それは、人に憑く。邪神備忘録

蘇 陶華

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持つ者だけに与えられる試練

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邪神の目は、封雲を震え上がらせた。

「どういう意味か、わかるか」

「す・・・すみません」

最初から違いすぎるのだ。

もっと、早く気づけば良かった。

颯太と一番の友達だった筈。

つまらないヤキモチだった。

誰もが、颯太を見ていると思っていた。

師匠達は、颯太を引き立てるそう思っていた。

「みんなが注目していたのは、違う理由だろう」

邪神の声は、封雲の頭の中に響いてきた。

「みんなが、見ていたのは、関心なんかじゃない。わかるだろう?」

わかるだろう?

師匠達の見ていた目。

邪神とは、全く違う人々の目。

「恐怖」

颯太を見ていたのは、恐怖。

それを抑える為の数珠。

「お前は、嫉妬のあまり、その数珠を切った」

数珠を切った。

颯太を守っていた数珠を。

「違う!数珠を切ったのは!」

邪神にも、間違いはある。

封雲が、身構えたその時、颯太の右手首に巻き付いた数珠が、音もなく、滑り落ちた。

「それなんだ!」

地面に滑り落ちた数珠は、蛇のごとく、飛び跳ね、封雲の両目目掛けて、飛びついてきた。

「うわぁ!」

顔を背ける封雲。

手を伸ばし尻尾を掴む邪神。

跳ね返り邪神の顔を掠める蛇。

赤く裂けた口が、細い牙となり、邪神の顔を襲う。

「全く!そういう事か!」

邪神が両手に力を入れると、慌てて、封雲が、止めに入った。

「ダメなんだ!」

襲われておきながら、蛇を庇う封雲に面食らう颯太。

「どうして?」

「どうしてって?」

封雲は、ますます困った顔になる。

「それは、その数珠自体が、師匠の成れの果てだからよ」

邪神ではない声が響いた。

「誰だよ」

邪神すら気が付かなかった。

一人の人間が、そこに現れていた。

「あいつらの・・・仲間か?」

邪神は、そっと気を失っている人間達の方を顎で、指す。

「でも・・・ちょっと、強そうだな」

「あの寺は、とんでもない化け物を育てていたようだよ」

その現れた若者は、言った。

「僕らは、殲滅させなきゃいけないんだ」

「人間?化け物?どちらを?」

邪神の顔から、晴の気配が消えた。

「山寺に、関係する者、全部」

その若者は、炎の剣を持っていた。
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