着した。

妖狐族の住人たちはピリピリしている。

妖狐四天王を殺したウァイトが目の前を
歩いているからだ。

「お父さんのかたき~!」

2人の子供が鎌をもってウァイトに
襲いかかる。

久太郎と蘭丸がそれぞれ取り押さえる。

「お父さんを返せ!返せ!」

ジタバタしながら泣き叫んでいる。

「すまない。よくわからないが
 わたしが殺したのか?」

「そうに決まってる!」

「でも攻めてきたのはそちらだ。
 迎え撃つのは当然じゃない?」

「ずーっと僕たちをいじめてきたのは
 おまえ達だ」

久太郎が間から声を挟む。

「覚えておきなさい。
 
 戦争には勝者も敗者もいないのです。

 勝った方が正義なのです。
 
 弱い限りあなたの言い分は通りません」

「いつか勝つ!」

妖狐の子供は怒りながら叫ぶ。

「すまぬ。我が民が無礼を働いた」

妖狐の緋が急に現れ、詫びる。

「いや、戦争を起こせばこうなることは
 仕方ないことだと思ってるよ」

「わたしもおまえが許せない
 1人なのだがな。

 流石に外交の場で
 おまえを殺したとあっては
 この国のトップをやってはいけない。

 何しにきたのかは知らないが
 話だけは聞こう」

2人は城内の比較的質素な佇まいの
部屋に通された。

緋が来るのを待っている。

「一国のあるじを
 こんな質素な部屋に通すなんて」

蘭丸が不平を言っている。

その言葉は給仕の者にも   
聞こえてしまった。

「このお部屋は1番豪華な部屋です。

 緋様は贅沢を好まれないお方です」

「失礼なことを申した。お詫びする」

久太郎がすぐに詫びる。

「質素なものは質素です。

 外交の場として使うなら豪華に
 すべきです」

「蘭丸、国それぞれに考え方がある。

 それぞれの個性を認めなければ
 これからの時代は生きてはいけぬぞ」

ウァイトはSDGsのことを思い出しながら
蘭丸に伝える。

「はっ。以後柔軟な思考を持つように
 します」

「申し訳なかった。
 決して愚弄する気はないのだ。
 ゆるせ。」

ウァイトは心から給仕の者にお詫びする。

「その通りだ。
 我々の国には我々の流儀がある。

 相入れないものは相いれないものだ」

「時間を取ってくれて感謝する。緋」

「何しにきたのだ?」

「・・・・・・・ 同盟を組もう 」
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