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憂の侵略王
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アルタイ国王のシンには、腹違いの兄弟たちが何人もいたが、戦さや勢力争いで、何人も命を落としていた。シンにも、兄はいたが、勢力争いに巻き込まれ、命を落としていた。残った1人の弟は、体が弱く国王の座に着くことは、難しいと誰もが思っていた為、権力争いに巻き込まれる事もなく、兄の庇護の元、平穏な日々を過ごしていた。
「だが・・・」
先代の国王は、行く末を案じており、ロッシの病を治すべく、あちこちに医官を派遣し、漢薬を求め、その為なら、戦を辞さないつもりでもいた。愛くるしいロッシを先代の国王は、大事に思っていた。
「冥国なら、何らかの方法を知り得ていましょう」
呪術の蔓延る国。冥国。冥国になら、治療の方法を探す手立てがあると思われたが、当時、混乱していた冥国では、アルタイ国の申し入れを受ける事ができず、先王は、他に手立てを探す中、他国との戦いで、命を失った。今回、冥国を侵略しようと決心したのも、積年の思いがそうさせていたのだ。
「兄上?」
ロッシは、体が弱く、これから先、自分が守ってやれるかは、約束はできない。そんな折り、ふとした事で、冥国の星暦寮から、漢薬書が、手に入った。当時、流浪の民を受け入れたのが、国王シンだったが、その中に、星暦陵の術師がいた。
「なぜ?」
国の中枢にある漢役書が簡単に、手に入ったのだ。シンは疑いを持たずにいられなかったが、冥国の混乱をみると理解できた。
「国が豊かでも、根管が揺らいでは、民の生活も、安定しないだろう」
噂に聞く、冥国は、混乱しており、皇子が、後を継げない為、先王の側室の子を、皇帝の座に就けたという。皇帝の座に就けない皇子とは、どんな皇子なんだろう。国王シンは、妖の血をひいていると言う瑠璃光に興味を持った。使いの式神の容貌から言っても、皇帝の座を捨てた瑠璃光に興味があった。
「随分と、難しい顔をされていますね?」
先ほどから、ロッシが声をかけても上の空の国王シンにおずおずと声をかけた。国王は、常に自分の事を気にかけているのは、わかっている。この貧しい草原の国は、資源もなければ、商売で成り立つ事もなく、近隣の小国を侵略しては、国を維持してきた。自分が、こうして、生きていられるのは、兄の手を悪事に染めているからであって、自分が、国王の弟でなければ、その命すら、とっくに亡くなっているのを知っていた。
「兄上、我らも、北に向かい、静かに暮らしませんか」
「私達だけでも、そうできればいいのだが」
漢薬書は、手に入れた。そうすれば、ロッシの病は、治るはずだった。だが、どうしても、最後の行が破けていて、解読できなかった。手に入れたのに、完全な書ではなかったのだ。鍵は、瑠璃光が握っているのに、違いない。
「冥国の皇帝とあう。我が軍との中間地点でだ」
国王シンは、ロッシに言う。
「お前も、同行するように」
「私が?ですか?」
「お前の将来がかかっている」
ロッシは、何かを言おうとしたが、黙って、国王シンに従うことにした。
「だが・・・」
先代の国王は、行く末を案じており、ロッシの病を治すべく、あちこちに医官を派遣し、漢薬を求め、その為なら、戦を辞さないつもりでもいた。愛くるしいロッシを先代の国王は、大事に思っていた。
「冥国なら、何らかの方法を知り得ていましょう」
呪術の蔓延る国。冥国。冥国になら、治療の方法を探す手立てがあると思われたが、当時、混乱していた冥国では、アルタイ国の申し入れを受ける事ができず、先王は、他に手立てを探す中、他国との戦いで、命を失った。今回、冥国を侵略しようと決心したのも、積年の思いがそうさせていたのだ。
「兄上?」
ロッシは、体が弱く、これから先、自分が守ってやれるかは、約束はできない。そんな折り、ふとした事で、冥国の星暦寮から、漢薬書が、手に入った。当時、流浪の民を受け入れたのが、国王シンだったが、その中に、星暦陵の術師がいた。
「なぜ?」
国の中枢にある漢役書が簡単に、手に入ったのだ。シンは疑いを持たずにいられなかったが、冥国の混乱をみると理解できた。
「国が豊かでも、根管が揺らいでは、民の生活も、安定しないだろう」
噂に聞く、冥国は、混乱しており、皇子が、後を継げない為、先王の側室の子を、皇帝の座に就けたという。皇帝の座に就けない皇子とは、どんな皇子なんだろう。国王シンは、妖の血をひいていると言う瑠璃光に興味を持った。使いの式神の容貌から言っても、皇帝の座を捨てた瑠璃光に興味があった。
「随分と、難しい顔をされていますね?」
先ほどから、ロッシが声をかけても上の空の国王シンにおずおずと声をかけた。国王は、常に自分の事を気にかけているのは、わかっている。この貧しい草原の国は、資源もなければ、商売で成り立つ事もなく、近隣の小国を侵略しては、国を維持してきた。自分が、こうして、生きていられるのは、兄の手を悪事に染めているからであって、自分が、国王の弟でなければ、その命すら、とっくに亡くなっているのを知っていた。
「兄上、我らも、北に向かい、静かに暮らしませんか」
「私達だけでも、そうできればいいのだが」
漢薬書は、手に入れた。そうすれば、ロッシの病は、治るはずだった。だが、どうしても、最後の行が破けていて、解読できなかった。手に入れたのに、完全な書ではなかったのだ。鍵は、瑠璃光が握っているのに、違いない。
「冥国の皇帝とあう。我が軍との中間地点でだ」
国王シンは、ロッシに言う。
「お前も、同行するように」
「私が?ですか?」
「お前の将来がかかっている」
ロッシは、何かを言おうとしたが、黙って、国王シンに従うことにした。
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