酒涙雨で終わりにしようか?君の心臓を天に捧ぐから。

蘇 陶華

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眼下に広がる雲海があまりにも美しすぎて

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白夜狐は、眼下に広がる景色を見下ろしていた。果てしなく広がる雲海に、彼方から、朝陽が登り始め、息を呑むほど、美しい。
「何年、経っても、この景色は、美しい」
白夜狐は、隣に佇む者に、そっと呟いた。
「何年も、何年も、ここに来て見ていた」
雲海の彼方が、オレンジのグラデーションに次第に染まっていく。
「まさか、ここで、逢うとは思わなかった」
白夜狐は、呟く。
「どこかで、生きていてくれるといい。そう思っていたけど、まさか、この時代だなんて」
「目は、見えるのか?美しいなんて、見えるかのように言うんだな」
「見える・・・何年も見てきた。この音も、匂いも変わらない。きっと、変わっていない」
「そう思っているのh、お前だけ」
隣に居る者が聞いた。
「見たいと、思わないのか?」
「目は、くれてやった。何を今更・・」
「周りを騙すのが上手いんだな。見えるかのように、振る舞う」
白夜狐は、笑った。
「その目の一件が、決心ついたって事か?」
隣の者は、笑う。
「眷属として、このままいけばいいだろう」
見上げる白夜狐の両目は、なかった。そこにあった筈の、輝く青い焔はなく、深い傷跡と閉じた瞼だけがあった。
「高天原を呼び戻すのではなく・・・」
隣の者は笑った。
「富士の炎と共に、焼き払うとはな」
隣の者は、呆れていった。
「現代の不死の神は、眠り続けているから、わざわざ、太古から私を連れてくるとは」
隣にいたのは、太古から現れた不死の神だった。消滅させる為に、連れてきたのではなく、白夜狐は、富士もろとも、高天原や八百万の神、全てを焼き尽くそうとしていた。あちこちの墓陵を荒らし、神々の力が、高まらないように、破壊を続けていた。万全の力を発揮する事ができない様に、少しずつ、破壊していく。眷属の長の立場を利用し、八百万の神々の力を、削ぎ落としていった。
「僕は、もう、消えてなくなるだろう・・・」
1人で、過ごす時間が長すぎた。長い間に、何があったのか、時折、忘れそうになった。遠い地で、生を受けた神女の消息を風の頼りに聞きながら、幸せに終わる事を望んでいた。だが、
「何度、繰り返しても、彼女が、幸せに終わる事はなかった」
「この時代で、やり直す事を選ばないのか?」
「きっと、普通には、終わらない。僕が、彼女に呪術をかけたも、当然だから。僕が存在する限り、彼女は転生を繰り返し、不幸に終わる・・」
そこまで、言うと白夜狐は、言葉を失くした。遠く、登りつつある太陽の陽の香りを確かめるように、深く息をする。沈黙を破るかのように、太古の不死の神は、言う。
「約束通り、お前の命は、もらう。その霊力も」
不死の神は、白夜狐に言う。
「願いは、叶えよう。」
白夜狐のまだ、脈打つ左胸に手を置いた。
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