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異変

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リファルが、意味ありげな目線を送って来たのを、エルタカーゼは、笑みで返していた。二人の目線のやり取りに、桂華は、違和感を感じた。
「ねぇ・・・そんな事より」
希空を返して。約束でしょう?そう言いたかった。が、口を開きかけた瞬間、大きな地響きが、その場にいた全員を襲った。縦に大きく揺れ、血の底から響き渡る低音の叫び声が、辺りを襲った。
「陸鳳!」
陸羽は、目の前の光景に言葉を失った。尊敬していた山神の陸鳳が、両耳を抑え、蹲っているのだ。勇敢で、誇り高い王の姿に、陸羽は、愕然とした。
「何があった?」
あの胸から背中にかけた赤い痕と言い、血の底からの咆哮にひれ伏するような兄でない事は、知っている。この醜態は、何があった?
「音が・・・頭が痛い」
苦しそうに両耳を抑える陸鳳。陸羽は、どうしたらいいのか、わからない。
「ダメだ・・・行っては行けない」
幻覚が見えるのか、走り出す陸鳳。
「待て、陸羽」
陸羽は、追いかけ、後ろから、羽交い締めするが、恐ろしい力に負けそうになる。
「いったい、何が」
揺れと咆哮は、しばらく続き、リファルもエルタカーゼも立っているのがようやくだった。建物が、崩れるといけないと思った、桂華は、扉を蹴って、外へと飛び出し、陸羽と一緒に、陸鳳を押さえ込もうとした。
「いけない。危険だ。離れろ」
「ダメよ。こんなに苦しんでいる。何かが、あるのだわ」
「音か?」
桂華は、陸鳳の耳元に唇を寄せた。
「大丈夫。大丈夫」
「そんなんで、落ち着くわけがない」
地の底からの咆哮が怖くて、苦しんでいるのではない。何かが、関連づけられているのだ。自分でも、どうして、こんな事をしているのか、わからなかったが、暴れる陸鳳を抱えて、大丈夫と何度も呟いていた。
「見て・・・リファル様」
その様子を、エルタカーゼが見ていた。暴れる山神を抱き抱え、耳元で、宥めるように呟く桂華の姿。
「えぇ・・・見ています」
リファルは頷く。
「やはり、彼女にする事にします」
「そうですね」
二人は、頷き、合わせたかの様に、咆哮は、鳴りやんでいた。
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