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伝説の九尾の狐姫
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「面白くなってきた」
邪神は、颯太の母親の匂いを感じ取っていた。
「聞いた事はある」
こんなに、ゾクゾクする話は、久しぶりだ。
颯太が、あの玉藻御前の息子だという話は、長年、生きてきて、数少ない刺激ある話だった。
「玉藻御前とな」
音羽も、珍しそうに宙から、覗き込む。
「中国の朝廷も、玉藻御前が原因で、滅びたとか」
「希に見る美女に化けるとか」
「だから・・・私に縁があったのか」
「それは、ないと思う」
邪神は、打ち消す。
「日本でも、かなり、悪さをしたらしいが、その魂は、四方に打ち砕かれ、その一つが山寺に落ちたそうだな」
邪神の問いかけに、封雲は、慌てて、頷く。
「・・・で、いつ、知った?」
邪神の細く長い指が、封雲の顎を捉える。
「どうやって、知ったのかって事」
指先に力を入れれば、封雲の顎の骨は、砕け散ってしまうだろう。
「聞いてしまった・・・」
ポツリと言う。
「師匠が、颯太を目にかける理由。あいつらは・・・」
「そうだよね」
そこから先を言うか、言うまいか、封雲は、悩んでいたと見た。
「人間なんて、そんなもんだ」
「封雲!お師匠さん達は、なんて言っていたの?どうして、山寺は、焼き払われたの」
「お前の言う師匠達は」
封雲の代わりに、邪神が答える。
「いいか・・・お前は、利用される所だったんだ」
「え?」
「お前は、あの玉藻御前の息子だった・・・気付いたお師匠さん達は、お前を離礁しようと、隠して、育てていたんだな」
「誰が、お師匠さん達を?」
「それを知った、人間達に払われた」
封雲は、答えた。
「師匠達は、颯太だけでない・・・多く妖を隠し育てていたんだ」
思い出したくもない事を封雲は、話し出した。
あの寺で、育てられていたのは、颯太だけではない事を。
それを知った人間達に、滅ぼされてしまった事を。
「だけど・・・お師匠さんの中には、本当に、颯太を守ろうとした師匠もいたんだ・・・」
「それが・・・あの数珠か」
邪神が、ふっと笑う。
翳した掌からは、幾つもの星が流れ、天に散っていく。
目を奪われ星空に目をやると、天に登った筈の多くの星が、邪神の掌へと降ってくる。
「数珠だと思ったか?」
たくさんの星は、掌に集まり、一つの数珠になった。
「これは・・」
颯太に投げつける。
右手首に弾いて、それは、昔からそこにあった数珠へと変わり、一瞬のうちに、颯太の姿は、元の、人間への姿へと変わって行くのだった。
「どうして・・・・?」
颯太は、いまだに、意味がわからない。
「お前に同情した師匠がいたんだろうな」
邪神は、見抜いていた。
「その数珠が、お前を人の形に留めてくれる。守護されてんだな」
「そして、お前は、その数珠に嫉妬した」
邪神は、封雲を指さした。
「嫉妬で、何も、見えなくなっていた。玉藻御前の恐ろしさもな」
邪神の赤く光る目に、封雲は、ゴクンと唾を飲み込んだ。
「嫉妬?颯太の運命を代わりに背負う覚悟があるのか?人間」
邪神は、颯太の母親の匂いを感じ取っていた。
「聞いた事はある」
こんなに、ゾクゾクする話は、久しぶりだ。
颯太が、あの玉藻御前の息子だという話は、長年、生きてきて、数少ない刺激ある話だった。
「玉藻御前とな」
音羽も、珍しそうに宙から、覗き込む。
「中国の朝廷も、玉藻御前が原因で、滅びたとか」
「希に見る美女に化けるとか」
「だから・・・私に縁があったのか」
「それは、ないと思う」
邪神は、打ち消す。
「日本でも、かなり、悪さをしたらしいが、その魂は、四方に打ち砕かれ、その一つが山寺に落ちたそうだな」
邪神の問いかけに、封雲は、慌てて、頷く。
「・・・で、いつ、知った?」
邪神の細く長い指が、封雲の顎を捉える。
「どうやって、知ったのかって事」
指先に力を入れれば、封雲の顎の骨は、砕け散ってしまうだろう。
「聞いてしまった・・・」
ポツリと言う。
「師匠が、颯太を目にかける理由。あいつらは・・・」
「そうだよね」
そこから先を言うか、言うまいか、封雲は、悩んでいたと見た。
「人間なんて、そんなもんだ」
「封雲!お師匠さん達は、なんて言っていたの?どうして、山寺は、焼き払われたの」
「お前の言う師匠達は」
封雲の代わりに、邪神が答える。
「いいか・・・お前は、利用される所だったんだ」
「え?」
「お前は、あの玉藻御前の息子だった・・・気付いたお師匠さん達は、お前を離礁しようと、隠して、育てていたんだな」
「誰が、お師匠さん達を?」
「それを知った、人間達に払われた」
封雲は、答えた。
「師匠達は、颯太だけでない・・・多く妖を隠し育てていたんだ」
思い出したくもない事を封雲は、話し出した。
あの寺で、育てられていたのは、颯太だけではない事を。
それを知った人間達に、滅ぼされてしまった事を。
「だけど・・・お師匠さんの中には、本当に、颯太を守ろうとした師匠もいたんだ・・・」
「それが・・・あの数珠か」
邪神が、ふっと笑う。
翳した掌からは、幾つもの星が流れ、天に散っていく。
目を奪われ星空に目をやると、天に登った筈の多くの星が、邪神の掌へと降ってくる。
「数珠だと思ったか?」
たくさんの星は、掌に集まり、一つの数珠になった。
「これは・・」
颯太に投げつける。
右手首に弾いて、それは、昔からそこにあった数珠へと変わり、一瞬のうちに、颯太の姿は、元の、人間への姿へと変わって行くのだった。
「どうして・・・・?」
颯太は、いまだに、意味がわからない。
「お前に同情した師匠がいたんだろうな」
邪神は、見抜いていた。
「その数珠が、お前を人の形に留めてくれる。守護されてんだな」
「そして、お前は、その数珠に嫉妬した」
邪神は、封雲を指さした。
「嫉妬で、何も、見えなくなっていた。玉藻御前の恐ろしさもな」
邪神の赤く光る目に、封雲は、ゴクンと唾を飲み込んだ。
「嫉妬?颯太の運命を代わりに背負う覚悟があるのか?人間」
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